売上高は6.8%増の91億9800万円に 東洋ライス2019年6月12日
無洗米を開発し、人気ブランド米「金芽米」で知られる米穀メーカー、東洋ライスは6月5日、第58期(2019年3月期)決算報告を東京都中央区の同社本社で行った。
2019年3月期の売上高は前年度比6.8%増の91億9800万円。さらに機械部門の原価減および期末時の円安による為替差益と有価証券売却益により、営業利益は前年比14.9%増の11億6500万円となった。また、経常利益は82.8%増の17億4300万円、税引前当期利益は81.1%増の17億2800万円、純資産は4.6%増の217億6300万円となった。
各事業部門の概況では、主力商品のBG無洗米の合計加工数量は45万3000tで、同社直営工場では前年比2200tを超える増産となったが、微減となった工場もあり、前年度の45万7000tからは若干の減少となった。
コメ事業では、日本国内のコメ消費量が年間10万tずつ減少する中、金芽米と金芽ロウカット玄米が、着実に生産量を増やした。その要因は、食味の良さと健康効果のある高付加価値米として認知が進んだことで、通販、生協、量販店、業務用と様々なチャンネルで順調に推移。金芽米は前年比2.6%増の5万1600t、金芽ロウカット玄米は業務用販路の開拓により前年比65%増の2800tとなった。
精米機器関連事業では、米穀企業の設備投資意欲が低下する中、持続可能な社会の構築に向けた取り組みとして「BG無洗米機」の省エネ、高歩留り化を進めている。これは、「エコ・ファーストの約束」にうたわれている「2012年度、BG無洗米機の全てのエネルギー消費量を2010年度比30%削減」の実現と、米穀企業の活躍への支援のためで、その設備投資などにより前年比107.3%の売上となった。
事業内容の報告では、金芽米が特に通信販売で前年比112%と好調。リピート率は60%と高く、ネット通販サイトアマゾンでは「白米・胚芽米」カテゴリーの売れ筋ランキングで12位に「タニタ食堂の金芽米」、16位に「金芽米アマゾンセレクト」が初めてランクインした。また、金芽ロウカット玄米を原料にした「おいしい玄米にぎり」シリーズを、全国約1万3000店舗のローソンで昨年9月から販売し、現在までに8種類のおにぎりが登場するなど定番化している。
また、糖質制限ダイエットが社会現象となる中、金芽米は「糖質14%オフ」、金芽ロウカット玄米は「同32%オフ」が実現できることを訴求したところ、健康ブームに乗り、販売も順調に推移した。さらに、金芽米等の健康効果も検証を続けており、昨年度は臨床試験により、金芽米の継続摂取で便通が改善することや、金芽ロウカット玄米の継続摂取により動脈硬化との関連性が高いLDLコレステロールが有意に改善することが学会で発表されるなど広範囲にわたる機能性が証明されている。
海外展開についても積極的に行い、香港に向けてシンガポールと同じブランド「Better White」「Better Brown」の販売を昨年5月からスタート。日系スーパーや現地スーパー、オンラインショップなど計59店舗で展開し、出荷量は前年比272%と好調に推移している。また、シンガポール市場では、「健康効果」を軸としたブランド戦略が成功し、テレビの特集番組「海を渡った日本米」として放映されるなど注目されている。この番組は、他の日本米が安売り競争で苦戦する中、日本米の海外展開の指針になるとして、農林水産省のホームページに掲載された。
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