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埼玉の米どころ・加須市 猛暑とカメムシで収量「8割減」も 適期防除が重要2025年4月8日

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田植えシーズンを前に「埼玉の米どころ」加須市で米農家に話を聞くと、イネカメムシと猛暑のダブルパンチで2024年産米は収量が大きく減っていた。加須市の調査では防除をした農家は、防除しなかった農家より5割前後収量が良かったが、防除した農家でも農水省が示す「平年収量」には及んでいない。米不足解消のためにも、適期防除や高温耐性品種導入が切実になっている。

ライスセンターに立つ彩北アグリおおとね会長の塚田静男さん(右)。左は埼玉農民連の松本眞一副会長ライスセンターに立つ彩北アグリおおとね会長の塚田静男さん(右)。左は埼玉農民連の松本眞一副会長

JAほくさい(本店・埼玉県羽生市)管内の加須市は、関東平野のほぼ中心にあたる埼玉県の北東部に位置し、肥沃な土壌と水に恵まれた平坦地が広がる。利根川を水源とした農業用水路が整備されたこともあって古くから稲作が盛んで、県内屈指の「米どころ」だ。

大規模法人「平年の8割減」

彩北アグリおおとねのほ場(右)と倉庫彩北アグリおおとねのほ場(右)と倉庫

市内で米(コシヒカリ、彩のきずな、彩のかがやき)を47ヘクタールのほか、イチゴ、そば、大豆を作る株式会社彩北アグリおおとね(加須市北大桑)の会長、塚田静男さん(77)は「ここらへんは不作の農家が多い。2024年産米は、うちは平年の8割減だった」と話す。「原因はイネカメムシと高温障害ですよ」

内陸部にある加須市や熊谷市は猛暑で知られる。イネカメムシは高温条件下で発育が早く進むとされる。

最近、ほ場に薬剤を散布する農機ブームスプレイヤーを買ったが760万円かかった。信連を通して公庫に申し込み、融資を受けた。資材も人件費も上がるばかり。経営に債務返済がのしかかる。

24年産米は系統外の業者に出荷した。「前は農協に出してたけど、いまは値段が違っちゃって」と塚田さん。「60キロ当たり2.4万~2.5万円になるといいんだが」

不稔で穂が垂れず

酒米生産者協議会会長の篠塚敏雄さん。酒米生産者協議会会長の篠塚敏雄さん。

酒米も作り酒米生産者協議会会長を務める篠塚敏雄さん(83)は8ヘクタールでコシヒカリとミルキークイーンを作り、1.6ヘクタールで酒米「山田錦」を作る。篠塚さんも「平年作の8割減」だった。

その理由を妻の泉(みつ)さんは「高温障害とカメムシのダブルです。出穂して気づいたらカメムシがいっぱいで、それから防除しても遅かったようで」と説明する。「籾に実が入らない不稔で、穂が垂れないんだ」と篠塚さんがこぼした。

特に田植えが6月になった人がやられたという。「こんなにカメムシが出た年はなく、本当にひどかった。(収量が)いい人で4割減でしょうか」と泉さんは言う。

「機械が壊れるか、自分が壊れるか」
農水省「令和6年産水稲の全国農業地域別・都道府県別10a当たり平年収量」によると、埼玉県の10アール当たり平均収量は494キログラム。約8.2俵だが、「このあたりでは最近、8俵取れたらすげえなと言われる」(篠塚さん)。

昨年視察に行った長野県松川村では、平均収量が10俵と聞いた。北アルプスのふもとで、冷涼な気候がうらやましかった。今年は高温耐性の新品種「にじのきらめき」も作るつもりだ。

6ヘクタールの田で米を作る今成吉昭さん(77)は平年の7割の収量で、「15俵取れた田もあった」という。「今やってる人が辞めちゃうと米を作る人がいなくなる。農薬も肥料も上がってるんだから、60キロで2万円はないと困る」と語ると、泉さんが続けた。

「田植え機だってやっと動いてるし、乾燥機だって変な音出してるし。機械が壊れるのが先か、自分が壊れるのが先か」

あっという間に増え被害大きく

イネカメムシの発生サイクル(埼玉県農産物安全課・埼玉県病害虫防除所のチラシから)イネカメムシの発生サイクル(埼玉県農産物安全課・埼玉県病害虫防除所のチラシから)

農研機構・中日本農業研究センターのレポート「斑点米カメムシ類の被害及び防除法(特に近年問題となっているイネカメムシを中心に)」によると、埼玉県では2020年まで「捕獲なし」だったが、「わずか数年で、あっという間に増え、大きな被害が及んでいる地域もある」。イネカメムシの加須市での誘殺数(頭)の推移をみると、2022年は4頭だったが、23年は105頭に急増し、24年は636頭と爆発的に増えた。加須市は「あっという間に増え、大きな被害が及んでいる」典型例と思われる。

防除の有無と収量の関係を市が調査
「イネカメムシが大量発生したため、(2024年産)米の収量が減少している」と農家や県から情報を得た加須市は、市内の状況を確認するため、認定農業者を対象に「水稲10アール当たりの収量」の調査を実施した。認定農業者272名中、約77%から回答を得た。

加須地区の「彩のきずな」は、防除をしなかった農業者の10アール当たり収量は1.5~7.0俵で平均4.6俵。それに対し防除した農業者(1~3回平均)は5.0~9.0俵で平均6.9俵だった。防除することでカメムシ被害が軽減し、収量が50%増えたことになる。大利根地区の「コシヒカリ」は、防除をしなかった農業者の収量が1.0~7.2俵で平均5.0俵。防除をした農業者は2.0~8.5俵で平均6.7俵だった。こちらは、防除することで収量が34%増えた。「彩のかがやき」「その他」も含め、全品種、全地区で、防除した農業者の平均収量は防除しなかった農業者の平均収量より、10アール当たり0.1~2.4俵多かった。

ただ、防除をした農業者でも、農水省が示す前記・平年収量に近い8俵に達したのは北川辺地区の「彩のきずな」だけで、他はすべて平年収量を下回った。

JAほくさい「適期防除」呼びかけ、市も助成
JAほくさいでは「昨年は管内のほぼ全地区でカメムシ被害があり、平均すると収量は平年の6割ぐらいだったと思う。被害を防ぐには適期防除が重要で、会議を開き注意を呼びかけた。出穂期~登熟初期に2回の薬剤散布を推奨している」(営農経済部)と話す。加須市も「カメムシ対策のための薬剤散布費用の一部を助成することにし、広報等で周知していきたい」(農業振興課)としている。

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