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ゆめぴりか最高金賞 史上初の2地区同時受賞 ホクレン2020年4月1日

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 北海道のご当地米「ゆめぴりか」の生産技術とおいしさを競う品評会が、昨年10月下旬から11月下旬にかけて開かれ、JAようてい(蘭越地区)とJAひがしかわ(上川地区)の2地区が最高金賞を同時受賞した。

 「北海道から、ニッポンの米を。」をかけ声に、「ゆめぴりか」の生産技術やおいしさを競う品評会は2015年にスタート。4回目の今回は、北海道の30のJA、33の地区が参加し、昨年10月下旬から11月中旬にかけて道内6地区で地区コンテストが行われ、各地区で選抜された地区金賞米による全道コンテストが11月27日、札幌で開かれた。
 審査委員がブラインドで試食後、点数をつけて集計したところ、JAようてい蘭越とJAひがしかわが同点で首位に。激しい議論ののち、再度試食となったが、再び同点に。史上初の2地区同時受賞となった。
 金賞に輝いたJAようてい蘭越とJAひがしかわの「最高金賞ゆめぴりか」は、それぞれ昨年末より販売し、1月には販売終了となったという。

ゆめぴりかコンテスト2019ゆめぴりかコンテスト2019

 両JAの取り組みについて、ホクレンは、ニュースレター「北のごはん倶楽部 vol.28」で担当者へのインタビューを交えて紹介している。以下、インタビュー抜粋。

◆JAようてい蘭越
――ニセコ連峰と清流に育まれた蘭越米

JAようてい水稲生産組合組合長の大友健氏 JAようていは、別名・蝦夷富士と呼ばれる独立峰、羊蹄山を囲む7町2村から成り立っていて、稲作、畑作、野菜、畜産など幅広い生産が行われています。中でも古くから米作りが盛んなのが蘭越地区で良食味米の産地として知られています。
 ニセコ連峰に囲まれた蘭越町は、夏は温暖な気候で比較的昼夜の気温差も大きく、米作りの環境としては最適。清流日本一に輝く尻別川の流域に広がる肥沃な土壌と、雄大なニセコ連峰から湧き出る天然のミネラルをたっぷり含んだ清流が、おいしいお米を育てます。
 お米は蛋白質の含有率が低いほどおいしいとされています。蘭越町の生産者はこの蛋白値を下げるため、収量は低くなりますが、窒素肥料を抑え、きめ細かな肥培管理を行っています。

写真:JAようてい水稲生産組合組合長の大友健氏

◆地域一丸で取り組むおいしい米作り
 蘭越地区は多収の土地ではないため、品質で勝負していこうという強い思いがあり、生産者はもちろん、JAようてい、蘭越町にもその思いは浸透しています。蘭越町役場に最高金賞受賞の報告に行ったところ、町長も町役場の皆さんからもとても喜ばれたそうです。
 特別栽培米への取り組みに対しては、蘭越町からも支援があります。町営の育苗移設もあり、平成24年からは種子の温湯消毒を行っています。生産者は、地域で協議会をつくって意見交換や情報共有を行っています。蘭越地区全体の品質を向上させるために、ホクレンには、特別専用米専用肥料をつくってもらいました。
 "蘭越は米で生きていく"という思いを、蘭越農家は強く持っています。そのせいか、現在危惧されている後継者不足の問題もあまりないそうです。
 「田んぼでちゃんと米をつくっていくという意識が強いですね。蘭越は大きな田んぼばかりではないので、草刈りや水管理などに労力がかかります。その辺りは現在注目されているスマート農業の技術を取り入れながら、省力化を図っていきたいですね。蘭越の田んぼは、大型の農業機械で走り回れるような場所ではないので、ある程度人の手をかけていかないといけない部分はあります。そして、今回の受賞は、広い平野でもない手のかかる土地で、水路を切り開いて米を作り始め、続けてきた先達たちの努力の賜物でもあると思います」

