計画生産の徹底と需要に応じた作付けを推進 25年産水田農業でJAグループが方針決める2013年1月18日
JAグループは1月17日の全中理事会で「25年産水田農業にかかるJAグループの取り組み方針」を決めた。25年産主食用米の生産数量目標は791万tだが、この計画生産を生産段階から徹底するとともに、主食用以外の作物については調整水田などの不作付地を積極的に活用し水田面積の維持・拡大をはかることなどが柱。
◆需要に応じた生産を
主食用米の需要は減少傾向が続き24年産米の持ち越し在庫の増加が懸念されている。さらに25年産米で過剰作付けが拡大することになれば、出来秋には大幅な需給緩和と米価暴落の可能性があるとして、JAグループは主食用米791万tの計画生産の徹底を図る。
また、生産数量目標は24年産米より2万t減少しているが、▽地域の水田営農の継続性、▽生産者間の公平性、▽転作作物の定着度、▽ブロックローテーションの取り組みなどを考慮して適切な配分を行うこととしている。 一方、主食用米以外の生産は、自給率向上、水田機能の維持、生産者の所得確保・増大の観点から、地域の特性を生かした作物振興を通じて産地づくりに取り組む。
とくに政府備蓄米の買い入れ手法の見直しなどによって備蓄米の確保が優先されると、麦・大豆、供給が不足している加工用米の生産に影響が出ることも懸念される。そのためこれらの作物については調整水田や耕作放棄地などの不作付地の積極的な活用と合わせて、「地域の生産基盤を最大限活用できる作付体系の確立」に取り組むこととしている。
また、米粉の需要拡大や6次産業化など、米の需要拡大や生産者の所得増大につながる仕組みも検討する。
◆安定した取引関係
集荷対策では、24年産米で実施した地域実態に応じた買取・委託非共計や徹底したJA巡回などを継続するとともに、大規模生産者に対してはTACと連携し多様な集荷・販売方法を提示することで、担い手のニーズにきめ細かく対応する方針だ。
また、販売対策では播種前契約・収穫前契約・複数年契約を拡大し、安定的な販売体系を構築する。また、パールライスを中心として流通大手との連携強化や取引拡大の取り組みを進め、生産から精米販売まで一貫した販売対策を強化し、生産者手取りの確保につなげる。
そのほか原発事故対策として、国・行政と一体となって放射性物質の基準値を超えた農畜産物が市場に絶対に流通しない体制を引き続き構築するとともに、消費者への正確な情報提供にも取り組む。
◎作物別の課題と方針
【麦・大豆】
麦は26年産とあわせ品質向上や単収増加に向けた生産に取り組み、実需者との播種前契約を前提とした生産に取り組む。
大豆は水田の団地利用等を通じた品質の安定・収量の向上、契約栽培の拡大等に取り組む。また、産地資金の活用も含め安定生産に取り組む。
【加工用米】
買入価格が主食用米水準となる政府備蓄米や、交付金単価の高い新規需要米に比べてメリットが少なく、供給不足となり生産拡大が急務。
JA・県段階で備蓄米や非主食用米とのプール計算や産地資金の活用によって生産の確保に取り組む。
【政府備蓄米】
20万tを超える県別優先枠の配分と豊作時の作況調整を任意とするなどの買入手法の見直しでメリットが拡大。 このため非主食用米とのプール計算による生産者手取りの標準化の取り組み、産地資金を活用して水張面積の維持・拡大を図りつつ備蓄米の生産に取り組む。また、応札については都道府県協議会などと連携していく。
【米粉用米】
末端需要の伸び悩みによって在庫過剰となり価格が低下。需要の確保と流通コスト削減が課題。
JA・県段階では地域内流通を基本に需要に応じた生産に取り組む。全国段階は広域流通実需者を中心に販売促進を行う。県段階での需給ミスマッチ解消にも取り組む。
生産現場で需要を上回る生産希望がある場合は、生産者の理解を得て飼料用米等への誘導を行う。また、加工・流通施設と連携した米粉商品の開発と直売所等による地産地消の推進など需要拡大も図る。
【飼料用米】
地域内に需要がない場合は全農を通じた全国段階の販売を活用した生産拡大が必要。捨てづくり防止のため農水省は25年産から当初の契約数量を出荷数量とする方針。このため地域内需要との結びつきを優先し、直播栽培や立毛乾燥などの低コスト生産や、多収性専用品種の導入の検討も進める。
(関連記事)
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