法人向けに手づくりブックレット 温暖化対策など平易に解説 アグリビジネス投資育成2024年5月9日
農林中央金庫をはじめとするJAグループ全国連と日本政策金融公庫が株主となり、農業法人などに出資して農業経営を支援しているアグリビジネス投資育成(株)は、このほど農業法人とのコミュニケーションツールとして「気候変動と農業~なぜ温室効果ガスの削減が求められるのか~」を発行した。農業に環境への配慮が求められる理由や、具体的な環境対策法などを若手社員のチームがかみ砕いて解説している。農業にも環境との調和が求められるなか、同社は「新しいビジネス機会だと捉えてもらえれば」とブックレットをもとに農業法人の経営層と対話を進めていく。
ブックレット作成チームのみなさん(左から)高良祐さん、岡田智子さん、塚田昌広さん、伊藤雄気さん、
中尾聖さん、吉田浩平さん
20ページのこのブックレットは「2023年の夏は本当に暑かったですね」で始まる。誌面の構成や資料収集、原稿作成まで担当した中尾聖さんは「自分ごととして考えて読んでもらうため、原稿は対話調を心がけました」と話す。
気候変動によって自然災害が増えているが、掲載している写真は農業者に身近に受け止めてもらえるよう、冠水した農地や暴風で吹き飛ばされたハウスのリアルな光景などを選んだ。
そのうえで農業も温室効果ガス(GHG)を排出していることを科学的根拠に基づいて解説、日本はみどりの食料システム戦略でゼロエミッションをめざしていることや農産物の販売先である量販店のサプライチェーン全体でのGHG削減の動き、農産物のラベルで削減率を「見える化」する農水省の取組みなども紹介している。
こうした潮流を解説し、農業現場での取組みとして水田の中干し期間の延長や、ヒートポンプの導入などを挙げて「取組みことができそうな方法から段階的に試みるのはいかがでしょうか」と呼びかけている。
中尾さんは「環境負荷軽減と言うと農業者のみなさんは負担に感じるかも知れませんが、実際にはすでに取り組んでいることも多いはずで、さらに理解を深めて新しいチャンスだと考えてもらえるきっかけになれば」とブックレットへの思いを話す。国会で審議中の食料・農業・農村基本法の見直しポイントのひとつが農業の「環境との調和」。その点でもタイムリーなブックレット発行といえそうだ。
今年はもう一冊、「職場におけるハラスメントの理解のために」も発行、農業経営者が知っておくべきハラスメントの種類や法令を解説している。
同社は2年前から農業経営者向けにインボイス制度や事業承継対策などをテーマにブックレットを作成しているが、今年は気候変動も含め、いずれも農業経営者にとって「避けて通れない」社会課題を敢えて設定した。
同社はこのブックレットをもとに農業法人とコミュニケーションを進めており、「出資だけでなく、時流に合わせた農業経営へと伴走していきたい」と話している。
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