米の輸出 1-3月期 対前年12%増 農水省2021年6月9日
今年1-3月期の米の輸出量は対前年比12%増加した。
数量は5245t。金額は13億円で同10%増加した。
2020年は新型コロナウイルスの感染拡大で輸出に大きな影響を与えたが、米(精米・玄米)の輸出数量は1万9687tと同13%増加した。輸出額は53億円で同15%増となった。
農林水産省によると、昨年初めから春頃までは香港、アメリカなどで巣ごもり消費による小売需要の増加で輸出が大きく増加した。
その後、反動で一時減少したものの、秋以降、香港・台湾などで日本食レストランの営業再開にともなって業務用需要が回復した。
国別にみると、香港は同28%増の6978t。金額は同31%増の17.9億円となった。香港では日本食レストランの営業停止で業務用需要が減少した一方、巣ごもり消費で小売需要が大きく増加し、トータルでは前年にくらべて大幅に増加して推移した。
台湾は新型コロナウイルス感染症の影響が比較的小さく、日本食レストランでは営業時間短縮や、座席数の制限等はあったが、営業停止にはならなかったため大きな影響は生じなかった。一方で日系寿司チェーン店が店舗数を増やすなど、業務用需要が拡大した。輸出数量は同59%増の2004t。金額は同51%増の6.2億円となった。
パックご飯の輸出も伸びている。2020年は数量で同18%増の1203t。金額で同27%増の6.5億円だった。今年1-3月期では数量で同59%、金額で同152%の約3億円と前年同期とくらべて大きく伸び、金額では昨年1年の半分に迫る勢いだ。
米やパックご飯、米粉・米粉製品の輸出について政府は2025年に125億円を目標にしている。
国別の2025年目標額で香港は36億円(2019年実績15億円)。大手米卸や輸出事業者が中食・外食を中心に需要を開拓しており、今後もレストランチェーンやおにぎり店をメインターゲットとして需要開拓を図る方針だ。
米国では日本食レストラン、ECなどの小売需要を開拓することが課題。パックご飯や米粉では香港と並ぶ最大輸出国であり、さらに市場開拓を図る。目標額は30億円(2019年実績7億円)。
中国は大手米卸がECやギフトボックス等の贈答用を中心に需要を伸ばしている。政府は、コスト縮減のためには指定精米工場等の活用に加えて工場の追加、輸入規制の緩和が不可欠としている。目標額は19億円(2019年実績4億円)。
シンガポールでは輸出事業者やJAなどが中食・外食を中心に需要を開拓している。課題はレストランチェーンやおにぎり店をメインターゲットとした需要開拓を図ること。
その他、米の輸出戦略ではEUを中心に拡大するグルテンフリー需要に対して米粉、米粉製品の需要開拓を図ることも方針としている。
農林水産省は輸出産地の育成を支援する。先進的なJAなどをモデル産地として。2025年までに1000tを超える輸出用米の産地を30~40育成する。
2021(令和3)年産米の4月末時点の作付意向調査では輸出用米など新市場開拓米への取り組みが前年より「増加傾向」としたのは17県となったが、1月末時点の19県からは減少している。
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