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【 2019年産米の作柄・1】今年の作柄は「平年並み」 JAcom独自調査 220JAの担当者に聞く2019年9月20日

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 本紙が毎年実施しているJAの米担当者に聞いた2019年産米の作柄についての集計結果によると、道府県の作況見込みは95~102で全国平均では99と推計された。多くの地域で昨年よりも作柄は良いとの声が聞かれたが、西日本を中心に高温対策や病害虫に対する対策が改めて必要になっているなど、最終的な作柄と品質を懸念する声も聞かれた。また、北海道、東北の米主産地の一部や中四国では農家の急速なリタイアで米の作付けが減少し需要に応じきれない実態もあるなど、生産基盤の弱体化を懸念する声がこれまで以上に増えた。

収量アップを期待して(JA大潟村提供)

収量アップを期待して(JA大潟村提供)


◆北・東日本 天候良好

 調査は9月5日から13日にかけて、各道府県で管内の水稲作付面積の多いJAを中心に米担当者から現場の作柄見込みや水田農業の課題などを聞いた。広域合併JAはいくつかの地域状況を把握するため複数に聞いており、最終的に222人のJA担当者から回答を得た。
 北海道、東北からは昨年に比べて天候が良好で生育が良いとの回答が相次いだ。ただ、9月に入っても高温、とくに夜間も気温が下がらず、高温障害を心配する声も目立った。30年産よりは作柄は良いとほとんどの担当者は見込むが作況指数は101~102との推計結果となった。
 北陸も「今年は茎数も籾数も多く水不足もない」など良好な天候だったという。ただ、一部は台風の通過で倒伏し収量が落ちたとの声も聞かれた。
 関東は6月から7月の日照不足の影響を見込む地域が多く、生育の遅れを指摘する声も聞かれたが、8月以降の天候で「多少戻っている」という地域がある。その一方、茎数が確保できず思ったように収穫できていないとの声も。千葉県への聞き取りはほとんどが9日の台風15号被害前に実施したが、「日照不足で10年ぶりの不良」、「低温続き。カメムシ被害もかつてないほど」などとの声があった。台風前にほとんど収穫を終えた地域もあるが、カメムシ被害で品質が落ちるとの心配も。台風被害がさらに懸念される。
 東海では概ね平年並みの見込みだったが、三重県は6~7月の曇天、長雨で稲丈が伸び、台風10号で倒伏したことなどからやや不良との見込みが聞かれた。


◆西日本、病害虫に苦慮

 近畿から中四国、九州にかけては天候に恵まれたとする地域が一部あるものの、日照不足、長雨、一部では昨年より被害が少ないものの台風による被害も指摘された。
 とくに九州でウンカの発生が問題となった。愛媛や和歌山からも発生が報告された。「高温多湿の影響からか病害虫の発生が多くなっている傾向にある。次年度以降もこのような気象なら防除体系の見直しが必要だ」との声も聞かれた。ただ、直近の対応でも苦慮しているようだ。「適期防除をしたいが指導員不足で人手が足りない。米価が上がったことで防除講習会を開いても生産者があつまらない。関心が薄くなっている」との声も。熊本県では20年ぶりにウンカの注意報が発令。「スピーカー搭載車で地域を回り防除への意識を高めることができた」、「生産者に分かりやすい防除情報の発信をしてほしい」などが聞かれた。
 天候不順や病害虫対策の必要性が改めて高まっていることは当然、九州に限らず各地から指摘される課題だ。
 北陸から「営農指導でいろいろな肥料・農薬を試しているが、天候の影響が大きく、営農指導の結果が収量に直結しない。技術指導は難しい」との声や「自然災害、台風、長雨が当たり前になっている。やはり土づくりなど基本をしっかりすることが大切だと実感している」が聞かれた。また、試験研究の課題として高温耐性の品種改良の必要性は農家からも期待されている早急な課題だとの声も多い。

(表)2019年産米の作柄 JAcom農業協同組合新聞調査結果

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生産基盤の弱体化 懸念

◆需要に応じた生産へ

 今年は国による生産数量目標の配分が廃止された米政策見直しの2年目となる。JAグループも需要に応じた適正な主食用生産が必要だとして、備蓄米への取り組みや、飼料用、加工用米への転換などを進めてきた。
 こうした対応を進めるなか、産地JAの対応、考え方にはJAの生産販売戦略もあって、さまざまな意見が聞かれた。
 東北・北陸のJAには需要に応じた米づくりを進めJAとして事前契約を広げているなど、生産者には「売り切れるから徹底して米を作ってほしい」という声や、「産地の違いを考慮すべき。備蓄米にはそれに適した産地がある」、「売り切れるのだから作らせてほしい」という産地もある。
 その一方、「ブロックローテーションを組み4割を転作、作り過ぎれば米価は下落、全国で生産調整が必要だ」などの声も多い。また、生産者にも過剰になれば価格下落するとの意識は浸透してきており、助成金も含めて加工用米、飼料用米生産による手取りを示すなどで作付転換を図り円滑に進めているというJAもある。同様に業務用米の生産を年々拡大、実需者との結び付きを強めて安定生産と供給、「1俵あたり、ではなく10アールあたりどれだけ収益をあげるか、という意識に変わってきた」と生産者の変化も指摘された。

◆需要に応えられない...

 JA担当者の現場の実態をさまざまに聞いていくなか、今回感じられたのが生産基盤の弱体化だ。実需者の需要に応える産地づくりをしているJAがある一方、北海道、東北でも「毎年3%から5%が離農。引き受け手はいるが畑地化してソバや大豆を作付け」と水田が減っていく現状もあるという。若手の大規模農家は畑作物で経営を考えるというが、連作にならないよう産地として輪作体系の構築が早急な課題になっている。
 そのほかにも離農で作付けが減り、「主食用の需要に応えられていない」との声もあった。
 深刻さがうかがえたのが中四国。主食用米の生産数量の目安を守るどころか、「主食用米の目標達成も厳しい」ほど作付けが減少し、「生産調整以前の問題だ」と厳しい声も聞かれた。
 現在は需要に応じた生産ができていても、高齢化で生産が維持できるかどうかの不安や、担い手へ農地集約しても「限界に来ている」との指摘も多い。とくに中山間地域では農地の引き受け手がなく、耕作放棄地化が懸念されている。「毎年、地域で7軒から10軒、米づくりをやめていく」(北海道)など、急速に世代交代は進んでいるが、生産基盤は維持できるのか、あるいはどう維持するか、現場と向き合うJA担当者からのさまざまな声から農政の根本課題も見えてきた。


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【 2019年産米の作柄・2】 JAコメ担当者の声 主食用の確保も課題 大規模集約に限界感(19.09.20)

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