水田の作付け転換 4.3万ha 目標より4000ha増 2022年産 農水省改定案2022年7月27日
農林水産省は7月27日に食料・農業・農村政策審議会食糧部会を開き、2021年7月から22年6月までに需要実績に基づく米の基本指針の改定案を示した。
2021/22年の需要実績は前年の704万tから2万t減少し702万tとなった。6月末の民間在庫量は217万tで前年から約1万t減少した。
主食用米の需要量は18/19年の735万tが19/20年には714万tへ20万t
以上減少した。コロナ禍の影響で外食需要とインバウンド需要が減少したことが要因とされ、20/21年も10万t減少して704万tなった。
これに対し21/22年は前年比2万t減でとどまった。農水省によると外食、中食の需要が戻ったことや、その後、オミクロン株の感染拡大で外食需要などに影響は出たものの、家庭向けの小売りやネット販売も堅調で需要減の影響が緩和されたのではないかという。
一方、22/23年の需要量の見通しは1人当たりの消費量と人口で推計し692万tとした。米の総需要量は1963(昭和38)年の1341万tをピークに減少し2000年代に入ってからは800万t台となり減少を続けた。来年6月に見通しどおりに需要が確定すれば700万tを切ることになる。
2022年産の生産量の見通しは675万tで来年6月末の民間在庫量は200万tとなる。ただし、在庫のうち2020年産米に対する特別対策として6月末時点で9万tの長期保管が決まっているため、これを除くと来年6月末の民間在庫量は191万tとなる。
22年産米については需給環境を改善するため、21年産米の生産量(平年作696万t)から21万tの削減が必要とされ、面積では3.9万haの主食用以外への作付け転換が求められた。
農水省が調査している各都道府県の作付意向では4月末時点では3.5万haまで取り組みが進んでいることが分かったが、6月末に向けさらに飼料米への仕向けなどが必要とされた。その結果、6月末時点の調査では目標を4000ha上回る4万3000haとなった。数量換算では2万tとなるため基本指針では(注)で生産数量の見通しとして673万tも示している。
意向調査では、主食用米の作付けは「前年並み」が4月末時点の10県から7県へと減少。「前年より減少傾向」が37県から40県に増えた。減少傾向の40県のうち「1~3%程度減少傾向」は22県、「3~5%程度減少傾向」は15県、「5%超の減少傾向」は3県だった。
主食用以外の作物への転換では米粉用米、飼料用米、WCS用稲、麦、大豆をはじめ多くの品目で前年より増加傾向と回答している県が多い。
米の生産調整については、国は2018(平成30)年産から生産数量目標の配分を廃止した。それに代わり適正生産量を示してきたが、それを下回る見込みとなったのは初めて。ただ、今回の調査は各県からの聞き取り調査のため、実際の主食用米と飼料用米などの戦略作物の生産量見込みなどは秋の作況調査で明らかになる。
ただ、2021年産米の40万tを米穀周年供給事業で長期保管し、11月以降に販売するなど、2022年産の作付け転換と合わせて、「需給環境は改善してきた」と農水省はみている。
重要な記事
最新の記事
-
備蓄米 「味に差なく、おいしく食べてほしい」 江藤農相2025年4月24日
-
関税発動で牛肉の注文キャンセルも 米国関税の影響を農水省が分析2025年4月24日
-
トランプ関税で米国への切り花の輸出はどうなる?【花づくりの現場から 宇田明】第58回2025年4月24日
-
【JA人事】JA北オホーツク(北海道)吉田組合長を再任2025年4月24日
-
三島とうもろこしや旬の地場野菜が勢ぞろい「坂ものてっぺんマルシェ」開催 JAふじ伊豆2025年4月24日
-
農林中金 ロンコ・インベストメント・マネジメントに資本参画 不動産分野の連携強化2025年4月24日
-
積雪地帯における「麦類」生育時期 推定を可能に 農研機構2025年4月24日
-
日本曹達 微生物農薬「マスタピース水和剤」新たな効果とメカニズムを発見 農研機構2025年4月24日
-
棚田の魅力が1枚に「棚田カード」第5弾を発行 農水省2025年4月24日
-
みずほ銀行と食農領域の持続可能な発展に向け戦略的提携 クボタ2025年4月24日
-
【人事異動】兼松(6月1日付)2025年4月24日
-
日本生協連「フェアトレード・ワークプレイス」に登録2025年4月24日
-
旭松食品「高野豆腐を国外へ広める活動」近畿農政局 食の「わ」プログラムで表彰2025年4月24日
-
群馬県渋川市の上州・村の駅「お野菜大放出祭」26日から 9種の詰め放題系イベント開催2025年4月24日
-
JA蒲郡市と市内の飲食店がタッグ 蒲郡みかんプロジェクト「みかん食堂」始動2025年4月24日
-
適用拡大情報 殺菌剤「バスアミド微粒剤」 日本曹達2025年4月24日
-
倍率8倍の人気企画「畑でレストラン2025」申込み開始 コープさっぽろ2025年4月24日
-
農業・食品産業技術開発の羅針盤「農研機構NARO開発戦略センターフォーラム」開催2025年4月24日
-
雪印メグミルク、北海道銀行と連携「家畜の排せつ物由来」J-クレジット創出へ酪農プロジェクト開始 Green Carbon2025年4月24日
-
山椒の「産地形成プロジェクト」本格始動 ハウス食品など4者2025年4月24日