「次代へつなぐ地域の絆」JA共済連が新中計2013年3月18日
JA共済連は3月15日に都内で臨時総代会を開催し「次代へつなぐ地域の絆?もっと安心、もっと信頼されるJA共済をめざして?」をメインテーマとする「JA共済3か年計画」(平成25年度から27年度)と平成25年度事業計画などを決定した。
◆いかなる状況下でも永続的に共済責任を全うする
総代会開催にあたって安田舜一郎経営管理委員会会長は、TPP問題について「より一層、広範な国民各層の連携を深め、組織の総力を挙げて徹底して運動をしていく必要がある」と述べた。
さらにTPPで「共済」について取り上げられている「事実は確認されていない」が、米国通商代表部(USTR)の報告書などで「共済」に触れられており「TPPにおいても、今後、ほぼ同様の対応を行ってくるものと捉えておく必要がある」と指摘。TPP交渉の今後の動向によっては「事業環境や事業実施条件が大きく変容することも想定されることから、いかなる状況にあっても、JAや組合員・利用者の負託に応え、永続的に共済責任を全うできるよう、事業改革」をすすめていくと決意を述べた。
また24年度のJA共済事業について「長期共済と短期共済の統一目標である推進総合実績については、目標を達成できる見込み」であり、「新規契約目標となる重点施策実績は3月7日に目標を達成した」と報告した。
(写真)
あいさつする安田会長
◆厳しい事業環境を直視し抜本的な事業改革を断行する
総代会で決定された「3か年計画」では、昨年5月の農協共済審議会答申の「厳しい事業環境を直視し、抜本的な事業改革の断行による経営の効率化を図る一方で契約者対応力を強化するように進めていかなければならない」、「危機感をもって直ちに本答申の具体化に着手し、迅速かつ着実に実施することを強く要望する」という意見・要望を具体化するため「組合員・利用者の満足度の向上に向けて、より地域に密着したJAらしい事業活動およびJA・連合会が一体となった事業機能の強化に取り組む」ことにした。
「3か年計画」ではJA・JA共済を取り巻く事業環境と課題として次の5点をあげている。
[1]事業基盤の構造変化:都市部と地方(農村部)の社会・経済基盤の格差の拡大や一部中山間地域における農村社会の崩壊危機など「事業基盤の構造変化が進んでいるとともに、JAと組合員のつながりが希薄化してきている」。
[2]大型・広域化するJAへの対応:JA合併による支店統廃合の進行によるJA職員の減少によってJAでは限られた要因での契約者対応力の強化が課題となっているので、JAと連合会は信頼関係のもとで一体的な事業運営をよりいっそう強化する必要がある。
[3]生損保の攻勢と競争激化:子会社方式による生損保相互参入や銀行窓販解禁、ネットを活用したダイレクト系生損保の台頭など生損保との競争が厳しくなってきている。また、TPPの今後の動向によって事業環境、事業実施条件が大きく変容することも想定しなければならない。
[4]JA事業収支の推移:事業総利益が減少基調の中、合理化によるコスト削減は限界に近い。次世代組合員にとってJA事業が魅力ある事業になっていない恐れがある。合理化中心ではなく、事業伸長・組織基盤強化の取組みで事業利益を確保する必要がある。
[5]共済事業付加収入の推移:満期などによる保有契約者数減少が新規共済契約者数を上回り純減てなっている。保有契約者のうち60歳以上高齢者が約40%占めており、満期などによる保有契約者の減少傾向は継続する。こうした厳しい事業環境下あっても最良の保障・サービスを提供し、共済責任の履行に万全を期さなければならない。そのためには、JA・連合会が一体となって抜本的な事業改革に取り組み、機能強化と効率化を実現していく必要がある。
◆地域に密着したエリア戦略でJAらしい事業を推進する
こうした事業環境と課題を受けて25年度からの「3カ年計画」では、JAは「より地域に密着したJAらしい事業を展開」するために「地域特性に応じたエリア戦略の実践」を行っていくことにしている。
具体的には、3Q訪問活動における保障点検の完全実施や介護共済などの保障提供によって「あんしんチェック実施世帯数1240万世帯」。LAの生産性向上や未加入者への訪問活動、次世代との接点拡充によって「ニューパートナーズ190万人」。スマイルサポーターの育成強化、支店窓口の推進拠点化による相談機能の拡充によって「スマイルサポーター登録率100%」を27年度末には実現するとしている。そのことで、「契約者・利用者が安心・便利・速いと感じる対応の実現」をはかっていく。
そして27年度末の共済契約者数1600万人、自動車損害調査における総合満足度も90%以上とする数値目標も掲げている。
◆抜本的な事業改革で連合会の機能を強化
そして連合会は「連合会の抜本的な事業改革の実行?機能強化と経営の効率化?」をめざしていく。
具体的には、さらなる事務負荷の軽減を図るための仕組み・事務・電算の三位一体での再構築と長期安定的な資金運用による「連合会固有機能の専門性向上」。JAの状況に応じた個別指導・サポートやJAからの問い合わせ・相談機能の強化と連合会の人材育成による「JA指導・サポート機能の強化」。生命支払査定・引受審査の広域拠点集約化、連合会とJAによる一体的な自動車損害調査体制の構築による「組織改革による機能集約(要員等の再配置)」を実施するとしている。
JA共済事業を取り巻く環境は厳しいものがあるが、JAと連合会が一体となって「より地域に密着したJAらしい事業活動の展開」(安田会長)がどうできるのかにかかっているといえるだろう。
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