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基本法・円安・「物流24年問題」 アグリビジネス投資育成(株)がセミナー2023年10月30日

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日本政策金融公庫およびJAグループが共同出資し、農林漁業法人に対する投資育成事業を行うアグリビジネス投資育成(株)は10月18日、東京都内で2023年度の交流会(セミナー)を開いた。食料・農業・農村基本法(以下「基本法」)の検証・見直しの状況」、「円安はどこまで続くのか?」、「物流の2024年問題の影響とその先の展望」について、それぞれ専門家の講演を聞き、ディスカッションした。オンラインを含め、農林漁業法人、食農バリューチェーンに関わる法人の経営者など約90人が参加した。

講演を聞くアグリビジネスの役員講演を聞く参加者

基本法では、農水省大臣官房参事官の小坂伸行氏が、今年の9月に公表された食料・農業・農村政策審議会答申の内容を説明した。現行基本法は1961(昭和36)年の農業基本法制定後の急速な経済成長と国際化の進展などに伴う農業生産の停滞や農村活力の低下を踏まえ、農業・農村の方向性を示すための農政の方向性を示すものとして1999年に制定された。

現行基本法が制定されて20年余り経過し、農業・農村をめぐる情勢が大きく変化したことから見直しが必要になり、農水大臣から審議会が諮問を受け、2023年から16回の基本法検証部会を開き、見直すべき基本理念や基本的な施策の方向性について集中的に議論を重ねてきた。

小坂氏は、こうした基本法検討の経過と主な内容を説明。「食料・農業・農村に関する各般の施策を講じ、その実効性を高めるうえで、国民の理解と行動が必要不可欠」という答申内容を紹介し、消費者を含めた国民的な議論を呼び掛けた。

円安について話したJPモルガン・チェース銀行東京支店市場調査本部長の佐々木融氏は最近の日本のインフレ傾向に触れ、「過去30年間のディスインフレ時代は終了し、今後はインフレ率高止まりの時代に入る」と指摘。その要素として、労働者が豊富だった時代から不足する時代へ変わりつつあることなどを挙げた。

日本はインフレ率が上昇する中で、名目金利が上昇しないため、昨年度後半以降、急速に実質金利のマイナス幅が拡大しており、「当面、日本の実質金利はマイナス圏で推移する可能性があり、円の価値が下落し続けるリスクが高くなる」と、円安は当分続くと予測する。

労働力不足は物流業界をも直撃している。(株)NX総合研究所のリサーチ&コンサルティングユニット2シニアコンサルタントの金澤匡晃氏が、「物流2024年問題」で話した。

トラックドライバーは2024年から、年960時間の時間外労働に上限が設けられる。金澤氏によると、時間外労働の上限が設けられると、不足する輸送量の割合が、最も大きい農産・水産品で3割を超える。地域別では中国地方で2割が運べなくなるという。

対策として金澤氏は、①予約受付システムの導入②パレット等の活用、集荷先や配送先の集約③運転以外の作業部分の分離④出荷に合わせた生産・荷造りなどを挙げた。また荷待・荷役時間や多重下請けなど、商慣行見直しの必要性などを指摘した。

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