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生産調整の廃止と「主作」栽培を強調2013年11月25日

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産業競争力会議が22日に会合

 政府の産業競争力会議は11月22日、農業の経営所得安定対策と米の生産調整見直しを議題に課題別会合を開いた。会合では民間議員が▽5年後に米の生産調整を完全に撤廃すること▽転作助成を廃止して飼料用米や麦、大豆などを「主作」として栽培する政策転換、を求めた。安倍首相はこれらの提言に対して「民間議員の意見は過去の農政の流れを抜本的に改めるもの。農業の担い手が消費者の視点に立って経営し収益向上をめざすものであり、安倍内閣における農政に必要不可欠なもの」と述べ、林農相に提言をふまえた農政改革を求めた。

◆支援対象は「農業経営者」のみ

 産業競争力会議農業分科会主査でローソンの新浪剛史社長が「農業基本政策の抜本改革」として示した。
 基本的な枠組みは与党も了承した農水省の中間とりまとめとほぼ同じ。▽米の直接支払い交付金は激変緩和の観点から一定期間を経て30年産から廃止▽米価変動補てん交付金は26年産から廃止する、としている。
 ただ、国による生産数量目標の配分が行われなくなって過剰米が発生したとしても「市場機能の健全な発揮を通じて農作物の需給バランスを適正化するという基本原則に基づき政府が市場に直接介入しない」ことを強調している。そのうえで農業経営の安定のためには、収入保険制度を導入すべきだとし、その対象を「農業経営者」(農業とその関連所得を主たる所得とする、経営をしっかり行う農家)のみとすべきだと提言している。

◆転作助成を批判

 一方、主食用米以外の水田活用策については「これまでの転作助成という考え方を抜本的に改め、市場における需要の拡大が見込まれる麦、大豆、飼料用穀物、米粉用米等の作物を戦略作物として積極的に位置づけ、これらの戦略的作物を主作栽培とする新しい方針を明示」すべきとした。 この考え方の背景には、これまでの転作助成水準は主食用米と同等の所得水準が得られるように支援されてきたとして、これは「主食用米からの転作にインセンティブ措置を与えることを通じて、実質的な減反促進策として機能」してきたの批判がある。そのため提言では飼料用米等への交付金を増加させるのは、今回の改革の趣旨に反する「米の減反強化策」になると強調している。
 そのうえで支援策としては、生産性や生産力が向上するよう面積払いではなく「数量払いを中心とした戦略作物助成」を整備することを求めた。あわせて多収性の飼料用米、パンや麺類に適した小麦、高品質のソバなどの開発を国として支援することも提言した。
 ただ、数量払いを中心にした支援策についても「生産性向上や作物の質的向上を促すため毎年度検証を行い、補助金の額を減額したり単価を削減するなどの対応策を講じる」としている。

◆全国一律助成も反対

 米の直接支払い交付金の見直しにともなって農水省と与党が新たに導入しようとしている多面的機能支払い(農地維持支払い・資源向上支払い)について、民間議員は「全国一律どこでも同じ助成を受けられるスキームとするのではなく」と注文をつけた。この直接支払いも構造改革の観点から実施させるべきとの考えで、農地中間管理機構を通じた農地の集約化や、担い手の確保を後押しする取り組みを条件に助成が行われる手法を検討するよう求めた。
 この日は安倍首相も出席、「規制や補助金などの現行の施策を総点検し農業の自立を促進するものへと政策を抜本的に再構築したい。本日の民間議員の意見は過去の農政の流れを抜本的に改めるもの。農業の担い手が消費者の視点に立って経営し収益向上をめざすものであり、安倍内閣における農政に必要不可欠なものと考える」と述べたほか、「40年以上続いた生産調整の見直しなどの政策の大転換にあたっては農家への影響の配慮などが必要なことは言うまでもないが、確実に政策転換がスケジュールに則って実行されることが大事」と生産調整の見直しを確実に行うことを表明した。
 また、「林農相には本日の提案もふまえ菅官房長官の調整のもと、さらに検討を進めてもらいたい。そのうえで安倍内閣の農政の司令塔である農林水産業・地域の活力創造本部において取りまとめることとしたい」と話した。
 政府は農林水産業・地域の活力創造プランをとりまめる方針だが、その核となるのが経営所得安定対策と米の生産調整の見直し部分で、この部分についてのみ先行して26日にも同本部で決定する見込み。


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