全農パールライスが発足 国産精米取扱日本一へ2014年10月2日
東日本と西日本のパールライス会社が合併し10月1日、新たに全農パールライス株式会社が発足した。国産精米の取扱量では国内トップとなる。
◆売上高目標1100億円
東京都内で行われた合併記念式典で中山正敏社長は、顧客と産地を結ぶ「架け橋機能を最大限発揮して、日本の食と農に貢献していく」と決意を新たにした。
そのうえで当面の事業目標として28年度に玄米の取扱40万t、うち精米の取扱量31万tをめざすことを表明した。国産の精米販売では国内トップ企業となり、売上高は1100億円を目標とする。
そのため、もともと家庭用精米の取り扱いが多かった東日本パールと、業務用取扱いが多かった西日本パールの強みを一体化させ全国域で組織力を発揮する。
◆契約栽培を拡大
具体的に力を入れる事業の一つが実需者と産地を結ぶ「契約栽培」の拡大だ。すでに回転寿司チェーン「スシロー」と産地で多収穫米契約が実現しているが、ニーズに適した精米が安定調達できるともに、産地にとっては担い手づくりと稲作経営の安定に貢献することが期待される。
中山社長は「産地と顧客の双方から信頼されるビジネスパートナーとなるよう努める」と強調した。
また、全農の営農販売企画部門や関係販売会社とも連携し、米の新たな食べ方提案、関連商品開発、炊飯事業の拡大を図るほか、全農ブランド商品を活用した商品提案を行う方針も示した。
◆米産地守る機能を期待
来賓であいさつした農林水産省の松島浩道・生産局長は「合併によって、さらなる米の販売、多角的経営を通じた米の消費拡大、水田農業の発展に寄与されること期待している」と述べるとともに、米の政策見直しについては「農業者や団体がマーケットを見ながら自らの経営判断や、販売戦略で需要に応じた米の生産・販売できるような環境整備を進めていきたい」と話し、中食や外食での米消費が増加していることなど「変化を的確に捉え消費者や実需者がどのような米を望んでいるか、しっかり生産側に伝え、高品質な米を安定的に供給してもらうキープレイヤーとしてがんばっていただきたい」とあいさつした。
JA全農の中野吉實経営管理委員会会長は、米消費の減退や政策の見直しなど「混迷を極める情勢だからこそ、消費者と生産者に情報を発信し産地の維持発展に結びつける使命を果たしてほしい。組織を挙げて取り組んでいく」と話した。
パルシステム生協連は全農グループと提携し、関東地方で20万組合員世帯と米の年間予約購入をしている。山本伸司理事長は「価格変動に関わりなく購入する世帯だ。食べる側が作る側を理解し安売りの哲学ではなく、こだわりの哲学を持っているから。市場競争から脱却し顔の見える関係づくりが大切」などと日本の米産地を守っていく取り組みを同社の機能に期待した。
産地からはJA秋田ふるさとの小田嶋契代表理事組合長があいさつ。
収穫作業が始まった産地だが米価下落の不安で「笑顔がない。組合員からは真夜中の海に突き落とされたようだ、といわれた」と実情を話し「そのなかで、質と量を備えたこの新会社の誕生は希望の光。われわれがしっかりと歴史を刻んでいく取り組みをしていかなければならない。産地にも消費地にも笑顔が戻るようにしたい」となど述べた。
【全農パールライス株式会社】
○事業内容=米穀のとう精・販売、酒造用米穀のとう精、炊飯事業、食品等の販売
○設立年月日=昭和47年10月9日
○本社所在地=東京都千代田区内神田1-1-12
○資本金=40億3100万円
○株主=JA全農、JAならけん
○機構=本社統括部、東日本事業本部(本社所在地)、西日本事業本部(神戸市東灘区)、4支店・6営業所、9精米工場、1炊飯工場、1酒米とう精工場
○従業員=456名(26年10月現在)
○売上高=1044億円(25年度、2社合算)
○新会社役員
▽代表取締役社長 中山正敏
▽専務取締役(東日本事業本部長) 塚田守
▽専務取締役(西日本事業本部長) 前田守弘
▽常務取締役(本社統括本部長) 中野吉庸
▽常務取締役(東日本事業本部営業本部長) 近岡吉郎
▽常務取締役(西日本事業本部製造本部長) 大向克也
▽取締役(東日本事業本部製造本部長) 西村清
▽常勤監査役 平賀亮
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