米価下落で緊急要望 北海道東北地方知事会2014年9月24日
北海道東北地方知事会は米価下落対策についての緊急要望をまとめ9月19日に、山形県の吉村美栄子知事が西川農相に需給・価格安定対策など5項目を要請した。
◆隔離対策など5項目要請
吉村知事は「北海道、東北にとって農業は基盤産業で米は基幹作物。全国生産量の4割を占めており、国民への食料安定供給の役割を果たしている。しかし、26年産は概算金が大幅に引き下げられ採算ラインを割り込み、稲作農家は再生産できないという状況に立ち至っている」と西川農相に現場の苦境を伝え、需給・価格対策や経営所得対策などを要望した。
要望事項は、
[1]需給・価格安定対策
政府主導による過剰米の主食用市場からの隔離対策の実施、政府備蓄米の飼料用米や海外援助などへの積極活用
[2]農業者の経営所得対策
ナラシ対策の26年産発動の前倒し交付、ナラシ対策加入要件には地域条件を配慮するなどの万全なセーフティネット構築対策
[3]生産体制の強化
低コスト化、大規模化のための施設整備支援、規模拡大農業者への機械設備などの支援、
[4]転作支援
産地交付金の十分な確保、非主食用米生産への将来にわたる支援策
[5]米の需要拡大
消費拡大、輸出拡大の5項目。
(写真)
山形県の吉村美栄子知事(左)と西川農相
◆「ナラシで対応」西川農相
西川農相は、収入減少影響緩和対策(ナラシ対策)について米価が「1万5000円」基準で交付が考えられていると現在の仕組みを説明。「概算金が8000円、9000円でも米価が1万3500円まで回復したとして、1万5000円との差額の1500円、この9割を補てんする。つまり、1割の150円だけが減るということ。(この)ナラシ対策で対応したい」と話し、また、ナラシ対策に加入していない生産者は26年産に限って国庫で差額の5割を補てんする予算も要望していると指摘したうえで、「現実には概算金が低くても農家の手取りには影響しない。こういう仕組みだからあまり心配されなくていいと思う」と吉村知事の要請に応じた。
ただ、今年の米価自体についてはついては「9月末でどうなるかを見たい。需給状況を見て政策的に対策が必要かどうか、判断したいと思う」と述べた。そのほか需要拡大には米の輸出を積極的に進める考えも強調した。
吉村知事は今回の要請について「8道県の総意。これから収穫なのに生産者は不安感、絶望感を持っており、取り組むのは大変なこと。希望を持って営農意欲を持って取り組めるよう現場の声を届けていきたい」として今後の国の対応に期待を寄せた。
◇
道知事会の構成員は、
▽北海道知事・高橋はるみ
▽青森県知事・三村申吾
▽岩手県知事・達増拓也
▽宮城県知事・村井嘉浩
▽秋田県知事・佐竹敬久
▽山形県知事・吉村美栄子
▽福島県知事・佐藤雄平
▽新潟県知事・泉田裕彦
の8名。
(関連記事)
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