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【クローズアップ・農政】中国、米の輸入世界一に 食品高騰で安い米ニーズ高まる2013年9月12日

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・米は不足していない
・低価格米を大量輸入
・買入価格の見直しも
・世界需給に影響は?

 中国の米輸入が今年7月から来年の6月までの1年間で340万tとなる見込みだという。米国農務省やFAO(国連食糧農業機関)のデータによれば2年連続で米輸入世界一となる。一方、中国は10年間連続で米は豊作。経済成長を続けるなかでも中国は穀物自給95%を維持するのが政策だった。
 それがここに来てなぜいきなり世界一の輸入国となったのか? 農林中金総合研究所基礎研究部の阮蔚(ルアン・ウエイ)主席研究員などに聞いた。

◆米は不足していない

 中国統計年鑑などによると2008年から11年にかけて米の輸入量は30万tから50万t台にとどまっていた。それが12年に234万tと一気に急増。今年上半期の輸入量もすでに132万tとなっており、これを単純に倍にすれば昨年の量を超えることになる(グラフ参照)。
 米国農務省(USDA)は中国の米輸入は12年7月から13年6月の1年で290万tと、それまで1位だったナイジェリアの250万tをすでに超えていたと発表している。さらに今年7月から来年6月までの予測値は340万tと公表、これはナイジェリアより100万tも多い輸入量で2年連続で世界一となる見込みだ。中国の輸入量は米の貿易量3900万t(13/14年予測値、USDA)の約9%を占めることになる。
 しかし、阮蔚(ルアン・ウエイ)主席研究員によると「中国国内で米が不足しているわけではありません。むしろ余っているのです」と話す。
 実際、米の生産量見込みは1億4300tで、一部地域の干ばつ被害で昨年より減収しそうだが、それもわずか0.2%減の見込み。生産量も世界一で期末在庫量は4600万tを超える。

米の輸入国


◆低価格米を大量輸入

 では、なぜ米の輸入量が増えているのだろうか? それは中国産米の価格が高いからだという。 グラフは中国のなかでももっとも価格が安い早稲インディカ米とベトナムからの輸入米価格の推移だ。ベトナムからの輸入米のほうが国産の低価格米より安い状況になっている。
 米の関税割当(低関税枠)の関税率は1%だが、国内流通では13%の付加価値税がかけられている。しかし、それでも国産米より安いことから輸入が増えている。
 阮研究員によると、米の加工業者ではとにかく安い米のニーズが強まっているという。ビーフンのほかインスタント食品、酒造用原料などのニーズである。
 経済発展によって金銭に余裕のある層は高いジャポニカ米を好むようになり、米生産量の3割ほどがジャポニカ米になっているといわれる。ただし、産地は東北地方が中心のため、輸送コストを考えると南部の沿岸部ではタイ産の香り米など高価格の米が輸入され主食用として消費されているともいわれる。
 その一方、経済発展は人件費とともに物価の上昇ももたらし、沿岸の都市部では農村からの出稼ぎ者が減少、外国企業も撤退するなどの事態も起きている。そうした地域で今後とも経済発展を続けるには、庶民の食料品価格をいかに安く提供するかが課題になっている。そのためベトナムをはじめ、パキスタン、ミャンマーなどから米の輸入が増えているのだという。

中国国内のコメ価格

中国のコメ貿易量

(グラフは、(上)中国国内のコメ価格、(下)中国のコメ貿易量)


◆買入価格の見直しも

 中国は国内生産を増やすために米については政府が価格支持を目的に買い上げ政策を行ってきた。それによって今年まで10年近く増産を続けてきた。 しかし、先のグラフに示されているように買い上げ政策が結果的にベトナムなどの輸入米よりも高い状況を生んだ。中国でも備蓄米は加工原料用に売り出すが、業者は国産を買わず輸入米で手当している。かりに業者が希望する価格で売れば政府は買入価格との逆ざやに悩むことになる。
 こうした状況に「中国の米政策は大変難しい局面に来ています」と阮研究員は指摘する。問われているのは、買い上げ価格をどうするのか、である。買い上げ価格を引き下げれば農家は意欲をなくし生産量は減少するだろうとみる。そこで日本のようにコストダウンの努力をして生き残った大規模農家に生産を続けてもらうため直接支払い制度や収入保険制度による支援策の導入も検討されているという。
 ただ、日本のように農家のデータが把握できていないため、その整備にも時間がかかる。また、収入保険制度では民間保険会社の活用も検討され、業界では歓迎しているというが、果たして保険会社が農家のためにきちんと支払いを行うのかと保険会社のモラルを疑問視する声もすでにあるという。
 では、買い上げ価格を維持すればどうなるか――。「安い米を求めて輸入拡大が続くことになると思います」。
 中国の米の関税割当枠は532万t。米政策を修正するには農家データの整備にも時間がかかる。だから500万t程度までは輸入を拡大する可能性もあるという。
 もうひとつ輸入米が増えた原因として指摘されているのが、安全・安心問題だ。工業化による土壌汚染も広がっており、ここ2年間の輸入米の急増には国内産米からカドミウムなどが基準値を超えて検出された事例も誘因となったといわれる。


◆世界需給に影響は?

 人口増加と経済発展をふまえレスター・ブラウンが『誰が中国を養うのか』と指摘したのが1990年代の半ば。それに応えるように中国はその後、米、麦など基礎的食料は自給率95%を維持するとして国内生産を増やしてきた。
 阮研究員はこの食料政策は基本的には変わっていないというが、自給の水準を「95%から90%、あるいは80%と少しづつ下げている姿勢は感じられる」という。
 それでも米の国際相場には、インドが備蓄米の輸出を解禁したことなどで大きな影響は与えていない。インドは07年から08年にかけての食料危機で備蓄に力を入れたが、備蓄スペースの限界から放出を決めた。インドネシアやフィリピンも国内生産の増加で米の輸入量が減っている。
 こうした要因から今のところ価格高騰にはつながっていないが、増産を続ける一方で、社会の変化から輸入量を増やす中国の食料・農業政策の今後は世界に大きな影響を与えそうだ。

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