食農バリューチェーン企業へ投資拡大 5年間で100億円-アグリ社2021年10月13日
農林中央金庫をはじめJAグループ全国連と日本政策金融公庫が出資しているアグリビジネス投資育成(株)(アグリ社)は、これまでの農業法人だけでなく食農バリューチェーン企業などにも投資を広げる。今後5年間で100億円の新規投資を計画している。
アグリ社は2002年に設立され農業法人に対する投資育成業を行ってきたが、同社設立の根拠法である農業法人投資円滑化特別措置法が4月に改正され8月に施行されたことにより、食農関連企業や林業・漁業者にも投資を広げることができるようになった。
同社は、改正法施行にともなって地域や全国の食農バリューチェーン企業や、アグテック・フードテックなどの先進企業などまで、幅広いリスクマネーの供給を担うファンドと改めて位置づけた。また、通常の投資ファンドと違って「成長支援ファンド」との考えで、農産物輸出など新たなチャレンジをする食農関連企業などを後押しする。高い収益性は期待できないものの、時間をかけて一定の収益確保をめざしていく。
投資領域は農林水産業では森林事業者や水産事業者も加える。さらに食農バリューチェーン企業では、農産物輸出、スマート技術を活用した農業、農泊や地域商社など地域資源活用、植物肉や米粉製品など食品新市場などの領域に投資をする。
基本方針はJAグループのネットワークを活用して、アグリ社がプラットフォームとしての機能を発揮し投資案件の発掘や事業連携を行う。
投資エリアは全国。ベンチャーから成熟企業まで幅広いステージを対象にする。海外投資については日本の輸出拡大や日本への収益還元が明確な案件を対象とする。
投資後は投資先とコミュニケーションを行い、JAグループや金庫の取引先などとの仕入れや販売先のビジネスマッチングなど投資後のサポートにも力を入れる方針だ。
食農企業向けの出資はアグリ社の自己資本で5年後に50億円、JAバンクアグリエコサポート基金による自己信託分で同50億円、合計100億円を計画している。
また、生産者向け出資は5年で45億円(自己資本・自己信託合計)を見込んでいる。
アグリ社の投資実績は2002年からの累計で21年3月末までに606件、103億円となっており、投資件数では国内最大規模の農業ファンドとなっている。
農林中央金庫はアグリ社による食農バリューチェーン企業などへの出資と幅広いネットワークづくりで「最終的に生産者所得の向上を目指す」としている。
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