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食料安保でコメの重要性訴え 業界の中長期ビジョン策定へ 全米販2023年6月15日

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全米販(全国米穀販売事業共済協同組合)は6月13日開催の2023年度通常総会後に記者会見を14日開いた。木村良理事長は食料・農業・農村基本法改正議論のなかで、緊急時だけでなく平時からの食料安全保障を重視する方向へ転換する点について「100%自給できる米の重要性をさらに訴えていく。コメ食を増やすチャンス」と強調した。

木村理事長木村理事長

前日の総会では、21年産、22年産と連続して過去最大規模の作付け転換を生産現場は達成し、「単年産でみればむしろひっ迫感が出ているが、古米、古々米在庫を解消しきれておらず、需給均衡に向かうかは微妙なところ」と情勢を分析。一方、昨年度はコスト上昇の打撃を受けるなか、3度にわたって関係業界に理解を求める文書を出したが、「販売価格になかなか転嫁できる状況にない」と話した。

こうしたなか基本法見直し議論のなかで、平時からの食料安全保障を重視する政策へと転換することを国が打ち出すことについて、これを実現するには「コメ食率の向上へと強力に誘導する政策も同時に展開すべき」と強調し、100%自給できる米の重要性を今後も国などに主張し続けていく考えを示した。

一方、基本法改正では適正な価格形成も課題となっている。

今後の米価について木村理事長は、23年産も産地では作付け転換に取り組み需要量より供給量が絞られる見通しであることから「今までは余っているのに(価格を)上げるのかと言われたが、その環境が変わってくる気がする」との見方を示した。

ただ、小売サイドの問題として、とくに量販店は「他社と同じものを売って価格競争するしか生きる道はないという思考に最大の問題がある。時代が変わってきていることをどう伝えるかもポイント」と課題を挙げた。

23年度事業では昨年新設した組織戦略室が2040年に向けた中長期ビジョンの策定を行う。農水省は基本法見直しの議論のなかで2040年には主食用米の需要量が493万tに減るとの見通しを示した。
組織戦略部門担当の山﨑元裕副理事長は米卸業界として「需要量が400万t台になったとき今と同じやり方で通るわけがない」と業界の将来構造を推計しビジョンを描き、会員各社がそれをもとに経営計画を立てる必要があるとした。業界の将来などの推計やビジョン策定は外部のシンクタンクに委託するが、全米販青年部会からもメンバーが参加しビジョンづくりに関わるという。

そのほか、物流問題については海上輸送など他の業界との連携が必要だとした。

22年度決算は、自治体による食料支援で多くの利用された「おこめ券」の販売枚数が前年比180%伸びたことを大きな要因として経常利益は前年比8000万円増の8400万円、当期純利益は1900万円とあった。

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