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「にこまる」が全産地品種で「特A」の快挙 全国的に苦戦の中で高温耐性の強み発揮 米の食味ランキング2023年3月6日

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日本穀物検定協会が2月28日に公表した令和4年産米の食味ランキングで、全国的に最上級の「特A」が減少する中、「にこまる」が、出品された6産地品種すべてで「特A」を取得するという快挙を成し遂げた。西日本を中心に暑さに強くおいしい米として評価が高まる「にこまる」の躍進に、産地では「販売戦略につなげたい」とさらなる普及への弾みになると期待が高まっている。

ごはん.jpg米の食味ランキングの特Aの数は、2年産の53点から3年産は42点と大きく落ち込み、今回公表された4年産も40点と減少傾向が続いている。特に3年産で13産地品種で特Aを獲得した「コシヒカリ」が今回は8に減少した。8月から9月にかけての台風などの影響で耐倒伏性の弱さが要因と考えられている。

こうした中で、躍進したのが「にこまる」だ。今回は、「静岡県西部」と「岡山県県南」、「愛媛県」、「高知県県北」と「高知県県西」、「長崎県」の6産地品種が出品され、すべてで特Aを獲得するという快挙を成し遂げた。「こしひかり」や「きぬむすめ」が苦戦する中、3年産米の3産地品種だった倍増した形だ。

「にこまる」は、現在の農研機構九州沖縄農業研究センターが、温暖化に適応した品種の開発に向けて、高温でも多収・高品質と食味の良さを求めて育成した品種で、2005年に長崎県で奨励品種に採用された。「きぬむすめ」などをルーツに持ち、笑顔がこぼれるほどおいしく、丸々とした粒張りの良さから「にこまる」と名づけられた。西日本の主力品種「ヒノヒカリ」が温暖化で苦戦する中、新たなブランド米として注目されている。

JA高知県「農家の努力の結果 販売につなげたい」

「にこまる」で2つの産地品種を出品した高知県では、「県北」で6年連続、県西で4年連続の特A取得となった。JA高知県米穀課の西岡彰夫さんは「日照時間に恵まれたことと農家の努力が結果につながった」と語る。主に中山間地域で作付けされる「にこまる」は、主力の「ヒノヒカリ」などに比べて栽培管理が難しいが、農家が気象条件に応じてきめ細かく管理し、高品質を保っていると話す。

現在、高知県全体では、水稲の作付け面積約1万haのうち「コシヒカリ」が約47%、「ヒノヒカリ」が約27%で、「にこまる」は648haで約6%程度だが、食味の良さを受けて少しずつ作付け面積は増えているという。西岡さんは「現時点ではヒノヒカリの方が作りやすく価格も上であるが、高い評価を販売戦略にもつなげて高知県のブランド米の評価を高めていきたい」と話している。

岡山県は初の出品で特A

岡山県は、今回初めて県南で作付けされた「にこまる」を出品し、特Aを取得した。同県では北部を中心に作付けしている「きぬむすめ」も7年連続で特Aを取得しており、同県農産課は「北部中心の『きぬむすめ』と高温になりやすい南部の『にこまる』のいずれも特Aを取得でき、大変ありがたい結果」と声を弾ませる。

同県の「にこまる」の作付け面積は岡山市や倉敷市を中心に4年産は約1300ha。JAグループと連携して実証ほ場を活用して講習会を開くなどして食味向上に取り組んできた成果が表れたと話し、「今後の普及に向けて弾みになると思う。販売価格にも反映されていくことを期待したい」と担当者は話す。

長崎県 品質向上への取り組みで特A奪還

全国でいち早く奨励品種として「にこまる」普及に取り組んだ長崎県では、今回で9回目の特A獲得となった。長崎県農産園芸課の担当者は「3年産米がAだったので、今回は食味計を使うなどして選定に取り組んできた。その成果が得られた」と喜びの声を語る。
長崎県内の4年度の「にこまる」の作付け面積は2054haだが、県は令和7年度までにJAなどと連携して高温耐性品種の面積を5135haに広げる目標で、「今回の評価を弾みに『にこまる』の作付け推進に取り組んでいきたい」と話している。

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