米の輸出 前年比15%増 2021年2022年2月28日
2021年の米の輸出実績は前年比15%増の2万2833tと初めて2万tを超えた。輸出量の増加にともなって、今後は大ロットと安定供給が求められることが見込まれ、農林水産省はJAや大規模法人など産地が果たす役割は重要になると強調する。
米の輸出量は2016年に9986t。5年間で約2.3倍になったことになる。
2万2000tのうち、精米が1万5637t、玄米が7176tとなっている。
輸出上先の上位の香港、シンガポール、米国に向けでは玄米で輸出して現地で精米、新鮮な米を実需者に販売するビジネスが輸出増に寄与している。
2021年の米輸出額は52億円。政府の輸出拡大実行戦略では2025年に125億円とする目標を立てている。
そのために国別のニーズや規制に対応する必要がある。
農水省庁によると香港やシンガポールは、外食比率が高く多量の米の消費が期待できるという。日系の小売・外食チェーンの進出や、おにぎりチェーン店の増加などが輸出増につながった。
香港ではコロナ禍で売り上げが大きく減少した寿司チェーンが「日本産米」のプロモーションを実施したところ、寿司チェーン向けの輸出量がプロモーション実施前の月70tが85tに増加したという。
輸出拡大実行戦略では香港について、今後もレストランチェーンやおにぎり店をメインターゲットとした需要開拓を図る方針だ。とくに「冷めてもおいしい」という日本産米の特性を生かせるおにぎり、弁当など中食事業者との連携を図る必要があるとする。
シンガポールについては輸出事業者やJA系統が中食・外食を中心に需要を開拓してきた。今後のレストランチェーンやおにぎり店をメインターゲットとする方針だ。
米国は需要の主体は小売。売り場は日系小売店がほとんどだが、一部のアジア系スーパーにも日本産米が売られ始めているという。米国の消費者には「コシヒカリ」や「あきたこまち」など認知度の高い銘柄が売れ行きがよく、また、最近はカリフォルニア産ジャポニカ米の価格が上昇し、日本産米との価格差が縮まりつつある。
カリフォルニア産米と競合するなか、農水省は品質の高さをPRするためにも、現地精米や真空包装の導入などで品質劣化防止策を図っていくことや、シェフへの炊飯指導で日本産米を評価してもらい、他国産から切り替えを図ることも友好だという。
また、グルテンフリー市場をターゲットに米粉を使ったインスタントラーメンの開発も行われている。パックご飯も最大の輸出先国でさらに市場開拓を図る。
中国は米の消費量が1億4000万tあり、300万t~500万t輸入をしている。インターネットの普及率が高く、物流も整備されていることから、日本産米は小売・ECが主。春節や中秋節には企業が社員の福利厚生目的でギフトを贈る文化があり、有望な販路とされている。
ただ、輸出できる指定工場が限られている問題や、輸入規制の緩和などにも取り組む必要がある。
こうした国別の対応に取り組むとともに、日本国内で米の戦略的輸出事業者や産地づくりを進めていく。
2月4日時点で戦略的輸出事業者にはJA全農や全農インターナショナル、神明、クボタ、木徳神糧など66事業者が参加。目標を12.8万tとしている。
戦略的輸出基地(産地)には156産地が参加している。JAでは、JAみやぎ登米、JAグループ新潟米輸出推進協議会、JAごしょつがる、JA秋田おばこ、JA岩手ふるさとなど。
JAみやぎ登米は農家所得の向上と将来の販路拡大を見据えて、平成30年に神明の提案を契機に取り組みを開始。235人の生産者が令和2年度には474人に増えた。当初の目標である2000tを達成した。輸出先は香港、米国、タイなど。
輸出事業者からは低価格で安定した品質が求められていることから、「ひとめぼれ」より10%程度収量が多い「つきあかり」の生産に取り組んでいる。
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