2021年度の収支改善効果は35億円 JA営農経済支援プログラム推進へ 農林中金などが全国説明会2022年12月20日
資材高騰など農業をめぐる厳しい情勢の中、農家の所得向上やJAの収支改善に向けて農林中金などが進めている「JA営農経済事業の成長・効率化プログラム」の推進に向けた全国説明会が12月19日、オンラインで開かれた。この中で同プログラムに参加するJAのうち49JAの収支改善効果が2021年度で35億円に上ったことが報告された。同プログラムの参加JAは今年度内に全国で100JAに上る見込みで、農林中金などはさらに積極的な参加を呼びかけている。
オンラインで開かれた農林中金などによる全国説明会
同プログラムは、農林中金とともにJA全国中央会、JA全農の三者が連携して2019年度から進めている。参加するJAに農林中金の職員を3か月から半年間にわたって派遣し、収支改善など経営基盤強化に向けて徹底して課題の分析を行い、具体的な改善策などを提案する内容。
オンラインで開かれた全国説明会には約200人が参加し、冒頭、農林中金の川田淳次常務執行役員が「資材価格の高騰などで生産者は厳しい情勢にあり、生産者を支えるJAの営農経済部門の施策への期待は非常に高まっている。JAにおける持続可能な経営基盤の確立強化に営農経済事業のプログラムは不可欠と認識しており、説明会の内容を参考にして進めてほしい」と述べた。
説明会では、2019年度から進められている同プログラムの成果が報告された。今年9月末時点で導入したJAは全国で94JAに上り、今年度中に全国で100JAを超える見込み。このうち収支改善実績の計測対象となっている49JAの営農経済事業の改善実績は、2021年度で計35億1000万円に上り、1JA当たり約7200万円の収支改善につながったことが報告された。この中にはプログラム導入から3年経過していないJAも含まれ、収支改善額はさらに積み上がる見通しで、3年間累計の効果額は46億4000万円に上ることも説明された。
また、2021年度の収支改善実績の内訳を分析すると、コストに見合った手数料の適正化や非効率な業務の見直しなど効率化施策で約19億円、新たな販路開拓や出荷者との連携強化による直売所の取り扱い増など成長施策で約16億1000万円に上っていることも報告された。
説明会では、プログラムを導入したJAからの取り組み事例も報告された。栃木県の「JAなすの」は、全農直販を通じた有利販売の拡大に努め、生産者の所得向上とJAの収益向上、全農の収益向上の"三方良し"の取り組みを進めたことを説明、2年目の効果額は1億円を超え、おおむね計画通りに改善に向かっていると述べた。
また、ジャージー牛乳の生産が盛んな熊本県のJA阿蘇は、余った生乳が安価で取り引きされたり、廃乳になったりする課題を抱えていたが、大ロットの取引が見込める飲料メーカーへのトップセールスなどで新たなバリューチェーンの構築を進めた結果、余乳の削減が2021年度で221tにも上り、さらにジャージー牛乳のブランド化を進めて全国展開に取り組んでいることを報告した。
こうした成果も踏まえて農林中金は、引き続き個別JAへの支援や導入済みのJAへの継続サポートを続けながら、新たに複数のJAを対象した県域全体施策としてローカルバリューチェーン構築などを支援する今後の取り組みについても説明した。
具体例として、すでに福島県ではキュウリの産地振興に向けて、溶液栽培の技術を持つ種苗販売業者へのアグリ社出資の活用も含めて、JA全農や福島県とも連携して取り組んでいることを紹介。農林中金は、全農県本部や経済連の「地域の食農関連企業と連携したローカルバリューチェーンを構築したい」とのニーズを起点として、ローカルバリューチェーンの具体化に向けて、融資や出資といった金融機関の活用も検討してほしいなどと呼びかけた。
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