米の生産数量目標26万t減の765万t 26年産米2013年12月2日
農水省は11月28日、食料・農業・農村政策審議会食糧部会を開き、林農相が米の「基本指針」(米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針)を諮問。審議会は諮問どおり答申し、26年産米の全国の米生産数量目標は765万とすることを決めた。
◆需要量3割分が在庫
審議会では、平成24年7月から25年6月末まで(24/25年)の需要実績の確定値が報告された。需要実績は781万tで当初の見込みよりも18万t減少した。 25/26年の需要量見込みは787万tとしている。25年産の生産量818万t(10月15日現在の作況102の予想収穫量)と民間在庫を合わせて供給量は1042万tなることから来年(26年)6月末の民間在庫量は255万tの見込みだ。今年6月末の226万tをさらに上回ることになり、需要量の3割を超える在庫量となりそうだ。こうした需給緩和の見通しから25年産米の価格は下落しており、産地には不安が広がっている。
農水省はこの需給見通しについて、今回は「需給事情等からみて販売の見込みが立たなくなった主食用米が、需要が期待できる加工用、飼料用等に販売されることが想定される」と民間ベースで在庫削減が行われる可能性も示した。ただ、農水省として過剰対策を行うことは「マーケットに大きな影響を与えることになる」としてこの日の審議会でも政府は市場には介入しないと説明した。
◆飼料用米支援が課題
米の需要量は年8万t程度の減少傾向が続いている。
こうしたトレンドをふまえて策定された26/27年(26年7月?27年6月)の需要見通しは778万tと推計された。
一方、24/25年の需要実績が当初見込みより18万t減少したことや年間8万t減少している傾向をふまえ、26年産米の生産数量目標は25年産米の791万tから26万少なくし765万tとした。26/27年の需要量より13万t少ない計算になる。面積に換算して145万haとなる。
主食用の生産数量目標は25年産米より26万と少なくなるが、生産数量目標の外枠として設定されている政府備蓄米は25万tを買い入れる方針。来年1月下旬から入札を行う予定だ。
ただ、主食用米が減少する分、飼料用米などの生産への誘導が課題となる。飼料用米の生産には米政策の見直しで数量払いを導入、1kgあたり167円を助成し10万5000円を上限とすることが決まった(単収で約630kg)。審議会ではこの予算について農水省は「しっかりと不安のない対応をしていきたい」(農産部)と話した。
主食用米以外の生産について委員からは、年明けから検討が始まる見込みの食料・農業・農村基本計画の見直しのなかで、飼料用米について畜種別・地域別などの目標や、米粉用米についても用途別目標といったきめ細かく設定すべきとの意見が出た。これに対して農水省は基本計画の議論のなかで検討していく意向を示した。
また飼料用米の増産促進にともなって飼料工場の設置場所についても、輸送コストや畜産地帯との連携などの観点から今後、適正化を考える方針も示された。
ただ、生産数量目標に従って生産する生産者に対して10a1.5万円支払われていた制度(旧戸別所得補償制度)が見直され26年産から半額の7500円に削減することが決まったことについて「そもそも米生産のコスト割れを補てんする意味があったのではないか」といった指摘も出た。
これについて農水省は自民党の米政策見直し議論でも土台となった、国境措置が十分でない麦や大豆などの品目は諸外国との生産条件格差を国費で補てんすることに説明はつくが、米は国境措置(関税など)で守られていると説明した。ウルグアイ・ラウンド合意で米の市場開放を決めた際、現在の年間約77万tのミニマム・アクセス(MA)輸入米の受け入れについて、国内の生産調整に影響をさせないとの閣議了解があることを理由に挙げた。
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