米:日本文化は大地を耕すことから
【特集・日本文化は大地を耕すことから】日本文化を支える稲作農業2014年1月20日
2013年は、TPP参加問題、40年以上続いてきた米政策の抜本的な見直しをはじめとする農政の転換、さらに猛暑や相次ぐ台風の襲来、予測ができないゲリラ豪雨などの異常気象による被害をはじめ農業を取り巻く環境は厳しいものがありました。しかし、そうしたなかで嬉しいニュースもありました。
◆日本文化の象徴 富士山と和食
嬉しいニュースの1つは、「富士山・信仰の対象と芸術の源泉」として、日本のシンボルの1つである富士山がユネスコの世界文化遺産に登録されたことです。
そして、稲作を中心とする日本農業によって支えられ、日本人の命を育んできた「食」が「『和食』:日本人の伝統的な食文化」として、12月4日にユネスコの世界無形文化遺産に登録されたことではないでしょうか。
ユネスコの「無形文化遺産」は、「かたち」のない文化でも地域の歴史や風習などと密接にかかわっているものを尊重するもので、多様な文化を世界の人びとが互いに認め合おうというメッセージが込められています。
「和食」は、日本列島の多様な地域性と四季折々の新鮮な食材とその持ち味を生かした食文化であるとともに、正月や田植え、収穫などの地域社会の年中行事などとも密接につながった社会慣習として、昔から日本人の命と暮らしを支えてきました。
そしてその根幹には、日本の稲作農業があることは、いうまでもありません。
日本人は昔から集落の人たちが協働して水田を維持してきたことで、きれいな水の循環を守ってきました。日本の国土のシンボルともいえる富士山は、そうした森林と里そして海の命の水の循環をつなぐという日本人の心のシンボルではないでしょうか。
「和食」の無形文化遺産登録と「富士山」の世界文化遺産登録は、日本の社会と文化を支えてきた稲作中心の日本農業の価値が世界的にも認められたということではないでしょうか。
◆明日の日本農業を考える機会に
私たちはこのことに誇りをもち、これからの日本農業を創るために何をしなければいけないのかを、改めて考える機会にしなければいけないのではないか…。
JAcomではそう考えて、「特集・日本農業の未来を創るために―日本の文化は大地を耕すこと―」をテーマに特集を企画しました。
この特集ではまずユネスコ世界無形文化遺産に登録された日本人の伝統的な食文化「和食」について、「日本食文化の世界無形遺産登録に向けた検討会」でどのような論議がされてきたのか、登録された「和食」とは何か、そしていま「和食」はどのような状況にあり、無形文化遺産に登録されたことは、日本人に何を問うているのかなどについて考えました。
そして、安田善憲東北大学大学院環境科学研究科教授に、水の循環を中心に、富士山の世界文化遺産登録の意義を含めて「水田農業と日本人の生き方」について、語っていただきました。
さらに星寛治氏、山下惣一氏という東西の農民作家に「農業・農村の文化的価値」について榊田みどり氏の司会で語り合っていただきました。
(それぞれの特集記事については、下記リンクよりご覧ください。)
【特集・日本農業の未来を創るために―日本の文化は大地を耕すこと―】
・危機にある「和食」 ユネスコ世界無形文遺産登録の意味 (14.01.15)
・【「和食」の特徴】ご飯を中心に季節のものを食べる (14.01.15)
・【インタビュー】水田農業と日本人の生き方 安田喜憲・東北大学大学院環境科学研究科教授(国際日本文化研究センター名誉教授) (14.01.17)
・和食に日本人の感性 東西の農民作家が対談、農業・農村の文化的意義を語る(星寛治氏&山下惣一氏) (14.01.10)
(イメージイラスト:種田英幸)
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