米の「民間輸入」急増 国産とのブレンド米がスーパーに コンビニおむすびにも使用2025年3月21日
政府備蓄米の放出と並行して、外国産米の民間輸入が急増している。1キロ341円の関税を払っても採算が取れるためである。セブンイレブンでは輸入米を使ったおむすびが売り出され、スーパー・まいばすけっとでは、輸入米と国産米とのブレンド米の売れ行きが好調だ。輸入米がこれ以上市場で広がる前に、不足感解消と安定流通回復が急がれる。
枠外輸入数量の推移
まいばすけっとで「二穂の匠」販売
大手米卸の神明は、米国産カルローズが8割、国産が2割のブレンド米「二穂の匠」を卸し、イオングループの都市型小型スーパー・まいばすけっとが売り出した。価格は5キロで約3700円だ。
神明は「輸入米と国産米とのブレンドを売り出すのは初めてだ。追いついていない供給数を補うため、試験的にまいばすけっとの一部店舗で試験的に売り出した。当初見込んだより売れている」(営業本部)と説明する。備蓄米放出の影響については「どのくらい割り当てられるかまだ見えておらず、まだまだ不足感が解消される状況ではない」とした。
セブンイレブンの「玉子チャーハンおむすび」も
コンビニ大手のセブンイレブンは、2月に売り出した「香ばし炒め玉子チャーハンおむすび」(149円)にオーストラリア産米を使う。
セブンイレブンを運営するセブン&アイホールディングスは「メニューや調理法によって外国産米が適している商品には外国産米を使うことがある。米価や調達難が理由ではない。他の商品に外国産米を使っているものはない。(2024年産米については)おおむね調達の目途が立った」(広報)と言う。
吉野家は「牛丼に合うから」
外食での輸入米使用事例としてよく挙げられるのが大手牛丼チェーンだ。
松屋では「国産米高騰に伴い、当社必要数量が不足したため」、5月から一部店舗で国産米と輸入米とのブレンドに切り替えた(松屋ホールディングス)。一方「吉野家」は、足元の米不足や高騰と関係なく、以前から米国産を中心に輸入米を国産米とブレンドして使ってきた。吉野家ホールディングスは「一部報道にあったように『国産米が高騰したので切り替えた』ということではない」とする。牛丼に合う米を探すという点では「玉子チャーハンおむすび」と重なる。
2024年度は輸入急増
外食産業などからの需要に応え年内に1万トンを輸入する大手商社・兼松は「当社の主目的は安定供給で、需要に応じて輸入米も扱っている」とした。米の民間輸入は、2023年度368トンだったが、24年度は1月末までの10ヵ月で991トンにのぼった。
国内の「米不足」を民間輸入が補っている恰好だが、輸入が拡大するとその分、国産米需要が削がれかねない。輸入は必要量がいつでも確保できるとは限らず、米の自給を守ることは食料安保の要だ。
重要な記事
最新の記事
-
政府備蓄米 JA全農 初回入札で13万2000t落札2025年3月21日
-
配合飼料供給価格 1t400円値下げ 4‐6月期 JA全農2025年3月21日
-
鶏卵 夏以降、生産回復し価格落ち着きか 需給見通し検討委2025年3月21日
-
【浜矩子が斬る! 日本経済】商品券ばらまきで馬脚 「苦しい日本に向かって『楽しい日本』を振りかざすヒラメ男の無神経」2025年3月21日
-
国際協同組合年2025で危機を好機に 日本共済協会が「IYC2025の意義」セミナー(1)2025年3月21日
-
国際協同組合年2025で危機を好機に 日本共済協会が「IYC2025の意義」セミナー(2)2025年3月21日
-
米輸出に意欲 担い手への新たな支援も 江藤農相2025年3月21日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】国内供給を放置して進む輸入米と輸出米の危うさ2025年3月21日
-
【インタビュー】JA全農酪農部 深松聖也部長 結集力で日本の酪農を守る2025年3月21日
-
(427)卒業式:2日前と前日【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年3月21日
-
肉用鶏の衛生水準の向上等に関する検討会 中間取りまとめを公表 農水省2025年3月21日
-
個人番号の利用目的の変更 農林中金2025年3月21日
-
【Jミルク需給変動対策】初の155億円規模基金 非系統含む全酪農家、業者参加を2025年3月21日
-
みちのく産小麦使った喜多方ラーメン 特徴はもちもち感とコシの強さ JA会津よつば2025年3月21日
-
県産野菜、鍋で食べやすく れんこんのシャキシャキ感に合う上品なつゆの風味 JA全農いばらき2025年3月21日
-
日本の小粋な白ワイン 2023農民ドライ ココ・ファーム・ワイナリー2025年3月21日
-
環境配慮の理解が進んだ消費者は農産物に最大16%上乗せしても購入 NTTデータ経営研究所「環境配慮型食品に関する消費者調査」2025年3月21日
-
AIによるモモ樹の水ストレス画像診断技術を開発 適切なかん水判断を可能に 農研機構2025年3月21日
-
【役員人事】コメリ(3月16日付)2025年3月21日
-
【人事異動】コメリ(3月16日付)2025年3月21日