豊田通商がコメ事業参入2015年1月26日
種子販売、契約栽培からコメの販売まで
トヨタグループの総合商社である豊田通商(株)は、今年から新品種を軸に国内産コメ事業に参入すると1月23日に発表した。
◆収量1.5倍の新品種
豊田通商は同社が出資する水稲種子開発ベンチャー(株)水稲生産技術研究所(水稲研)が権利をもつ新品種の種子販売、契約栽培(全量買取を基本に生産者と個別に協議)からコメの販売までを2015年から一貫して行う。
同社では、消費構造の変化から、需要(ユーザが求めるコメ)と供給(生産者が作るコメ)にミスマッチが生じており、その解消が必要となってきているので、この事業を通じて、「生産者とユーザのそれぞれの顔が見えるバリューチェーンの構築をめざす」としている。
「新品種」は、
▽大きな穂・大きな粒による多収(一般的な品種の1.3倍から1.5倍の収量を見込む)、
▽早生・晩生の2系統の品種があり、東北から九州まで広い範囲で栽培が可能、
▽良好な食味(コシヒカリのおいしさと粘りをあわせ持つ)、
▽直播にも向いた特性(初期生育がよく倒伏しにくい)、
▽一般品種と作期が大きくずれないので、輪作体系の組み込みが可能、
といった特徴があるという。
◆5年後2万トンを計画
同社では、2012年からこの品種の生産基盤の確立を目的に各地のJAや生産法人などの協力を得て試験栽培を行ってきた。14年には17県(36件)・約100ha、約700tを生産し、10aあたり収量800kgを越えた産地を複数確認し、最高収量1050kgを記録するなど、一定の増収を見込めるようになってので、今年から順次商業栽培に切り替えていくことにした。
今年は、250ha・1800tを目標にし、5年後には2700ha・約2万tの取扱いを計画している。
また、多収性による生産コスト低減に加え、直播など農法の見直しやITの活用、農業資材の最適化などに生産者とともに取り組むことで、政府の「日本再興戦略」にある生産コスト4割削減を目標に、生産者の経営安定と所得向上をめざしていくとしている。
販売面では、同社グループ内や国内の中食・外食企業や一般消費者に対して、産地が見えるおいしいコメを提供していくとともに、将来的には海外への販売も視野に入れ、産業として永続でき、生産者・ユーザの双方から支持される事業を構築していきたいとしている。
(写真)
穂は下、米粒は右が新品種。そのほかはコシヒカリ。
(関連記事)
・共同で年間1万tの米輸出 JA全農とクボタ(2015.01.21)
・26年産米の1等比率81.5% 12月31日現在(2015.01.21)
・アローファーム大分で初収穫 矢崎グループ(2015.01.21)
・27年産飼料用米60万t達成を(2015.01.20)
・農協法に「地域振興」明記を 河野・中金理事長(2015.01.23)
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(123) -改正食料・農業・農村基本法(9)-2024年12月21日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践 (40) 【防除学習帖】第279回2024年12月21日
-
農薬の正しい使い方(13)【今さら聞けない営農情報】第279回2024年12月21日
-
【2024年を振り返る】揺れた国の基 食と農を憂う(2)あってはならぬ 米騒動 JA松本ハイランド組合長 田中均氏2024年12月20日
-
【2025年本紙新年号】石破総理インタビュー 元日に掲載 「どうする? この国の進路」2024年12月20日
-
24年産米 11月相対取引価格 60kg2万3961円 前年同月比+57%2024年12月20日
-
鳥インフルエンザ 鹿児島県で今シーズン国内15例目2024年12月20日
-
【浜矩子が斬る! 日本経済】「稼ぐ力」の本当の意味 「もうける」は後の方2024年12月20日
-
(415)年齢差の認識【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年12月20日
-
11月の消費者物価指数 生鮮食品の高騰続く2024年12月20日
-
鳥インフル 英サフォーク州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年12月20日
-
カレーパン販売個数でギネス世界記録に挑戦 協同組合ネット北海道2024年12月20日
-
【農協時論】農協の責務―組合員の声拾う事業運営をぜひ 元JA富里市常務理事 仲野隆三氏2024年12月20日
-
農林中金がバローホールディングスとポジティブ・インパクト・ファイナンスの契約締結2024年12月20日
-
「全農みんなの子ども料理教室」目黒区で開催 JA全農2024年12月20日
-
国際協同組合年目前 生協コラボInstagramキャンペーン開始 パルシステム神奈川2024年12月20日
-
「防災・災害に関する全国都道府県別意識調査2024」こくみん共済 coop〈全労済〉2024年12月20日
-
もったいないから生まれた「本鶏だし」発売から7か月で販売数2万8000パック突破 エスビー食品2024年12月20日
-
800m離れた場所の温度がわかる 中継機能搭載「ワイヤレス温度計」発売 シンワ測定2024年12月20日
-
「キユーピーパスタソース総選挙」1位は「あえるパスタソース たらこ」2024年12月20日