海外で拡大するグルテンフリー市場 日本米粉協会2020年10月29日
日本米粉協会は「第2回ノングルテン米粉の製造と同加工品普及講習会」(既報)を10月27日、TKP東京駅セントラルカンファレンスで開き、黒田和彦森永生科学研究所社長が「海外のグルテンフリー食品市場」をテーマに講演した。
黒田和彦森永生科学研究所社長
グルテンフリー食品とはグルテンを含む食品のグルテン含量を一定値以下に抑えたものを指す。従来はグルテンに反応する自己免疫疾患「セリアック病」などの患者食として位置づけられていたが、近年の健康・ダイエット志向に伴い、欧米、日本市場ともにグルテンフリー食品に注目が集まり市場は拡大を続けている。これに加え、FDA(米国食品医薬品庁)によるグルテンフリーの表示規制やスポーツ選手、モデル等がグルテンフリー食品を取り入れた食生活を公表したことも市場の広がりを後押ししたとみられる。
グルテンフリーに関する制度・認証では、2014年にFDAでグルテンフリー食品表示制度が施行され、グルテンの定義は小麦、ライ麦、大麦およびその交雑種で、グルテン量20ppm未満をグルテンフリー食品として定義している。
国際的な食品規格を定める機関であるCODEXでは、グルテン不耐症患者のためのグルテンフリー食品や低グルテン食品等を表示するための基準を定めており、欧米などでグルテンフリー表示の基準として活用されている。これによると、グルテンの定義は小麦、ライ麦、大麦および交雑種とし、グルテンフリー食品の定義はグルテン量20ppm以下としている。欧州ではグルテンフリー食品表示制度(2016年施行)はCODEXと同様の規格となっている。
一方日本では、グルテンフリーの表示基準を設けておらず、食品表示法のアレルギー表示が代替とされる。表示規格は小麦タンパクとして10ppmとしている。世界的にグルテンフリー表示はグルテン含有が20ppm以下で管理され、これら以外は流通による独自基準を設けられている。
農水省のデータによると、世界のグルテンフリー市場はアメリカや欧州を中心に拡大しており、2024年には約100億USドルに達する見込み。市場は麦類に含まれるグルテンによるアレルギーやセリアック病、グルテン過敏症、ダイエット等に対するニーズで形成されている。その一方で、これまでの患者食としての位置づけだけでなく、近年では健康に良い食品という認識で購入する消費者も増加していると考えられる。
アメリカ、ヨーロッパにおける製品別市場割合(農水省:米粉の輸出拡大に向けた欧米グルテンフリー市場調査2019年3月)では「シリアル・スナック」がアメリカで21.8%、ヨーロッで20.9%と最も多く、次いで「ピザ・パスタ」(アメリカ15.8%、ヨーロッパ17.5%)、「ビスケット・ワッフル」(同14.5%、同15.3%)、「パン・ケーキ」(同13.0%、同13.7%)、「原料・ミックス粉」(同8.3%、同8.7%)となっている。
グルテンフリー食品の売場を欧米諸国と比較すると、日本ではまだ馴染みが薄いが、コープさっぽろや大手食料品店ではグルテンフリー食品の特設コーナーを設置する動きもみられ、店頭での露出を高めている。
黒田社長は今後日本でもホットケーキミックスや米粉麺、パスタなど品目の拡大が期待できるとし、海外に向けては「高付加価値の日本のノングルテン米粉に置き換えることで、消費拡大につながる」と語り、欧米のグルテンフリー食品の基準を満たしているノングルテン米粉加工食品の輸出拡大に期待を寄せた。
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