イネWCS専用品種で栽培適地拡大へ 農研機構2020年10月29日
農研機構は10月29日、縞葉枯病に強いイネ発酵粗飼料専用品種2種を育成したと発表。早生化と耐病性の強化で栽培適地が拡大することで、良質な飼料の増産が期待される。
「つきはやか」「つきあやか」の草姿 撮影日:2019年9月20日、撮影場所は広島県福山市
![イネWCS専用品種の栽培適地](https://www.jacom.or.jp/kome/images/nous20102931_2.jpg)
牛の飼料に用いられるイネWCS(ホールクロップ・サイレージ)は、水田を有効活用できるイネの利用法として注目されている。通常のイネは牛にとって消化性が悪い籾の割合が多く、WCSの調製に必要な糖の含有率が低いことが課題とされてきた。
そこで農研機構は、これまで穂が小さく(=茎葉に比べて籾の割合が小さく)、糖含有率が高いイネWCS(イネ発酵粗飼料)専用品種として、中生の「たちあやか」、晩生の「つきすずか」、極晩生の「つきことか」などを育成してきた。これらの品種は関東以西の広い地域で普及が進んだ一方、東北地域では出穂が遅く栽培に適していないため、「たちあやか」より出穂が早い早生品種が求められてきた。
今回育成した「つきはやか」は早生品種であるため、イネWCS専用品種の育成が難しかった東北地域への新たな導入を可能とした。中生の「つきあやか」は「たちあやか」の欠点である縞葉枯病抵抗性を改良してあるため、中生を要望する北関東地域などの縞葉枯病多発地帯での普及が見込まれ、イネWCS専用品種の作付け地域の拡大が期待できる。また、関東以西ではこれら2品種と晩生の「つきすずか」などと組み合わせることで、移植や収穫作業の分散が可能となり、良質な飼料増産が図れるとしている。
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