金融共済:JA共済優績表彰2013
【JA共済大賞に輝く3JAに聞く】地域とのつながり深めいのちとくらしを守る(JAあいち中央・JAあいち豊田・JA兵庫六甲)2013年5月16日
・JAあいち中央支店を核にくらしの情報を
・JAあいち豊田必要な保障提案をさらに強化
・JA兵庫六甲「くらしの相談員」、55支店218人配属
平成24年度のJA共済大賞の受賞3JAは、いずれも組合員・利用者とのつながりを重視した推進活動を行っている。特に支店を軸にLAや相談員が日常的にさまざまな相談ごとに応じ、JAに対する信頼を得ている。さらにLAを支える体制がしっかりしていることも共通する。3JAとも受賞常連だが、毎年の着実な取り組み、実績の積み上げがそれを可能にしている。
JAあいち中央(愛知県)
信頼築き満足度を高める
支店を核にくらしの情報を
◆JAの求心力高まる
愛知県のJAあいち中央は、平成21年度以来のJA共済大賞受賞となりました。石川克則組合長は「組合員の協力と、役職員の努力の結果です。共済事業だけでなく、JA全体への理解が実を結んだ結果であろうと心からうれしく思います。今回の受賞を契機に、JAへの求心力がさらに高まることを期待するとともに、引き続き共済事業をJA運動の中心的な取組みとして組合員とのかかわりを深めたい」と喜びと抱負を語ります。
平成24年度の共済事業実績は、生命・建物更生共済の保有契約高が1兆7953億円、生命・建物更生共済新契約が1443億円、自動車共済新契約が4万7111件となっています。生命・建物更生共済新契約のうち、生命共済が773億円、建物更生共済が670億円。医療系共済は5941件、年金共済は10億円(年金年額)の実績を挙げました。
(写真はJAあいち中央本店)
◆支店に運営協議会組合員の生活を応援
平成8年の合併後、支店の再編を進め、支店数を75から29に集約しましたが、JAでは支店を核として組合員の生活を幅広く応援するため、くらしに役立つ情報を発信しています。中川廣和専務は「『支店が遠くなる』という組合員の切実な声に対応するため、支店を「くらしの拠点」と位置付け、結びつきを強める取り組みを進めてきました」と振り返ります。
JAの事業計画書には、JA全体だけでなく、支店ごとの運営方針が詳しく記載されています。支店ごとの運営方針は、「支店運営委員会」を主体に組合員も参画して作成されており、身近な支店運営によって、共済をはじめJA事業の満足度を高めています。
◆重層的にLAを支援、訪問と提案を充実強化
地域密着型の活動を一層強化するため、平成21年度には、LA(ライフアドバイザー)体制を専任から複合に変更しました。これにより、LA数を約2倍に増やして提案型の訪問活動を充実させ、組合員・利用者の利便性を高めています。平成24年度のLA数は114人、LA4?5人に対して1人のLAリーダーを配置しています。また、ブロック単位に12人の渉外担当課長を配置し、重層的にLAを指導・育成しています。本店には4人の地区担当課長を配置し、渉外担当課長への支援も怠りません。
LA教育も充実しています。LAになる職員には、1年間、金融・共済担当として窓口業務を経験させます。基礎知識を養い、組合員との信頼関係や職員同士の協力体制も築けるので、LAになってからも円滑に活動ができます。
LAのスキルアップのための会議・検討会も定期的に開催しています。金融共済普及部の江場正秋部長は「推進結果は実績を見れば分かるので、会議では言及しません。現場での優良取組事例の共有に重点を置いています」と話します。
◆信頼関係の原点は3Q訪問や声掛け
LAが訪問・推進しやすい環境を整えるため、スマイルサポーターが、窓口に訪れた組合員・利用者とのやり取りの中で得られた情報を「情報提供カード」に記入し、支店内で共有する取り組みも継続しています。
同部推進課の小笠原一雄地区担当課長は「これから出向く家庭で、どんな情報が必要とされているのか分かるので提案のヒントになります」とその効果を語ります。
また、全職員で年に2日の統一実施日を設けて全戸訪問を行い、組合員・利用者の保障内容の確認やニーズ調査を行っています。「3Q訪問活動にしっかり取り組めば、JAファンは必ず増えます」と江場部長は力強く話します。
組合員・利用者への訪問活動や窓口対応は、JAの総合事業を知ってもらうための活動ともいえ、支店を「くらしの拠点」として、積極的な声掛けを行うことにより、ニューパートナー(新規契約者)との接点も生まれています。
「組合員・利用者に常に情報を発信して、信頼関係を築きながら満足度を高め、『JAを利用して良かった』と言っていただけることが大切です」と渥美純一常務は話します。
