部門連携で農業金融支援 農林中金2015年2月5日
第10回JAバンク担い手金融リーダー全国大会
・TAC会議が起点
・JAの顔として活動
1月22日に行われた農林中央金庫主催の第10回担い手金融リーダー全国大会は「大規模化する担い手への対応強化に向けた態勢構築」をテーマに開かれた。ここではTACと金融部門との連携事例の報告概要を紹介する。
◆TAC会議が起点
JA雲南(島根県)からは信用部の高橋洋介次長と融資課職員の本田一成さんが報告した。
同JAでは▽追認型の農機ハウスローンと事前審査型のアグリマイティ資金を同金利として審査時間短縮に努める、▽農業機械課に100万円以上の販売予約や相談があった場合にはリスト化して報告、それに基づき融資担当者らが資金提案を行う、▽融資課職員がTACミーティングに参加し資金情報を収集、といった取り組みを進めてきた。その結果、数年前から農業資金の融資実績は毎年安定して100件を超えるようになった。
融資担当者が他部署と連携する取り組みがポイントだが、とくにTACミーティングへの参加によって、現場でどのようなニーズが出ているのかなど情報交換がスムーズに行われるようになり、短期間のうちに融資対応ができた案件も出てきたという。
担い手農家への経営相談を充実させ担い手農家の経営に参画することもめざすなど、農家への他行の活動が活発になっていることから「一層部署間での連携が必要で担い手農家の囲い込みが必要」と話し、TAC訪問先への融資担当者との同行訪問の実現や、農業制度資金の迅速な活用などが課題だと話した。
(写真)
上:JA雲南の高橋次長
下:JA雲南の本田氏
◆JAの顔として活動
JAやつしろ(熊本県)は経済渉外課の秋永誠一郎課長代理が報告した。同課は平成18年に設置された。合併によって組合員から「知っている職員がいなくなった」、「営農指導員の定期訪問がない」といった問題が指摘されたことから同課でTAC活動を実施することに。5名のTACが月120戸を訪問。とくに購買利用率が低い担い手を重点に対象を選定した。
これまでにJAの共販への誘導や、新規作物導入などで農家の経営改善などにも実績を挙げてきたが、JAの融資課と農林中央金庫熊本支店と連携して担い手の資金ニーズ調査を行い、その結果に基づく融資の実践も成果をあげてきた。資金ニーズの把握から25年度には約2億4000万円の融資実績につなげた。また、担い手からの資金相談時にはTACと融資担当者が同行訪問しているほか、TACも農業資金に関する勉強会を行いTAC職員の知識向上も図っている。
TAC活動によって担い手からは、JAからの情報提供と経営相談ができるようになったなど評価も高まってきた。秋永課長代理は「TACはJAの顔として組合員の声に耳を傾け、よりよいJA事業のめざしていきたい」などと話した。
(写真)
JAやつしろの秋永課長代理
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