【トウモロコシ情勢】生産量増え価格は下落2014年1月14日
日本の飼料用トウモロコシの輸入先は2011年度には米国が86%を占めていた。しかし、歴史的な干ばつによる不作で12年度には53%にまで低下した。さらに13年度は昨年11月までの集計で33%まで下がった。JA全農の飼料事業がこれまで取り組んできたように「産地多元化の時代」になったといえる。
◆劇的な改善見せる米国の期末在庫率
2013年の米国のトウモロコシ生産は単収が上昇し、昨年12月の米国農務省発表では3億5500万tを超える史上最高の生産量見込みとなっている。このためシカゴ相場は大きく下落し1ブッシェル4ドル20セント前後で推移している。2013/14年の期末在庫率も1年前の7.4%から13.7%へと回復する見込みだ。
米国のトウモロコシが輸出競争力を回復し、JA全農畜産生産部によると輸出成約の進捗状況は過去5年でもっとも早いという。
一方、近年のトウモロコシ需要の構造変化をもたらした米国のエタノール需要の動向はどうか。米国では07年に法律で15年までに150億ガロンの再生可能エネルギー使用を達成することを義務づけた。14年は144億ガロンであるが、この使用義務量を下方修正する案を昨年米国政府(環境保護庁)は示した。原因はガソリン価格の高騰からくる燃料消費の低迷。米国政府は今年1月まで下方修正案に対するパブリックコメントを受け付けているが、それが即座にエタノール生産量の減少につながるものではないにせよ、かりに正式に決定しエタノール使用義務量が引き下げられれば、トウモロコシ換算で年間800万【?】1700万t相当の影響があると予想されている。
07年以降、世界の飼料用・輸出用トウモロコシ需要、さらに世界の穀物相場にも影響を与えてきた米国のエタノール政策が見直されることになればトウモロコシの需給にまたインパクトを与えそうだ。
◆意義高まる産地多元化
ただし、一方でこの間、それまでほとんど輸入ゼロだった中国がトウモロコシ輸入を始めたという状況もある。
13年度は、中国のトウモロコシ生産は大豊作で米国農務省は2億1000万tの生産量を見込み期末在庫率は31%と見ている。かような中でも輸入量は13/14年度で700万tとなっており、将来に渡り需要の拡大が見込まれていることから、輸入量はさらに増加することが予想される。このため中国も輸入先を米国だけでなく、今年からアルゼンチン、ブラジル、ウクライナにも広げる見通しである。その他アジアの新興国においても需要の増加が見込まれている。
こうした状況から、今現在は米国産トウモロコシの輸出競争力が回復する傾向にあるものの、一昨年の米国における大旱魃のような産地天候リスクもあり、世界の穀物需給は引き続き不安定な見通しである。
JA全農畜産生産部は「その時期ごとに飼料原料の調達産地を適切に選定すべき環境に変わりはなく、国際間協同組合取引を柱にした産地多元化の取り組みが極めて重要になる」としている。
(関連記事)
・【特集・元気な国内農業をつくるために“いま全農は…”】JA全農の畜産事業 アルゼンチン農協連合会と事業提携50周年 (14.01.14)
・配合飼料供給価格500円値下げ JA全農(2013.12.17)
・米国トウモロコシ作付面積3941万ha 9割GM(2013.08.08)
・10年後の主要穀物2強20%増 ブラジル農務省が予測(2013.08.02)
・【ブックガイド】世界の飼料穀物需給 -トウモロコシ需給の構造変化-(2013.07.11)
・中国、トウモロコシの輸入先多元化を検討―国内生産量は史上最高(2012.11.29)
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(139)-改正食料・農業・農村基本法(25)-2025年4月26日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(56)【防除学習帖】第295回2025年4月26日
-
農薬の正しい使い方(29)【今さら聞けない営農情報】第295回2025年4月26日
-
1人当たり精米消費、3月は微減 家庭内消費堅調も「中食」減少 米穀機構2025年4月25日
-
【JA人事】JAサロマ(北海道)櫛部文治組合長を再任(4月18日)2025年4月25日
-
静岡県菊川市でビオトープ「クミカ レフュジア菊川」の落成式開く 里山再生で希少動植物の"待避地"へ クミアイ化学工業2025年4月25日
-
25年産コシヒカリ 概算金で最低保証「2.2万円」 JA福井県2025年4月25日
-
(432)認証制度のとらえ方【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年4月25日
-
【'25新組合長に聞く】JA新ひたち野(茨城) 矢口博之氏(4/19就任) 「小美玉の恵み」ブランドに2025年4月25日
-
水稲栽培で鶏ふん堆肥を有効活用 4年前を迎えた広島大学との共同研究 JA全農ひろしま2025年4月25日
-
長野県産食材にこだわった焼肉店「和牛焼肉信州そだち」新規オープン JA全農2025年4月25日
-
【JA人事】JA中札内村(北海道)島次良己組合長を再任(4月10日)2025年4月25日
-
【JA人事】JA摩周湖(北海道)川口覚組合長を再任(4月24日)2025年4月25日
-
第41回「JA共済マルシェ」を開催 全国各地の旬の農産物・加工品が大集合、「農福連携」応援も JA共済連2025年4月25日
-
【JA人事】JAようてい(北海道)金子辰四郎組合長を新任(4月11日)2025年4月25日
-
宇城市の子どもたちへ地元農産物を贈呈 JA熊本うき園芸部会が学校給食に提供2025年4月25日
-
静岡の茶産業拡大へ 抹茶栽培農地における営農型太陽光発電所を共同開発 JA三井リース2025年4月25日
-
静岡・三島で町ぐるみの「きのこマルシェ」長谷川きのこ園で開催 JAふじ伊豆2025年4月25日
-
システム障害が暫定復旧 農林中金2025年4月25日
-
神奈川県のスタートアップAgnaviへ出資 AgVenture Lab2025年4月25日