変わる生保市場 情報源が増え自分で判断2016年4月21日
外交員による契約減
インターネットの普及や保険ショップの増加などで、情報源が多様になり、生命保険の情報を得やすくなり、外交の勧誘によらない加入が増えていることが分かった。これは、家計の悪化で、積極的に情報を集めて加入を決める人が増えていることを示す。JA共済総合研究所の湊一郎上席研究員が調査・分析した。「共済統合研究」3月号で報告した。
生命保険の加入は、外交員の勧誘によるシェアが低下し、インターネット、ファイナンシャル・プランナー、保険ショップなどの新興チャネルのシェアが拡大しているといわれる。消費者の意識・行動にどのような変化があったのか。共済総研は2015年中に生命保険に加入した20代から50代の男女1571人を対象にインターネット調査を行った。
それによると、加入の検討をはじめたきっかけは、「家計の見直し」が29.2%でトップ。次いで「就職・転職」、「結婚」、「子どもの誕生」と続く。新規加入より、「家計の見直し」という既住者(既契約者)が多いことは、生命保険市場の変化を象徴的に示している。
一方、「外交員の勧誘」をきっかけとする人は16.5%で、「外交員と接触したことのある人(既住者)が多いにもかかわらず、予想以上に外交員が有効に接触していないことをうかがわせる」と分析。さらに新規加入者のうち、外交員が最初から接触した割合は1割にも満たない。
ただ、加入を検討する時点で参考にした情報源は、トップが「保険会社などの外交員」が3割以上と最も多く、「保険比較サイト・マネー情報サイト」、「保険会社や保険代理店のホームページ」など、インタ―ネット利用が続く。
さらに加入の最終決定では、やはり「保険会社などの外交員」であり、他を大きく引き離しているがそのシェアは42.1%で半数を下回る。生命保険文化センターの27年度調査ではこれが59.7%で、同じ調査の前回(平成24年度)の68.2%から10%近く減少している。
次に加入を検討したとき、複数の会社の保険商品を検討したかどうかについては、「比較した」人が53.2%で、「比較しなかった」人が39.4%。このなかで「比較しなかった」人の加入のきっかけは「外交員の勧誘」が最も多く25.7%。これを逆にして「外交員の勧誘」の人で、「比較しなかった」人が61.2%を占めた。つまり「外交員の勧誘で加入した人は、他社との比較をしない傾向がかなり高い」とみる。
こうした結果から、外交員とは接触せず、自ら情報収集し、保険商品を比較する人が少なからず存在することが分かった。湊上席研究員は「今年の5月には改正保険業法が施行され、消費者が比較情報を入手することが容易になるのは確実。保険事業者は消費者の意識・行動が変化して、商品比較する人が増えることを前提にすることが求められる」としている。
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