多収米でコメの安定生産・供給体制を 業務用米セミナー&交流会 農水省補助事業でグレイン・エス・ピー ①2024年12月23日
農水省の補助事業「業務用米推進プロジェクト」のセミナーと交流会(グレイン・エス・ピー主催)が12月20日、東京・中央区の日本橋プラザで開かれた。過去には7回にわたって生産者と実需者の商談・マッチングを行ってきたが、今回は多収米の安定生産・供給体制の構築に焦点をあて、セミナーと交流会による「生産者と実需者、卸売り、スーパーマーケットなど多彩なネットワークの形成」(島鏡太郎グレイン・エス・ピー社長)の場に変更した。
冒頭のあいさつで農水省の葛原祐介農産局穀物課米麦流通加工室長は「消費者の中食、外食志向などライフスタイイルが変化し、安定供給が大事になっている一方、安定生産が思うように進んでいない。今年、来年に限らず多収米を低コストで供給できる経営モデルを長期的に作っていきたい」とイベントの狙いを語った。グレイン・エス・ピーによれば、生産者と実需者のマッチングはイベントのホームページに登録する方法に変更した。開設した今年11月以降に「生産者約80、実需者など400近くが登録し、リストを共有化して直接コンタクトできる」(末田敏明専務取締役)ようにした。
農水省の葛原祐介農産局穀物課米麦流通加工室長
セミナーと交流会の参加者の内訳は生産者(種子を含む)24、卸売り47、実需者61、中食11、外食27、米加工11、米穀店12、その他15と多彩な顔ぶれとなった。会場には生産者や来場者同士の交流、セミナー登壇者による相談などのコーナーを設置し、活発な交流が進んだ。5品種の多収米の試食コーナーでは、ベンチマークのコシヒカリと味を比べて「違いがわからない」と感想を述べる参加者も多かった。
多収米と「コシヒカリ」を食べ比べ
多収米も「おいしい」が当たり前に
農研機構
農研機構の後藤明俊作物研究部門グループ長
セミナーは4本実施され、最初に登壇した農研機構の後藤明俊作物研究部門グループ長は「多収米の品種や特性について」講演した。後藤氏は1人あたりのコメ消費量が長期的に減少する一方で、カロリー消費が「食生活の変化により米や米粉以外に多様化」している実態を提示。米の食味ランキングで特Aに指定される銘柄や品種が増えていることから「おいしい米は当たり前になり、価格と安全性が求められている」こと。また、食生活で中・外食が増えている現状から「ブランド米にこだわるだけでなく、おいしい多収米の生産で収穫性が高まり手取りも増える。実需者も安く調達できる」と強調した。また、収穫量以外の多収米の特徴として「作期分散、耐病害虫性、高温耐性」などを挙げ、「ちほみのり」「つきあかり」「あきだわら」などの特徴を紹介した。
米粉についても「政府の輸入小麦の代替策として消費の拡大が進み、2021年の4万tから30年には13万tになる」見通し。後藤氏は米粉に使われる多収米のアミロース含有率による用途の違いなどを示し、米菓や和菓子だけでなく、料理や菓子などへの用途拡大も呼びかけた。
契約栽培、生産量は2割増加
ヤンマーマルシェ
ヤンマーマルシェの松田彩友美フードソリューション部農産物穀物グループ・プロジェクトリーダー
続いて、ヤンマーマルシェのフードソリューション部農産物穀物グループから松田彩友美プロジェクトリーダーが「多収米を活用した低コスト生産のモデル」を報告した。同社は「生産者の経営安定、実需者の安定的な食材確保への貢献」にむけ、米の契約栽培に取り組んでいる。は種前に契約を行うことで安定収入の確保(今年は初めて期中に価格引き上げ)につながり、現在は全国で203件、平均32.1ヘクタール規模の生産者と契約している。生産量は令和6年産の調査で前年比20.8%増となった。このうち業務用は95%を占め「にじのきらめき」「まっしぐら」などが多い。
契約栽培は「一俵あたりの収益ではなく、10aあたりの収益」を重視し。これを多収米で実現するために「実需者の品質ニーズに応える栽培技術」の習得をサポートしている。低コスト生産に向けては専用肥料や独自アプリ開発、玄米の分析データの生産者へのフィードバックなどで「1等米比率が全国平均よりも高い80%」と効果を示した。今後も多収米品種で作業時期を分散させ「担い手の栽培面積拡大」を進める考えだ。
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