人手不足、コスト増にトランプ関税まで 日本経済は「倒産増」時代 返済で困った時使える「農業負債関係資金」2025年4月9日
2024年度(24年4月~25年3月)の全国企業倒産件数は11年ぶりに1万件を上回り、農・林・漁・鉱業も倒産増が顕著だ。人手不足にコスト増、トランプ米政権の「相互関税」……2025年度も荒波は続く。農業負債の返済で困っている農家が使えるのが「農業負債整理関係資金」だ。
2024年度産業別倒産状況
4月8日、負債総額1000万円以上の企業倒産を東京商工リサーチがまとめ公表した。倒産件数は1万144件(前年度比12.0%増)、負債総額は2兆3739億円(同3.6%減)だった。
農・林・漁・鉱業の倒産、前年度比13.7%増
産業別では、10産業のうち金融・保険業と運輸業を除く8産業で前年度を上回った。最多はサービス業他の3398件(同12.3%増)だったが、農・林・漁・鉱業は件数116件(同13.7%増)、負債総額295億6700万円(同55.1%増)だった。
東京商工リサーチは「人手不足や原材料・資材、エネルギーなどのコストアップに加え、新たな相互関税も大きな経営課題に浮上している。また、過剰債務の解消が手につかない企業は、新たな資金調達が難しい状況に変わりはない。相互関税の余波で、為替が乱高下し、物価高が解消される要素は見当たらない」と解説している。倒産増の背景となった厳しい経営環境は2025年度も続きそうだ。
「農業」の倒産、暦年では過去最多
2024年1~12月の暦年でみると、「農業」の倒産は87件(前年比12.9%増)で過去最多だった。負債総額は192億6000万円(前年比47.0%増)だった(負債1000万円以上、東京商工リサーチ調べ)。人手不足、コストアップ(の価格転嫁困難)、過剰債務企業の資金調達難といった他産業に共通する要因に加え、農業関連の倒産では、天候不順や病虫害も影響している。
急増する「人手不足」関連倒産
借り入れの返済で困ったら
経営難の基本原因は経常収支の赤字だが、債務返済の重さが倒産の引き金を引くことが多い。借入金の返済に支障を来した農家、農業法人が使えるのが「農業負債整理関係資金」である。状況別にA、B、Cの融資が用意されている。
Aは「制度資金以外の負債の整理が必要な方」で、農協等から農業経営負担軽減支援資金を融資する。限度額は「営農負債の残高」で償還期限は10年以内(特に必要な場合は15年以内)。借入時の金利は金融情勢により変化する。
Bは「制度資金の負債の整理が必要な方」で、日本政策金融公庫から経営体育成強化資金を融資する。農協等でも受け付ける。限度額は経営改善計画期間中の5年間(特認の場合10年間)に支払われる制度資金等負債の支払金合計額に相当する額で償還期限は25年以内。借入時の金利は金融情勢により変化する。
Cは「前向き投資の資金も必要な方」で、Bを選択すれば、経営再建に必要な範囲内で前向き投資資金も融資する。CはBと同じく、日本政策金融公庫の経営体育成強化資金のメニューだ。
負債整理関係資金の借り入れ手続き
出所 農水省経営局金融調整課「農業負債整理関係資金のご案内」(令和7年4月1日)
「負債整理資金の活用」農協、公庫に相談
農水省は、「まずは融資を受けている金融機関と返済条件緩和を相談し、それだけでは経営再建が図れない場合、負債整理資金の活用について、農協や公庫とご相談ください」(経営局金融調整課)としている。
「負債整理資金等の融通によって、農業経営を再建し、地域農業の担い手となっていくことのできる方に融資する」という考え方で融資審査を行い、通常、1ヵ月半で融資できるかどうか判断する。借り入れ状況によって期間は変わることがある。債権保全は物的担保と農業信用基金協会による保証のどちらかを基本とし「第三者保証を取ることは想定していない」(金融調整課)。
「ていねいで親身な対応」政府が金融機関に要請
これとは別に政府は4月3日、金融庁監督局長、農水省経営局長などの連名で「米国自動車関税措置等に伴う影響を踏まえた金融上の対応について」を発出し、官民の金融機関に「中小企業・小規模事業者の資金繰りに支障が生じないよう......適時適切な融資・保証、担保徴求の弾力化、既往債務に係る返済猶予や条件変更を含む資金繰り相談に丁寧にかつ親身になって対応すること」などを求めた。
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