【米生産・流通最前線2016】28年産米需給引き締まり「深掘り」で主食用不足(上)2016年9月5日
米穀新聞記者熊野孝文
28年産米の出来秋を迎えた。目標とした生産調整は産地の努力で達成する見込みといわれるが、新米の取引会では相次ぐ台風の影響による作柄懸念も手伝って相場は上昇気味だという。米の生産と安定供給に向けた今後の課題を流通業界の動向から探る。
◆台風で作柄懸念も
8月25日に東京、大阪、福岡の3会場で日本コメ市場の取引会が開催された。
取引会では参加した卸に取引会提示米穀一覧表が配布された。提示メニューでは、千葉、茨城の28年産早期米や四国、さらには福井の「ハナエチゼン」の新米の売り物が出ていた。提示価格は千葉「ふさおとめ」1等が8月中渡し条件で東京持ち込み1万2600円(税別以下同)、「ふさこがね」1等9月中旬まで1万2500円、茨城「あきたこまち」1等9月3日まで渡し条件1万2800円、茨城「コシヒカリ」1等9月中旬まで1万3400円など21件の新米の売り物が出た。この提示一覧表を見た卸の中には唱え値が高いので、売り人が価格を下げて成約すると予想していたところもあったが、実際はこの唱え値で買いが入ったほか、中には唱え値より高値で指値する卸もおり、その場で成約するといった状況になった。
この取引会の結果について市場関係者は、台風の動きを懸念して買い手が早めに新米の手当てに動いたためと言っている。取引会の当日は台風9号が過ぎ去ったのも束の間、10号がUターン、関東上陸も予測されていた時期で、台風の動きがダイレクトに新米取引に影響した。
◆関東早期米 高値で成約
宮崎、鹿児島の早期米コシヒカリに続き盆前に千葉のふさこがねやふさおとめの収穫が始まり、コメ業界は本格的な新米商戦に入った。
8月19日には千葉市に全国各地の業者が集まり、恒例の新米取引会が開催された。この取引会で口開けとなったのは北陸の業者が千葉のふさおとめ、ふさこがね、コシヒカリ、茨城のあきたこまちなどに買い声を上げたのに対して茨城の集荷業者が売りに応じたことに始まる。千葉コシヒカリ1等が9月中渡し条件置場1万2600円で成約したのを皮切りに同値で茨城コシヒカリが、千葉ふさおとめ1等は置場1万2200円、同値でふさこがね、茨城あきたこまち1等は置場1万2500円で次々に成約が進み、昨年の取引会の成約量を上回る2万1874俵が成約した。
取引会前の事前の予想では、東京の業務用大手小売の集まりで千葉ふさおとめ、ふさこがねは置場1万2000円が上限と予想していたが、それを上回る成約価格になった。昨年同時期の成約価格が置場9700円程度であったことを見れば1万2000円が上限という読みはあながち安値を見込んでいたわけではない。こうした業務用大手小売もある程度の高値を見込んで取引会に参加したのだが、新米は北陸や関西勢に買われて高値に追随できないままで終わってしまった。また、量販店に白米を納入している首都圏の卸も新米セールの主力商品として茨城あきたこまちの値入価格を量販店に提示しており、その際の玄米の損益分岐点は1万2500円とはじいており、まさにその価格で成約が進み、白米の利益が出ない価格になってしまった。
1社で5000俵以上の関東新米を買った北陸の業者は、28年産福井コシヒカリや富山コシヒカリの全農相対価格は1万4000円から1万4500円になるとみており、その価格に比べれば関東の早期米価格は割安という判断だ。
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