米の民間在庫156万t 過去最小 6月末 需要実績増 農水省2024年7月31日
農林水産省は7月30日に食糧部会を開き米の基本指針を示した。6月末時点の米の民間在庫量は前年にくらべ41万t少ない156万tとなり、過去最低水準となった。
2023年産米は高温・渇水の影響で1等比率が低下して精米歩留まりが悪くなったことによる玄米使用量の増加や、食料品全体の価格上昇するなかでも米の価格は上昇が緩やかであったことなどから、農水省は消費がやや増加したとして6月末の民間在庫量は156万tとなった。
その結果、需要実績(23年7月~24年6月)は702万tとなり、3月の需要量見通しにくらべて11万t(1.6%)増えた。
民間在庫量は156万tは需要量との比率では22.2%となっている。コロナ禍で需要が減退し在庫が210万t程度となった2021、22年は31.0%だったが需給が改善した。需要量に占める在庫量の比率は2011、12年にも22%となっており農水省は「それほど特異な水準ではない」とする。
一方、基本指針では24年7月~25年6月までの需要見通しについては、一人当たり消費量と人口の推計値から算出して673万tとした。3月の指針策定時にくらべて3万t増えたが、需要量が減少していくトレンドは続くとみる。
2024年産米の生産量は現時点では見通せないが、3月の基本指針で示した669万tであれば来年6月末の民間在庫量は152万tと過去最低水準を更新する見込みだ。
ただし、同日に公表された6月末時点の各都道府県の作付意向調査結果では主食用米が前年より「増加傾向」にあるとしたのは、4月末時点より5県増えて16県となった。北海道、東北、関東など主産県が増加傾向にあるとしていることから「これからの作柄次第だが、供給量が(669万tより)上振れる作付け意向が示されている」と農水省は見ている。
需給が改善されるなか、米の相対取引価格は上昇し、6月の相対取引価格は60kg1万5865円となり、6月の価格としては2012年産の1万6293円に次ぐ過去12年間で2番目の高値となり、端境期にかけて価格が上昇している。
ただ、米の販売数量は堅調に推移しており、6月の対前年比は小売事業者向けで114%、中食・外食事業者向けで98%で全体では同107%となっている。
販売事業者の実需者への販売は昨年は+3万tの321万tとなったが、5万t以上の販売事業者が+6%だったのに対して、4千t以上5万t未満の販売事業者は▲5%だった。これに対し今年は全体で+11万tの332万tとなり、4千t以上5万t未満の業者で+1%、5万t以上の業者で+6%で中小・中堅の事業者でも販売が増加している。
こうした販売量の増加の要因をインバウンド需要の伸びとする見方もある。これについて今回、農水省が試算している。
日本政府観光局によると22/23年度(22年7月~23年6月)の訪日外国人数1404万人に対して、23/24年度は2.3倍の3213万人となった。平均泊数も8.8泊から10.1泊に伸びた。
こうしたデータをもとに訪日客が1日2食(入国日と出国日は1食)米を食べると仮定して試算したところ、インバウンドの拡大によって米の需要量は昨年より3.1万t増え5.1万tとなった。
前年の米の需要量より11万t多い702万tの需要のなかに、この5.1万tも含まれるが全体の1%に満たない割合であり、インバウンド需要が需要量を押し上げるほどではない。
今後の米の需給や価格動向については24年産米の作柄により変動すると見られ、食糧部会では農水省が示した基本指針を了承したものの、8月下旬に再度、食糧部会を開くことになった。
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