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賃上げと物価の好循環で日銀利上げ 米国景気など予測 農林中金の金融経済トップセミナー2024年9月5日

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農林中央金庫は9月3日に東京都内で金融経済トップセミナーを開いた。テーマは「現下の金融経済情勢と今後の展望」。信連職員などオンライン視聴も含めて約100人が参加した。

今年で37回となった農林中金の金融経済トップセミナー今年で37回となった農林中金の金融経済トップセミナー

このセミナーは系統団体や関連会社役員層を対象に金融経済情勢について理解を深めるため1987年から開催している。

3氏が基調講演。野村證券チーフエコノミストの森田京平氏は米国経済の見通しなどを話した。森田氏によると、景気後退が懸念されていた米国だが、AI関連の半導体産業が好転し製造業が主導して成長しており、景気後退リスクは低いという。ただ、米国で消費者物価指数の3割を占める住宅家賃指数がリーマンショック以来のマイナスに転じたことや、失業率が増加することなどを背景にFRB(連邦準備制度理事会)は利下げを行い、現在5%台の政策金利を来年には段階的に3%半ばの水準となると予想した。
一方、日本経済について企業のソフトウェアへの投資が増えており、これは労働力不足に直面し「人」への依存度を下げ始めた現れと指摘、デジタル化への対応など、人手不足のなか労働生産性の上昇や、労働市場の流動性などが議論されるようになるとみる。

全体として日本経済は春闘による賃上げと物価上昇の好循環が高まり、日銀は政策金利を引き上げることは見込まれており、それが中小企業や住宅ローンへの影響を懸念する声もあるが「景気を下押しするほどの影響はでないだろう」とした。

三菱UFJモルガン・スタンレー證券のチーフ債券ストラテジストの六車治美氏は国内経済と日銀の動向を見通した。

日銀短観によると今年度の企業の設備投資は全産業規模で前年度比+8.4%と拡大が維持されており、業況判断も高めの水準を維持している。ただ、人手不足感が強まり働き手の確保が賃上げにつながっているが、年齢差があり30歳代後半~50歳代の伸び方は低く、消費性向の高い年齢層での個人消費が懸念されるとした。こうしたなかで消費者物価指数は2%超で推移しており、日銀は利上げに踏み切った。

今後は今年12月に0.50%、25年10月~12月に0.75%、26年度中に海外経済の回復と日本のインフレ率が安定していることが確認すれば1.00%へと引き上げると予想した。

SМBC日興証券のグローバル金融ストラテジストの村木正雄氏は米国の金融経済をテーマに話し、二極化を指摘した。金利の引き上げとコロナ下での量的緩和というブレーキとアクセスを同時に踏んだが、それは低所得者や非上場企業や地銀にとっては、インフレと高金利の2つの課税でさらに弱体化されたした。しかし、中高所得者や上場大企業にとっては、コロナ下での過剰支援で高金利のローンも返済しており、こうした強いセクターが景気を牽引している現状を指摘した。

そのほか米国大統領選でトランプ氏が当選すると、米ドル安を要求したり法人減税を進めるなどを森田氏は予想。ハリスが当選して民主党政権となるも議会は共和党主導のねじれとなると当面は内向きの政策と厳しい対中政策が続くと六車氏は予測した。

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