(写真は、左から石川克則組合長、中川廣和専務、渥美純一常務)
JAの概要(平成24年度末)
JAあいち中央は愛知県のほぼ中央に位置し、平成8年に碧南市、刈谷市、安城市、高浜市、知立市の5JAが合併して誕生しました。主な農産物は、米、イチジク、梨、ニンジン、タマネギです。組合員数は4万3280人(うち正組合員1万3595人)、職員数は1101人(うち正職員数715人)です。支店を「くらしの拠点」と位置付け、地域にとけこんだ活動を展開しています。「魅力ある地域農業」と「豊かな生活」を提案することで、組合員・利用者の期待を先取りする「利用者満足度No.1」のJAを目指しています。
◇ ◇
JAあいち豊田(愛知県)
組合員・利用者との絆づくり
必要な保障提案をさらに強化
◆3年連続5度目の受賞
愛知県のJAあいち豊田は合併10周年を迎えた平成24年度、組合員との絆づくりをさらに進め、3年連続5回目のJA共済大賞受賞という偉業を達成しました。柴田文志組合長は「共済推進は組合員の生命・財産を守ることが目的です。直接顔を合わせ、生活やライフサイクルに合わせた保障を提供してきたことが結果につながったと思います」と、受賞の喜びを語ります。宇野幸伸専務も「『保障提案は、組合員・利用者のため』という強い思いを持って、LAや職員が良く頑張ってくれました」と、評価しています。
平成24年度の共済事業実績は、生命・建物更生共済の保有契約高が1兆5539億円、生命・建物更生共済新契約が1426億円、自動車共済新契約が4万303件となっています。生命・建物更生共済新契約のうち、生命共済は601億円、建物更生共済が825億円。医療系共済は4866件、年金共済は10億円(年金年額)の実績を挙げました。
(写真はJAあいち豊田本店)
◆自動車共済で4万件達成、「スマサポ」の成長が原動力
「クルマのまち」豊田市を管内とするJAあいち豊田では、自動車共済4万件の獲得を目標に取組強化を続けてきました。柴田組合長は「自動車共済の提案を通じて若い世代がJAと接するきっかけとなる他、自動車共済の加入を切り口に生命・建物更生共済などへの取引の深化も期待できます」と取組みの重要性を語ります。
JA一丸となった取組みの結果、平成24年度は念願の目標を達成しました。その要因を清水宏明共済部長は「スマイルサポーターの成長が目標達成に導いたと思います。月1回の実績検討会議を通じて、自ら考え行動に移す担当者が増えてきました」と、説明します。
JAでは各支店のスマイルサポーターを集め、月に1回、実績検討会議を開いており、支店の実績や他社の動向分析、成功・失敗事例の共有、共済事務やコンプライアンスの研修などを行っています。水野充人共済企画課長は「努力を褒め、担当者に積極的に発言してもらう参加型の会議を心がけています」と語り、LAとの連携や、他社切替など自動車共済の推進方策なども皆で話し合うことで、目標を共有し実績に結びつけています。
◆新たな組合員の加入促進、ファン増やしJAも進化
合併10周年の平成24年度に、JAは管内9地区で地域に密着した記念イベントを開きました。組合員や地域住民との交流を通じて、「地域に根ざした協同組合活動」の原点を再確認しました。今後も相互扶助の精神をPRしてJAファンを増やし、総合事業を営むJAの良さを、多くの人に知ってもらう考えです。
JAではこの1年間で約1万人の准組合員が増えました。柴田組合長は「新しい組合員も同じ仲間として、これまで同様、組合員の生命・財産を守るために必要な保障を提案していきたいと考えています。信用、共済、Aコープ、産直(直売所)など、あらゆる事業を利用してもらえるよう、JAも進化していく必要があります」と、今後を見据えています。
(写真は、左から柴田文志組合長、宇野幸伸専務、須賀伸人常務)
JAの概要(平成24年度末)
JAあいち豊田は平成14年に豊田市、三好町、よつば、下山村の4JAが合併して誕生。豊田市とみよし市を管内とし、トヨタ自動車の企業城下町とも言える地域です。管内面積は愛知県の5分の1を占め、北部は長野県、岐阜県に接します。都市部のある平地から中山間地域までがあり、米、桃、梨、茶、菊、ブドウなど多様な農作物が作られています。組合員数は4万3796人(うち正組合員1万4762人)、職員数は847人。経営理念として「地域に根ざし、人の命と土の文化を育みます」を掲げています。
◇ ◇
JA兵庫六甲(兵庫県)
「くらしの相談員」中心に
55支店に218人を配属
◆地域密着が実を結ぶ
