米の販売環境整備を JAグループ2013年10月2日
JA全中は25年産米の需給対策についてJAグループ自らの取り組みと政府に要求していく事項などを決めた。あわせて経営所得安定対策や日本型直接支払制度の具体化についても提言していく。
◆26年産米、大幅削減を
9月15日現在の25年産米の作況は全国で「102」となり825万tの収穫量が見込まれている。6月末の民間在庫量226万tとあわせ供給量は1051万tとなる。しかし、今年7月から来年(26年)6月までの需要見通しは786万tとなっているため、来年6月末の民間在庫量は265万tとなる見込みだ。
平成11年から昨年までの6月末民間在庫量では14年の229万tがもっとも多かった。ただし、当時の米需要量は895万と現在よりも100万t多かったことからすれば、今回の在庫量の持つ意味は大きく異なる。林農相も10月1日の会見で「大きな数字になることが単純計算でも出てくる。対処する必要が出てくればいろいろな検討をする必要があると思う」と述べた。
単純計算では7月策定の需給見通しより34万t増えるが、JA全中では作況と24年産米の持ち越し在庫をふまえると「60万?80万tの過剰が想定される」として、これを放置すれば26年産だけでなく27年産の米政策にも支障が生じることになることから、JAグループ自らが販売環境の整備に取り組むとともに、政府の支援が必要だと主張していく。
具体的には11月末にも決める26年産米の生産数量目標を大幅に削減する必要があるとした。ちなみに、25年産の生産数量目標は791万tで、面積換算では150万haだった。
ただ、この生産数量目標の決定にあたっては、生産現場の営農安定と所得の増大、食料供給力を維持していくために、非主食用米の作付け拡大に向けて、▽産地資金を含む水田活用交付金の見直しと拡充▽政府備蓄米の26年産買入予定数量の拡大、などの支援強化が必要だと要望していく。
◆他用途への販売も
さらに25年産米の販売環境を早急に改善するため、すべての産地が取り組むことを基本に、米穀機構(米穀安定供給確保支援機構)に生産者が拠出した過剰米対策基金を活用した需給改善の取り組みを実施することとしている。
その際、取り組みの実効性があがるように政府備蓄米の柔軟な運営など政府の支援が必要だとしている。さらに米需要拡大にも取り組むこととしているが、それでも販売困難となった米については、政府の支援や関係者の協力も得て、他用途への販売や持ち越し米としての販売の検討も必要だとしている。
JA全中ではこれら25年産、26年産の対策は今後の総合的な水田農業政策の推進のための環境整備として必要だとの考えだ。
そのうえで経営所得安定対策の基本的な考え方として▽需要に応じた主食用米の生産を継続するため米の直接支払い交付金は引き続き計画生産実施者を対象とする▽米の販売価格と生産費の差を補てんする仕組みとして維持▽米価変動交付金は収入減少影響緩和対策(ナラシ対策)と整理統合、一定の生産者拠出による品目ごとの収入減少影響緩和対策に見直し担い手の経営安定をはかる▽予期せぬ需要減や豊作で需給ミスマッチが発生するため生産者自らの取り組みを含めた米の新たな用途別需給調整の仕組みを確立する、などを提示している。
また、農業・農村の持つ多面的機能の維持・向上を目的とする日本型直接支払制度を早急に具体化する必要があることや、この直接支払制度は経営所得安定対策と政策目的が異なることから、別途に措置することも求めていく。
(関連記事)
・相対取引価格 前月比▲0.1% 24年産米 (13.10.01)
・25年産米の作況「102」 34万tの過剰 (13.10.01)
・加入面積1.5万ha増 米の直接支払い交付金(2013.09.24)
・米の需要、中食・外食で40万トン減 流通業界、深刻なダメージ(米穀新聞記者・熊野孝文氏)(2013.09.20)
・【25年産米全国JA調査】全国344JAに聞く 今年の作柄は「平年並み」(2013.09.20)
重要な記事
最新の記事
-
【特殊報】ホウレンソウにクロテンコナカイガラムシ 県内で初めて確認 神奈川県2024年12月23日
-
【注意報】カンキツ類にミカンナガタマムシ 県内全域で多発 神奈川県2024年12月23日
-
24年産新米、手堅い売れ行き 中食・外食も好調 スーパーは売り場づくりに苦労も2024年12月23日
-
「両正条植え」、「アイガモロボ」 2024農業技術10大ニュース(トピック1~5) 農水省2024年12月23日
-
多収米でコメの安定生産・供給体制を 業務用米セミナー&交流会 農水省補助事業でグレイン・エス・ピー ①2024年12月23日
-
多収米でコメの安定生産・供給体制を 業務用米セミナー&交流会 農水省補助事業でグレイン・エス・ピー ②2024年12月23日
-
香港向け家きん由来製品 島根県、新潟県、香川県からの輸出再開 農水省2024年12月23日
-
農泊 食文化海外発信地域「SAVOR JAPAN」長野、山梨の2地域を認定 農水省2024年12月23日
-
鳥インフル 米アイダホ州、ネブラスカ州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年12月23日
-
農林中金 当座預金口座規定を改正2024年12月23日
-
農林中金 変動金利定期預金と譲渡性預金の取り扱い終了2024年12月23日
-
「JA全農チビリンピック2024」小学生カーリング日本一は「札幌CA」2024年12月23日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」栃木県で三ツ星いちご「スカイベリー」を収穫 JAタウン2024年12月23日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」大分県で「地獄めぐり」満喫 JAタウン2024年12月23日
-
「全農親子料理教室」横浜で開催 国産農畜産物で冬の料理作り JA全農2024年12月23日
-
「愛知のうずら」食べて応援「あいちゴコロ」で販売中 JAタウン2024年12月23日
-
Dow Jones Sustainability Asia Pacific Indexの構成銘柄7年連続で選定 日産化学2024年12月23日
-
「東北地域タマネギ栽培セミナー2025」1月に開催 農研機構2024年12月23日
-
NTTグループの開発した農業用国産ドローンの取り扱い開始 井関農機2024年12月23日
-
北海道立北の森づくり専門学院 令和7年度の生徒を募集2024年12月23日