全国の1等米59.6% 過去最低 9月30日現在 農水省2023年11月1日
農林水産省は10月31日、2023年産米の検査結果(9月30日)を発表した。
1等比率は59.6%で現在の農産物検査が行われるようになった2004年以来、過去最低の比率となった。
検査数量は8月31日現在と比べて164万7000t増加し189万4000tだった。これは4年産の検査数量421万4000tの44.9%に相当する。
例年は検査数量が増えるにつれて1等比率が増えていくが、23年産米の8月31日現在の1等比率は68.9%であり比率は低下した。
原因は猛暑と渇水による高温障害でとくに秋田、新潟、富山など日本海側ではフェーン現象もあり1等比率が大きく低下した。ただ大雨で品質が低下した地域もある。
1等比率が前年より10ポイント以上低下した地域は、青森(68.9%)、宮城(84.0%)、秋田(62.6%)、山形(54.7%)、福島(76.2%)、茨城(57.1%)、神奈川(16.8%)、山梨(80.7%)、新潟(13.5%)、富山(56.8%)、鳥取(36.3%)の11県。
2等以下に格付けされた主な理由は白未熟粒など「形質」が65.5%、「整粒不足」が16.1%、「着色粒」が13.5%となっている。
1等比率が低下したことで生産者の手取りは打撃を受ける。
一方、高温耐性品種は1等米が確保されていることが示された。
新潟県では県全体の1等比率が13.5%だが、「新之助」は1等比率97.3%と高い。「にじのきらめき」は1等比率26.0%だが、2等が65.1%で1・2等を合わせた比率は905を超える。一方、コシヒカリは1・2等を合わせても46%だった。
農林水産省は地球温暖化に伴い今後も高温傾向が続くことから「一つの品種だけでうまく生産できるというわけにはいかない」として高温耐性品種の拡大を進める必要があるとしている。高温耐性品種には「きぬむすめ」(島根、岡山、鳥取)、「こしいぶき」(新潟)、「つや姫」(山形、宮城、島根)、「ふさこがね」(千葉)などがあり、22年産の作付面積は15万9000haで主食用米作付面積に占める割合は12.8%となっている。
最終の検査結果でこれまで1等比率がもっとも低かったのは2010年産米の62.0%だった。この年も夏の高温で2等以下に格付けされたおもな理由では「心白及び腹白」が約4割を占めた。
農産物検査の等級は精米する際の歩留まりの目安であり、食味の格付けではない。白未熟粒は精米の過程で除去されることが多いが、農水省は乳白色になった粒が多い米でも早炊きモードや水加減を少なめにして炊飯することなどを公式ユーチューブチャネルなどで発信している。
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