兵庫県のJA兵庫六甲は、総合渉外担当者「くらしの相談員」による地域に密着した活動が実を結び、2年連続でJA共済大賞を受賞しました。北畑親昭組合長は「連続での受賞は光栄です。職員が組合員の生活に密接にかかわり、ニーズに応えて頑張ってくれた成果です」と、喜びを語ります。立花政弘副組合長も「最適な保障を提供し、組合員が安心して生活ができるようにしたいと思っています。その思いが通じた結果です」と話し、組合員・利用者のための共済事業を強調します。
平成24年度の共済事業実績は、生命・建物更生共済の保有契約高が2兆1345億円、生命・建物更生共済新契約が1855億円、自動車共済新契約が3万1055件となっています。生命・建物更生共済新契約のうち、生命共済は755億円、建物更生共済が1099億円。医療系共済は2556件、年金共済は13億円(年金年額)の実績を挙げました。
(写真はJA兵庫六甲本店)
◆役職員全員で意思統一、保有契約高を純増
JA兵庫六甲は平成24?28年度までの第3次5カ年計画(16ビジョン)で「長期共済保有契約高の維持」を打ち出しました。保有契約高の維持は、組合員の生活を守ることにつながると各種会議を通し役職員全員で意思統一を図り、くらしの相談員の日報に役員自らが激励のコメントを書くなどして取り組んだ結果、平成24年度期首比19億円の保有純増を達成しました。
吉田康弘専務は、「共済事業は総合事業を営むJAの要として重視しています。共済の仕組みが自動車やこども、介護、年金などバラエティに富み、組合員世帯全員と幅広いつながりができます。その付き合いは10年、20年と続き、その中で生活全般にわたるさまざまな相談に応えることができます。そんな事業は他にありません」と力説します。3Q訪問活動で組合員や家族のニーズをしっかりくみ取れば、自然と偏りのないバランスがよい共済推進ができるとも考えています。
◆「相談員」の支援体制充実、自主的に推進方法の勉強会も
JA兵庫六甲の推進の特徴は、共済・信用事業がくらし全般をサポートする生活文化事業に位置づけられている点にあります。推進の主役は「くらしの相談員」。55支店などに合計218人が配属され、一人あたり約200戸の組合員を担当します。共済・信用事業の推進のほか、営農経済、資産管理事業の相談受付など、総合的な相談活動を行っています。本店の各事業部と3つの地域事業本部、支店が連携して相談員を支援し、営農などの専門的な案件はそれぞれの専門部署がバックアップする体制をとっています。
「くらしの相談員」はJAの顔であり相談窓口です。日々変化する組合員の生活全般にかかるニーズをくみ取り続けるため、設定した目標や相談員の行動、顧客情報をJA全体で管理できるようシステムを構築しています。
JA兵庫六甲は人材育成にも積極的です。1年目の新人は内勤でJAの基礎知識を身に付け、相談員になれるのは入組2年目以降です。相談員は支店でリーダー職(課長職相当)が指導し、地域事業本部にいる9人のエリアディレクターも同行推進などで支援します。
さらに支店では相談員が自発的に共済の推進方法の勉強会を開いたり、窓口担当者との連携にも力を入れています。
◆自律創造型の人材育成、JAファンづくりさらに
JAは合併以来、「自律創造型の人材育成」を目指しています。「組織は風通しが良く、ものを言いやすい風土があると思います。自発的に動く職員を頼もしく感じています」と大内山典武常務は話します。生活文化事業部の高塚登志代ゼネラルマネージャーも「今後も暮らし全般にかかわる心配事やニーズに応え、組合員・利用者の不安をなくす相談対応を徹底していこうと思います」と抱負を語ります。
若い世代とのつながりを強化するため立ち上げた「JA兵庫六甲こどもくらぶ」は会員数が約2000人と人気です。
地域住民に対して体験型の食農教育やアンパンマンショーなど総合的なイベントを提供し、今後も「農」を基軸に総合事業を営むJAの良さを発信、新たな「JAファンづくり」をすすめていきます。
(写真左から北畑親昭組合長、立花政弘副組合長、吉田康弘専務、大内山典武常務)
JAの概要(平成24年度末)
JA兵庫六甲は平成12年4月、兵庫県南東部の9JAが合併して誕生しました。JA共済大賞は2年連続の受賞となります。平成24年度末現在の組合員数は9万203人(うち正組合員数3万652人)。信用事業で1兆1808億円の貯金がある他、農業も盛んで販売品販売高は150億円あります。職員数は1237人(うち正職員数1137人)。本店のある神戸市をはじめ管内では、米やキャベツ、軟弱野菜、イチゴ、梨、ブドウ、和牛(神戸牛・三田牛)、牛乳などの生産が盛ん。市街化区域も抱え、資産管理もJA事業の柱です。
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