◆海外のスキーヤーからも人気の「ゆめぴりか」
 大友氏は農閑期である冬の間、ニセコでスキーのインストラクターとして働いています。ニセコは、海外のスキーヤーやスノーボーダーから大人気で、スキー場周辺は日本国内とは思えないような光景です。大友氏はスキーのヘルメットに「ゆめぴりか」のシールを貼っていて、スキーの生徒からは「ゆめぴりか先生」と呼ばれているそうです。
 「生徒さんからは『日本のごはん、おいしいね』とよくいわれます。リフトで『ゆめぴりか、おいしいんだから、もっと売らなきゃダメだよ』といわれたこともあります」
 そんな中で、大友氏ら蘭越の生産者はJAようていやホクレンに働きかけ、「ゆめぴりか」はもちろん、後志地区全体の農産物のPRや販売の企画を進めたいと考えています。蘭越の生産者は、生業である米作りをベースに、先進的な取り組みを積極的に推進しています。

JAようていの「ゆめぴりか」は羊蹄山の麓で育まれるJAようていの「ゆめぴりか」は羊蹄山の麓で育まれる

◆JAひがしかわ
――米作りにも最適だった水に恵まれた暮らしやすい街

 東川町はよくある日本の田園風景とは少々趣きが異なっています。おしゃれなカフェやセレクトショップが点在し、どこもほどよく人が訪れています。自らのライフスタイルを大切に暮らしている人が多い印象で、人口が増えていることでも注目されています。
 東川町は北海道でも珍しい上水道のない町で、地下水をくみ上げて全戸で使っています。この地下水は、北海道大雪山連峰、旭岳の雪解け水が地中深くに浸み込んだ伏流水。長い年月をかけて湧き出た天然のミネラルウォーターです。山の麓にある東川町は、一番はじめにその大自然の恩恵を受けることができます。川の上流に位置しているので、水を汚さないよう、米作りにおいても平成19年産より種子の温湯消毒を行っています。東川町では独自基準「東川米信頼の証10か条」「みずとくらす5か条」や栽培基準などを設け、町内約130戸の稲作農家が加入する「稲作研究会」とJAが連携し、さまざまな取り組みを行っています。
 平成30年産米からは、町内生産者の所得拡大に向け、「質と量」双方を求める「東川米ハイ・クオリティ生産運動」を展開。特に、「ゆめぴりか」は基準品を確保するため、作柄変動に対応できる圃場づくり・栽培管理を基本とした米作りを行っています。具体的な内容は、圃場選定と管理の徹底、適切な施肥管理とケイ酸質資材の積極的投入、基本に沿った細かな水管理、適期移植・適期収穫の徹底を行っています。畑中氏曰く「全て当たり前のことなんですが、現在一戸あたりの経営面積が大きくなっています。稲作研究会では作業の効率化と省力化を図るため、スマート農業の調査研究から東川町に適した技術の導入を検討しています。

◆上川のトップをとることが悲願
東川町稲作研究会会長の畑中雅晴氏 「蘭越さんと同時受賞できたのは、感慨深いですね」と畑中氏は語ります。蘭越も東川も、北海道内では良食味米の産地として古くから知られていました。畑中氏は20年以上前に蘭越を視察しています。
 「東川はやっぱり、米に適した土地なんです」
 山に近い豪雪地帯、あまり広くない土地で、コシヒカリの産地である新潟県魚沼に似ているのだとか。昭和40年代、転作が奨励され、畑作にトライしたもののなかなか成果が上がりませんでした。しかし平成に入り「きらら397」が登場。「きらら397」は食味がよく、それまでの北海道米に対するネガティブなイメージを一新させました。これを機に東川町も良食味米の生産へと舵を切ります。
 「それ以前の生産者にも感謝です。上川地区は水が冷たいので、そのままで田んぼに入れたのでは稲が育ちません。だから水を貯めて温めてから田んぼに入れる。そういう技術が伝承されています」
 畑中氏は、最高金賞が取れるとは思っていなかったといいます。
 「上川地区のレベルが非常に高いものですから、上川の金賞が目標でした。上川地区は13JAありますけれど、どこも切磋琢磨しておいしい米をつくっています」
 上川地区にも蘭越にも北海道全体に意識の高い生産者がいて、おいしい米作りのために研鑽を重ねています。「ゆめぴりかコンテスト」は、その熱意や取り組みを可視化できるイベントといえるのかもしれません。

写真:東川町稲作研究会会長の畑中雅晴氏

東川町の鏡面水田東川町の鏡面水田

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