小麦と米の豊凶3か月前に予測 農環研など2013年7月22日
(独)農業環境技術研究所(農環研)と(独)海洋研究開発機構は、3カ月前先の短期気候予測による穀物の世界的豊凶予測の手法を開発した。気温と土壌水分量の季節予測データを使い、小麦と米の豊凶を、世界の栽培面の約2割について予測できることを示した。
これまで季節予測データによる主要穀物の予測は特定の地域(オーストラリアなど)で行われきたが、全世界を対象とする予測はなかった。研究は小麦と米について、観測された生育後期3カ月間の気象条件(気温・土壌水分量)の前年差から、当該年の収量の前年に対する比を推定できる重回帰式を構築。これによって、小麦の世界の栽培面積の30%、米の33%で、精度よく推定できた。
この重回帰式に、収穫の3カ月前に予測した生育後期の気温と土壌水分量を入力したところ、栽培中の小麦と米の豊凶(前年よりも5%以上収量が低下あるいは増加)を、世界の栽培面積の約2割(小麦18%、米19%)で予測できた。
季節予測の精度が向上すれば、さらに広範な地域で精度の?い豊凶予測が可能になる。世界の穀物生産の豊凶予測の範囲が広がると、各国の備蓄量の調節や輸入先の選択などの判断材料の一つとして利用でき、より効果的な飢餓対策への道がひらけるものと期待される。
(グラフ)
米豪の小麦の実際の方協(黒線)と予測された豊凶(赤線)の差異
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