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1日も早い共済金支払めざし 「熊本地震」で全国から広域査定員を派遣2016年5月19日

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 4月14日および16日に発生した「平成28年熊本地震」は、熊本県を中心に家屋倒壊や土砂災害などで多くの人命が奪われるなど甚大な被害が発生している。JA共済連では、JAグループが設置した「熊本地震対策中央本部」が計画する支援対策に積極的に参画すると同時に、被災されたJA共済加入者へできるだけ速やかに共済金を支払うために、熊本県本部への広域査定支援を決定し、各県本部・全国本部職員を4月24日から1週間単位で派遣し損害調査を行っている。
 派遣された広域査定員(全国本部職員)からのレポート(JA菊池管内での)を中心に、現地の様子をまとめた。

◆事務処理終わると深夜

地滑り・がけ崩れなど土砂災害も100か所以上で発生 「熊本地震」によって熊本県・大分県で発生した被害は、4月14日の前震、16日の本震を中心に、亡くなられた方が49名、安否不明の方が1名、全壊・半壊・一部損傷などの住宅被害が8万5231棟、農林水産業被害約1354億円などとなっている(5月13日現在)。
 こうした被害のうち、JA共済では地震の被害を調査査定するために、全国本部・県本部から広域査定員が現地へ派遣され、4月24日から週単位で損害調査が実施されている。その第1班(4月24日~30日)は17県本部から44名で構成され、25日から損害調査を本格的に開始する。
 調査地域は、特に被害の大きいJA熊本市、JAたまな、JA鹿本、JA菊池、JA阿蘇、JAかみましきの6JAを調査する班と、JA熊本うき・JAやつしろの2JAの調査をする班に分かれ、損害調査を実施した。
 現地での広域損害査定の調査は、JAの職員を含めて2名体制で行われている。レポートを寄せてくれた広域査定員が向ったJA菊池のある支店では、通常は4~5班、休日は8班編成で調査を行っている。
 調査時間は、朝8時~9時に立会いを開始し、1日平均1班10棟、多い班では20棟程度対応し、天候にもよるが夕方16時~18時ころ終了。17時から20時くらいに事務所に戻り、事務処理を行うので、業務は深夜におよぶという。
 調査する被害物件は、JAが前もって地区全体の被害状況を把握し、世帯別に被害の大小を区分けして、被害程度の大きいところから調査することを基本にしているが、被共済者がおかれた状況や要望をふまえ柔軟に対応するようにもしているという。
 後でもふれるが、16日未明の本震による被害が大半のため、被害程度の確認などが本格化したのは16日の午前だった。


◆素早く対応したJA職員

住宅の全壊などでいまだに1万人以上の人が避難所に 実際に組合員・契約者に聞いてみると、「前震は皿が2~3枚割れた程度で、たいしたことはなかった。16日の本震による被害が甚大」だという人が多い。そして「家が大きく傾き、住める状況にないので職場で寝泊まりしている」ので「家族は被害の少ない地域に避難させている」という人。「家は家財家具が飛散しているが、幸い建物への影響は軽いので、何とか家で生活できている」という組合員は、木造の牛舎や木造納屋が大きく傾き牛を1頭失った。残った牛を「牛舎から安全な場所に移動させたが、そのときにJA共済・畜産担当の職員が手伝ってくれたので、被害を最小限に食い止められた」という人もいる。
 また「余震が続くなか、17日にはJA職員が調査に来てくれて、非常にありがたかった。解体費用や今後の生活のことを考えると不安は多いが、建物更生共済に入っていてよかった」という組合員も多い。実際には、住宅が倒壊しているので、「撤去しようにも業者が来るのは数カ月先のことで大変に困惑している」というのが実状だ。


◆JA職員も被災者だが

1日も早い共済金支払いのために奮闘する査定員、倒壊した建物を査定する担当職員 地元で暮らしているJAの職員も例外ではなく、自宅が被災した職員も大勢いる。家族は県外の親戚のところに身をよせているが、余震が続いているので車中泊の準備をしながら出勤し、担当エリアの建更契約の罹災調査を行っている人もいるという。
 また、JA菊池は畜産業が盛んな地域だということもあり、牛舎などの農業用施設にも相当程度被害が発生している。JAの職員は「ご加入者のために、1日でも早く共済金を受けとってもらい、地元の農業を守るためにも、離農する人を可能な限り少なくしたい」と考えているという。
 こういう話を聞くと思い出すことがある。
 1995年の阪神・淡路大震災の際に、地元JAの職員が、契約内容を確認しながら損害査定員を案内し一軒一軒くまなく訪問していたが、崩れた一軒を飛ばして次の建物に向かったので、査定員が「契約がないのですか」と聞くと、「いいんです。私の自宅ですから...親も妻も家の下敷きになり亡くなりました...葬式は落ち着いてから考えます...。今は契約をいただいた組合員が被害を受けて困っています。一日も早く共済金を支払いたい」と答えたという。
 東日本大震災でもそうだったが、自然災害は、その地域で暮らす人すべてに襲いかかる。JAの職員も当然例外なく被災者になる。そのときに自分のことは後にして、組合員のことを第一に考えて行動する、そこに協同組合である農協職員の心をみたが、いままた熊本でも同じことが行われている。これが協同組合なのだという思いをさらに深くする。


◆協同組合の心をみる

道路も崩れ建物に近づくことも困難に 岩手県本部から派遣されたある広域査定員は、熊本での調査にあたり「東日本大震災のときに、被災地は広域査定支援を含めて、全国からたくさんのさまざまな支援をいただきました。今回の地震で被害を受けた方々や、JA・県本部の皆さんに、少しでも恩返しができるように、精一杯損害査定にあたっています」と語っている。
 現地での話は、4月29日時点のものだが、その後も5月1日から7日には第2班の16本部46名が、5月8日から14日には第3班36本部88名が、その後も第4班、第5班が80名規模で現地へ赴き、1日でも早く共済金が支払われるように奮闘している。
 このように、仲間が苦しい時、大変な時こそ、助け合いを基本とする協同組合の力が示されるときでもある。
(写真)地滑り・がけ崩れなど土砂災害も100か所以上で発生、住宅の全壊などでいまだに1万人以上の人が避難所に、崩れ落ちそうなアーケード、道路も崩れ建物に近づくことも困難に、1日も早い共済金支払いのために奮闘する査定員、倒壊した建物を査定する担当職員、道路も崩れ建物に近づくことも困難に

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