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二重米価制で消費者の農政不信を一掃せよ【森島 賢・正義派の農政論】2025年4月14日

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 先週、政府は4月から7月までの間、毎月、備蓄米を10万トンづつ放出する、といった。これは、典型的な「兵力の逐次投入」である。確固とした戦略がないままで、備蓄米を少しづつ投入する、という最も拙劣な戦術である。これが、農政への不信を深めている。
 さて、昨年春から始まった米価高騰は、1年を過ぎようとしている。だが、未だに収束する気配がない。ここには、農政の救いがたい混乱がある。米価を下げなければ、消費者のコメ離れが加速され農政の不信を招く。米価を下げれば、生産者の脱農が加速され農政の不信を招く。
 こうした状況のなかで、農政は立ち往生している。その結果は、食糧自給率のさらなる低下であり、激動する世界の中での食糧安保の危機の深まりである。
                  ◇
 どうすればいいか。
 農政の信頼を得るには、これまでの戦略を根本的に見直すしかない。消費者米価は下げ、補償金などを含めた実質的な生産者米価、つまりコメの生産者手取単価は下げなければいいのだ。つまり、二重米価制の導入である。
 いま必要なのは、政治の市場への強力な介入である。政治がこれまで墨守してきた市場原理である一物一価の妖術からの解放である。そして、農政の基本戦略である市場原理主義農政からの決別である。
 こうした二重米価制は、日本では、戦中・戦後に実施してきた農政である。また、世界をみると、社会主義国はもちろん、全ての先進国で、主な食品について実施している基本農政である。
                  ◇
 ここでは、消費者を取り上げ、二重米価制を導入した場合の、目標米価になる消費者米価を試算してみよう。米価が、この消費者米価より上がった場合には、政府が平時でも大量に持っている備蓄米を市場へ放出し、責任をもって消費者米価を下げて目標米価へ戻すものである。
 (生産者米価については、別稿で述べる。)

 さて、この消費者米価の目標米価である。
 高騰以前の比較的に米価が落ち着いていた、2022米穀年度(2022年10月~2023年9月)を考えてみてみよう。コロナの混乱が収束した時期である。そして、いまの米価高騰が始まる前の時期である。
 この時の消費者米価は精米5kg当たり、2、040円だった。これを2025年2月の総合消費消費者物価指数でインフレートすると今は、2、139円になる。これが、消費者米価の目標米価である。
 これで充分というわけではない。この時期でも、消費者のコメ離れは進んでいた。その結果、食糧需給率は低迷していたし、食糧安保は危うい状況のままだった。
 しかし、これを当面の消費者米価の目標にしてみよう。これより上がれば、政府が備蓄米を市場へ放出するのである。

 このばあいに政府が負担すべき、財政負担額を試算してみよう。
 今年2月の消費者米価は、精米5kg当たり4、080円である。目標米価は、2、139円だから、補償単価は、その差額の1、941円になる。補償対象は、精米の632万トンだから、総額は2.45兆円になる。これを多いとみるか。農政の信頼に関わっている。

 以上は、米価高騰問題の、当面の、そして局所的に限定した考えである。だがこの問題は、国民にとって重大な問題である。将来を見据えた、大局的な議論が必要である。
 しかし、いまの政府のこの問題に対する姿勢は、ビタ一文も出さない、という市場原理主義農政に基ずくものだ。
野党はどうか。
 (トランプ大統領も注目している。)
 3か月後の参院選の主要な争点は、ここになるだろう。熟議を期待したい。

【追記】
 数字が多くて分かりにくかったかも知れない。単純に計算しよう。国民が今度の米価高騰で、どれ程ソンしたか、を概算しよう。
 5kgで2000円だったのが、2倍の4000円になったのだから2000円のソンだ。これを1kgでみると400円になる。
 1トンではこの1000倍の40万円だ。1万トンではこの1万倍の40億円だ。
 一方、1年間の消費量は600万トンだから1年間のソンの総額は40億円の600倍の2.4兆円だ。詳しい計算は、本文で書いた2.45兆円なのだ。
 このソンは、農政の結果なのだから、国民に押し付けるのではなく、政治が負担すべきである。
 なお、これを1日当たりにすると365で割り算して67億円になる。政治の混乱で、国民は毎日67億円のソンを押し付けられているのだ。くり返そう、政治の責任なのだ。解決を急げ。

(2025.04.14)

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