(423)訪日外国人の行動とコメ【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年2月21日
日本を訪問する外国人数(訪日外客数)が2024年の計で3,687万人と過去最高を記録したようです。
数年前がウソのような回復である。日本政府観光局の速報値では2024年12月は単月でも349万人と過去最高を記録している。月間300万人以上が常態化した訳だ。
ところで、外国人観光客の動向については観光庁が興味深い資料を公表している。「訪日外国人の消費動向-訪日外国人消費動向調査結果及び分析-2023年年次報告書」1というものだ。全文はwebで閲覧できる。
こうした資料を見ると、印象や体感として理解していたものと、現実との違いがよくわかる。2023年の報告のポイントでは、この年の訪日外国人旅行消費額は5兆3,065億円であり、そのうち宿泊費と飲食費で57.1%を占めている。これに買物代を含めれば実に83.6%となる。国籍・地域別に見ると、台湾、中国、韓国、米国で全体の54.4%、香港を加えれば63.4%となる。これはあくまでも全体の平均であるため、国ごとにかなり状況が異なる。このあたりまでは「体感」に近い人も多いであろう。
これに対し、なるほどと思うデータも多い。例えば、平均宿泊日数(全目的)で見れば最長はヴェトナムで30.1日、インドが22.5日、ロシアが20.8日である。これら3カ国からの観光客は、同一箇所に留まるケースもあるだろうし、かなり時間をかけて日本中を回る可能性も高い訳だ。意外と日本人よりも名所旧跡をよく訪問している可能性も高い。
一方、平均宿泊日数が短い国は、韓国が4.7日、台湾が7.0日、香港7.2日などである。距離的にも近いため週末+αの手頃な移動をしていることが何となく想像できる。
もう少し細かく見るとさらに興味深い。データの中には「一般客1人当たり旅行中支出(国籍・地域別)」という表(旅行総支出表とは別)がある。ここには平均泊数が表示されている。
では全国籍・地域の数字をもとに検討してみたい。あくまで平均値だが、この数字で見ると、訪日外国人客が旅行中に使用した金額が193,120円である。また、平均拍数は10.1日と示されている。単純に考えれば、193,120円÷10.1日=19,121円/人となる訳だ。
さて、これを国籍・地域別に見た場合、どこが最も多いかを考えてみてほしい。もちろん、訪日客には各々の目的があるため、滞在日数も予算も異なる。ただし、総計3,700万人にもなると、個々の差異はかなりの程度吸収され、単純な平均値も何がしかの真実を表していると考えて良いであろう。
旅行中の1泊当たり支出額が1人あたりで3万円を超えている国籍・地域は、少なくとも2023年の報告書ではシンガポールの30,336円のみである。これに次ぐのが香港の29,684円である。もしかすると2024年には香港も3万円を超えているかもしれない。これら以下は台湾の22,635円と米国の22,483円となり、やや差が開く。
繰り返すが、こうした数字はあくまでマクロで見た場合の傾向値に過ぎない。観光地や宿泊施設にとってはいずれも顧客であり、それぞれの特徴や現実的な課題があることも事実であろう。ポイントは、自分達の施設や場所がどのようなタイプの観光客に選択されているか、その理由は何故かという点をよく理解した上で、平均値を念頭に置きつつも各々に最適な対応ができるかどうかである。
ところで、報告書のとおり3,700万人の外国人観光客が日本に平均10日滞在し、1泊2食付きの旅館で朝晩2回、日本食を食べるとしよう。茶碗1杯のご飯を150g程度として1日300g、10日間で3,000g、つまり1人3kg、これに3,700万人を乗じると11万1千トンになる。彼らの多くが毎回おいしい日本のご飯を「おかわり!」すれば数字はどうなるか、こんなことを考えてみるのも面白い。
観光庁「訪日外国人の消費動向-訪日外国人消費動向調査結果及び分析-2023年年次報告書」、アドレスは、https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001742979.pdf (2025年2月19日確認)
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