自動車共済の保障を拡充 令和3年1月実施の仕組改訂 JA共済連2020年11月5日
JA共済連は令和3年1月1日から、自動車共済の仕組改訂を行い、日常生活賠償責任特約を新設する。また、認知症などにより責任能力がない運転者が起こした事故の被害者に万全な保障を提供するため、心神喪失等事故被害者保障特則を新たに設ける。
今回の仕組改訂では、「日常生活賠償責任特約」を新設。近年、自転車事故で加害者側に高額な賠償を命ずる判決が相次いでいる。これに伴い自転車利用者に対する賠償責任保障への加入義務化が全国的に進み、日常生活における賠償責任のリスクがより顕在化していることから、自転車事故や住宅に起因する事故で、被共済者が法律上の損害賠償責任を負担する際の損害を保障する日常生活賠償責任特約を新設する。
特約の共済掛金は、共済期間1年、一時払の場合で1890円。
<保障の対象となる事故の例>
・管理不備により、住宅のブロック塀が倒壊し、歩行者を負傷させた場合
・自転車で走行中に歩行者に衝突してしまい、負傷させた場合
・買い物中に誤って商品を壊してしまった場合
・線路内に侵入した認知症患者(被共済者)の身柄確保のために鉄道会社が電車を一時運休にした場合
仕組改訂前後の保障範囲イメージ
また、心神喪失等事故被害者保障特則も新たに設定。交通事故に占める高齢者の割合が増加傾向にあり、認知症や加齢により認知機能が低下している運転者が起こした事故について社会的関心が高まっている。現行の自動車共済では、認知症等により責任能力がない運転者が起こした事故については、本人に法律上の損害賠償責任が生じない場合、基本的に被害者は誰からも保障を受けることがなかった。このため、責任能力がない運転者による自動車事故で救済できない被害者が発生しないよう、運転者が認知症等により責任能力がないと認められて損害賠償責任を負わなかった場合の被害者に生じた損害に対し共済金を支払う「心神喪失等事故被害者保障特則」を新設する。被害者が誰にも損害賠償責任を問えない自動車事故で被害者の救済を図る。
この他、自賠責適用除外車対人賠償特約を新設。農業用自動車(農業用小型特殊自動車・農耕作業用大型特殊自動車)等を道路上で使えない構内専用車として使用する場合、構内専用車が自賠責共済契約等に未加入でも、自賠責共済契約等から支払われるべき金額を差し引かずに対人賠償責任条項により保障する。この特約を付加する場合、構内専用車として使用している農業用自動車など被共済自動車が、自賠責共済契約等に未加入でも自動車共済へ加入できるようになる。
また、人身傷害保障条項では、自動車事故により死傷した際の損害額を適正に算出するため、自賠責支払基準を基本に損害額基準を設定。物価水準の変動や近年の共済金等の支払実態を反映し、令和2年4月に改正された同基準を受け、人身傷害保障条項の損害額基準について、自賠責支払基準の改正の考え方に準じた見直しを行う。
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