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求められるコメ管理制度【小松泰信・地方の眼力】2025年2月12日

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2024年産米は、生産量が前年比で約18万トン増。しかし、JA全農などの集荷量は昨年12月末時点で約21万トン減。江藤拓農林水産大臣は2月7日の閣議後記者会見で、コメ価格の高騰を踏まえ、政府備蓄米の放出をできるだけ早期に実施する考えを表明した。

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元凶はコメ減産政策

 北國新聞(2月9日付)の社説は、「米価の値上がりを見込んで一部業者が高値で買い集め、販売を遅らせる農家も出始めた」ことを指摘し、「主食のコメを投機目的にする行為を野放しにはできない。高値が続けば、消費者のコメ離れを加速させ、安くなりすぎても農家の打撃となるだろう」と訴える。
 「生産量を抑えて品薄気味にし、米価を維持するのが基本路線」となっている現在のコメ政策では、「わずかな生産量の変動が市場に大きな影響を及ぼすのは当然」とした上で、コメ不足の根本原因は、生産を減らせば補助金を出すというコメ減産政策にあるとする。
 そして、「コメの生産量を増やし、価格を安定させる一方、余った分を海外への輸出に回せないか」と「減産から増産へシフトしていく」ことを提起する。

コメは日本人の主食

 高知新聞(2月11日付)の社説は、「コメは日本人の主食」と位置付け、「家計への影響の観点からも価格の安定は重要だ」とするとともに、「公的な介入が行きすぎて高値を望む農家の生産意欲を奪ってもいけない」と、「消費者、生産者双方に向けてバランスのとれた対応」を求めている。
 政府備蓄米の放出については、「生産コストの上昇で米価が値上がりしたのならまだしも、投機的な要因で消費者が負担増を余儀なくされてきたとすれば、機動的な対応はあってしかるべきだ」と、当然の対応とする。
 加えて、「今回の米価高騰を通じては、多様化しているコメの流通実態を農水省が把握しきれていないことが浮き彫りになった」ことから、「正確な情報を得るための仕組み作りを急ぐべき」だと強調する。
 さらに、「コメの増産は確かに価格下落の可能性が生じるが、異常気象や災害、国際紛争などで食料危機が生まれるリスクは増している。コメの安定的な生産体制や、価格形成を巡る国の役割なども改めて整理する必要がある」と、食料安全保障上の課題を提起する。

コメは日本の食料安全保障の根幹

 「価格高騰ではっきりしたのはコメ供給の脆弱性だ。備蓄米放出は対症療法にすぎない」との鋭い指摘は、産経新聞(2月9日付)の主張。「重要なのは、適切な価格で安定的にコメを供給できるよう生産能力を高め、円滑に流通させる基盤を整えることだ。(中略)コメは日本の食料安全保障の根幹だということを銘記しておく必要がある」と、コメを食料安全保障の根幹に位置付ける。
 「近年は温暖化の影響で品質が低下し、主食米が減っている上、訪日外国人の伸びが外食需要を押し上げる。世界の紛争などで不安定性も高まっており、ちょっとしたきっかけでコメの品薄や不足が起きる可能性は今後もある」と、警鐘を鳴らすのは京都新聞(2月6日付)の社説。
 「『コメは余っている』という認識を前提としてきた。補助金で別の作物へ転作を奨励し、実質的にコメの減反を迫るなど、作りたい農家の意欲をそぐいびつな政策」と、わが国の農政を指弾し、「食料安全保障の強化を見据え、コメ増産も選択肢ではないか。補助金支出ではなく、国が一定買い取り、困窮家庭へ回したり、災害時に活用したりする機動的な政策も可能だろう。前例にとらわれがちな農政の枠を超え、幅広い視野から国家戦略を考えるべき時だ」と正論で締める。

看過できない読売新聞の社説

 看過できないのが、「農水省が備蓄米の活用をためらっていたのは、長年のコメ農政も背景にあるのではないか」とする読売新聞(2月6日付)の社説。すなわち、生産者の所得安定を目的に、1970年代からの減反政策で過剰生産を抑制し、「価格が下がりすぎないよう腐心してきた」ことに加えて、2018年に減反制度廃止後も、「転作に補助金を出し、生産を調整している」ことから、「生産者に配慮するあまり、価格の下落ばかりを恐れ、消費者目線を欠いたと言わざるを得ない」とする。
 1月29日の当コラムで紹介した石川県の知人からの手紙には、次のようなことも書かれていた。
 「今農家のみなさんが喜んでいることは、令和の米騒動で米価が上がり、収入が大きく増えたことです。農家にとってみれば、何か変わったことをした訳ではなく、毎年のように決まった生産調整をしただけで、収入が一気に増えたからです。(中略)来年はどうなるかわかりませんが、6年産米価はボーナス様だと、兼業も大型経営もニコニコです」
 これが生産者目線の農政の庇護を受け、安定した所得を補償されてきた農家の姿に見えますか。  
 安定した「低所得」政策を基調とする、「緩やかな安楽死」農政の中を、やっとの思いで生き延びてきた農業者が、令和の米騒動でもたらされた適正米価ごときを、ボーナス様と喜ばざるを得ないとすれば、一体これまでの米価は何だったのか。
 令和の米騒動がもたらしたギフトへの返礼は、毎年このボーナス様が、稲作農家の手に入る仕組みを構築することである。

食糧管理制度のリニューアル

 当コラムは『現代農業』(農文協、2025年1月号)で、今後の米政策の4本柱を提示した。特に今日のテーマと関連するところでいえば、第2の柱として示した部分が該当する。
 要約すると、「一方では国民が納得できる消費者米価での供給を目指し、他方では、生産費を償うとともに次年度以降も生産意欲が湧くような生産者米価を保障すること。『コメ作ってメシ食えない』という『耕作貧乏』を稲作農家に強いる状況では、離農はあっても就農は期待できない。消費者米価と生産者米価のギャップを埋めるためには、当然食料安全保障の観点から税金が投入される」となる。税金投入は食料安全保障の必要経費。と言えば、食糧管理制度ですか、またまた食管赤字がでますね、の嫌みが聞こえる。
 国民の主食を守り、国土を守ることで、黒字になってどうする。財源はどうする、というツッコミや、かつての食糧管理制度の問題点などもそれなりに分かったうえで、みんなで知恵をだして、「コメ管理制度」を創り出すしかこの難局は乗り切れない。

 「地方の眼力」なめんなよ

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