主食用平均米価を指数化し先物取引 8月開設 堂島取引所2024年6月27日
堂島取引所は6月26日、米の指数先物取引市場の概要を明らかにした。取引の対象は「将来の主食用米の平均米価」で産地銘柄を限定しない。8月に市場を開設する。
先物市場の開設に合わせて平均米価の参考値となる現物コメ指数を毎月末に公表する。
現物コメ指数は、農林水産省が毎月公表している「相対取引価格」をもとに、米穀機構が実施している「米取引関係者の判断に関する調査」で示している需給や米価の見通し判断DIをインプットして算定する。初の現物コメ指数は6月28日に公表される。
従来の米の先物取引との今回のコメ指数先物取引(愛称は堂島コメ平均)との違いは、取引対象が特定の産地品種銘柄ではなく日本全国の主食用米の平均価格であることと、現物決済(受渡し)を行わないこと。
口座を開設すれば誰でも取引に参加できる。現物決済を行わないことから米の業界関係者以外でも参加できる。
また、産地品種銘柄を限定しないため堂島取引所はどの地域の生産者でも参加しやすい市場だと説明する。
取引単位は3tで60kg当たりの価格を呼値とし、その50倍の金額を扱う。基本的な使い方は差金決済取引で堂島取引所は次のような例を挙げている。
米の需給がひっ迫し、米の先物相場が高くなると予想した場合、ある時点(限月)で1万5000円で10枚買い付け、その後、予想通り相場が上昇したので1万7000円ですべて転売した。この場合、2000円の利益が出るが、取引の倍率は50倍だから10万円となり、さらに売買数量は10枚のため100万円の利益となる。
また、現物市場と組み合わせてリスクヘッジをすることもできるとする。現物市場の価格が下がって損失が出ても、先物市場の差金決済によって利益を確保すれば損失をカバーできるという。
売買は個別競争取引で行われ、売買の値段が合致すればどの都度、取引が成立する。
先物取引に参加すると将来の価格変動リスクを抑えることができることから堂島取引所は経営計画の策定に寄与すると説明している。また、取引に参加しなくても毎月公表される現物コメ指数を取引や生産計画の指標として利用できる。
堂島取引所は相場の乱高下を避けるため値幅制限を設定する。一方で産地銘柄を限定しないため市場の参加者が増え「市場が厚みを増す」と見込む。
同日に就任した有我渉代表取締役社長は農林中央金庫出身。「現物市場との相互補完で生産者にとっても価格ヘッジ機能を提供できる。JAや大規模生産者も含め関係者の共通のインフラにしたい」と語った。
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