経常利益3100億円 5年ぶり3000億台-農林中央金庫決算2021年5月27日
農林中央金庫は5月26日、2020年度決算を発表した。経常利益は2015年度以来の3000億円を超え3100億円を確保した。
経常収支は前年度比▲1856億円の1兆3588億円となった。運用環境が厳しく有価証券の利息配当金が▲3614億円となった。
一方、資金調達費用が米国の利下げにともなって▲5241億円となり資金収支が大幅に改善。経常費用は▲3727億円と経常収益以上の減少となったことから経常利益は1870億円増益の3100億円となった。3000億円を超えたのは2015年度決算以来。
また、コロナ禍から海外の経済急回復をうけたの株価等の上昇にともなって、農林中金はバランスシート上のリスクも膨らんでいるとして、ポートフォリオをリバランスする観点から有価証券を一定程度売却した。それにともなう売却益も出た。
純利益は1162億円増益の2082億円となった。
与信関係費用は807億円増の831億円。このうち一般貸し倒れ引当金は431億円だが、将来予測をふまえた引き当ての枠組み導入分が354億円となったことから全体が増加した。
貸出金はコロナ禍で国内貸出金が2兆円増加した。一方、有価証券は売却・償還で6兆4000億円減少したが、金銭信託や現金預け金などがほぼ同額増えたことから総資産(連結)は2兆円増の107兆6000億円となった。
貸出金のうち国内向けは1兆8000億円増えて20兆2000億円となった。コロナ対応資金が増えた。これにともないリスク管理債権比率は0.19%から0.39%へと上昇したが、メガバンク対比では低水準にとどまっているという。
有価証券評価益は株価の上昇とクレジットの好転などで3368億円増え2兆6839億円となった。市場運用資産のうち約9割をA格以上が占めており、今後も高格付資産を中心に運用していく。
自己資本比率は普通出資等Tier1比率が0.37%増加し19.86%と引き続き高水準を維持している。
会見で奥和登理事長は「運用環境については非常に厳しい状況が続くのではないか。リスク管理をしっかりしながら慎重な財務運営を心がけていきたい」と話した。
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