飼料用米 支援水準引き下げで主食用増を懸念 増加意向県2024年6月13日
農林水産省がまとめた24年産水田の4月末時点の作付意向調査結果では、11県が主食用米の作付けについて「前年より増加傾向」と回答した。1月末時点の5県から6県増えた。県の再生協などに聞くと需要に応じた作付けとは必ずしもいえず、一般品種の飼料用米支援単価の引き下げを指摘する。主食用米の作付け過剰とならないよう6月末の営農計画書提出まで加工用米、飼料用米などへの転換を呼びかけている。
宮城県のJAによると飼料用米の作付意向の面積は前年産の5割程度となっているという。
宮城県の宮城米推進課によると4月末の「あくまでも意向調査」としたうえで、主食用米の作付け面積は前年産の1%超の増加傾向だったという。
担当者は「飼料用米の支援単価の見直しの影響は大きい」と話す。大豆等で転作に対応してきた生産者は引き続き同様の取り組みをしていると見られるが「一般品種で飼料用米として転作してきた生産者は、経営判断で主食用を作付けることもあるのでは」と認める。
一般品種への支援単価は24年産から標準単価が10a当たり5000円下がり、同7.5万円となる。25年産は同7万円、26年産は同6.5万円と段階的に引き下げる。多収品種の飼料用米専用品種への作付け転換を推進するためだ。
宮城県では水稲が作付けられた後、需要に応じた主食用米の作付けとなるよう加工用米や輸出用米、さらに飼料用米への転換を引き続き推進しているが「前年並みになるのは難しい」ともらす。
栃木県は1月末時点では「前年より減少傾向」だった。それが一転して「前年より増加傾向」に。県再生協によると業務用需要などの引き合いが強まったなど動きではなく「在庫不足という情報の影響ではないか」と見る。
そしてもう一つ指摘するのが、やはり飼料用米への支援水準の引き下げだ。
米のスポット取引価格の高騰などが伝えられるが「需給全体にどれほどのウェートを持つ話しなのか分からない」と指摘し、需要をしっかり把握することが重要だと話し、JAなど関係機関とともに需要に応じた米の生産を働きかけていくという。
一方、JA全中によると「全中と全農の調査では主食用米の作付け動向は全体として昨年と同様。増やすという県がある一方で減らすという県がある」(全中・馬場専務 6月6日の定例会見)としている。営農計画書の提出期限の6月末まで需要に応じた生産となるよう「働きかけをしていきたい」(山野全中会長)と例年と同様の取り組みを進める。
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