米:農業倉庫火災盗難防止月間2014
米産地、生き残るために 消費者が求める米づくりを 現地ルポ・JA秋田ふるさと2014年11月25日
・JA秋田ふるさと米事業の取り組み
・火災盗難予防対策の確認を(JA全農米穀部)
・農業倉庫火災盗難予防月間にあたって(公益財団法人農業倉庫基金理事長・小屋秋文氏)
・平成26年度農業倉庫火災盗難予防月間の取り組みについて
カントリーエレベーター、ライスセンターなどの大型調製乾燥貯蔵施設と並び、JA米穀事業の中核を担っている農業倉庫。とくに近年、米の需要低下などにより産地間競争が激しさを増すなか、より安全・安心でおいしい米を消費者に届け、選ばれる米づくりを実現するためにも、販売・流通の拠点となる農業倉庫と、そこでの品質管理の強化はますます重要になっている。
JA全農と公益財団法人農業倉庫基金は、11月15日から翌年1月31日までを例年「農業倉庫火災盗難予防月間」に定め、JAでの保管体制の再点検などを徹底するよう呼びかけている。この運動にあわせ、JA独自の販売戦略として環境保全米の完全実施をめざすとともに、独自の品質管理体制の充実強化に取り組んでいるJA秋田ふるさとを訪ねた。
(写真)
JA秋田ふるさと営農経済部米穀畜産販売課と、農業倉庫オペレーターのみなさん(右が木村均課長、右から3人目が渡部弘行さん)
◆環境・農家・消費者にやさしいエコ米
JA秋田ふるさとは県南部の横手市のほとんどを管内にもつ。基幹作物は水稲だが、米・大豆などの穀物の販売額は、販売高約180億円のうちの6割ほどであり、むしろ園芸や畜産なども含めた「県内一の複合産地」のJAだといえよう。
水稲の主力品種は、今年デビューから30周年を迎えた「あきたこまち」で、作付面積の約9割を占めている。JAグループ秋田では30周年を機に、「あきたこまち リ・ブランド」をテーマに、高品質・良食味生産を進めるとともに、消費地における積極的な販促運動を展開している。
JA全農あきたが販売する秋田米ブランドのひとつに「あきたecoらいす」がある。これは、農薬の使用成分回数を半分以下に抑えた米や、特別栽培米、JAS有機米など環境に配慮してつくられた米の総称で、平成21年度にブランドを立ち上げ、市場ニーズに対応した環境米として積極的に売り出してきた。
しかし、JA秋田ふるさとでは、「消費者が求めている米づくり」をしようという米生産・販売方針の下、「いまや産地間競争は県外だけでなく、県内でも激しさを増している。よりお手ごろ価格で、より安全安心な米をつくる必要がある」(木村均・JA秋田ふるさと営農経済部米穀畜産販売課課長)との考えから、平成25年に「ふるさとecoらいす」の取り組みをスタートした。
◆販売価格は基準価格と同じ
そのコンセプトは、▽環境に配慮、▽低コスト省力型、▽市場・消費者ニーズにマッチ、の3点。環境にも、農家にも、消費者にもやさしいエコ米に、産地としての生き残りをかけた。
生産要件は使用農薬成分回数を県の慣行栽培20成分から半分の10成分とする点は「あきたecoらいす」と同じだが、JA独自規格として1.9mmのふるい網目を使い、さらなる品質向上をめざしているのが特徴だ。
JAのブランド確立に懸ける意気込みは、取り組み開始から2年目となる26年産で、すでに慣行栽培から「ふるさとecoらいす」への移行が実質100%達成したことからも見て取れる。
「ブランドを確立するなら3割とか4割では意味がない。0か100しかない」との考えで、管内の全生産者と一体で取り組みを実施。農薬の使用成分数に無頓着だった組合員には、わかりやすいよう農薬の商品名と成分数、プール育苗や種子消毒の有無、防除体系ごとの使用農薬などをまとめた栽培体系別の合計成分数一覧表を作成するなどして普及に注力した。
その結果、初年度の25年産ですでに申込ベース取組率86.7%(最終実績は62.5%)という高い比率になった。26年産は96%(ブランドの指定銘柄4品種「あきたこまち」「めんこいな」「ひとめぼれ」「ゆめおばこ」に限ればほぼ100%)となり、最終実績でも90%に達する勢いだ。
JAではこの取り組みをさらに進め、2年後の28年産では、使用農薬成分回数を指定農薬のみの7とし、化学肥料を慣行の8.0kgに対し最大2.51kgに抑える特別栽培米を全作付け面積の5割に拡大し、環境保全米の完全実施を実現したい考えだ。
また、「ふるさとecoらいす」のコンセプトである「消費者にもやさしい」を実現するため、参加した組合員には1俵あたり200円の概算金価格の上乗せを行う一方、卸に対しては一切基準価格への上乗せはしていない。それは販売戦略上、有利販売を実現するためだが、「ふるさとecoらいすが、すでにJAのスタンダード」であることをアピールし、産地のイメージアップにつなげるためでもある。
(写真)
JA秋田ふるさとの旭低温倉庫
◆全国でもいち早い米トレサの導入
JAの販売戦略を支える重要な施設のひとつに、農産物総合分析センターがある。
JAでは平成16年に玄米カドミウム分析を実施するため、在庫管理にも活用できる独自のバーコードシステムを完成させた。これにより、JA独自の米のトレーサビリティシステムを確立。この時期に米のトレサシステムを実現したJAは全国でもほかに例がないだろう。
21年にはこのシステムをバージョンアップし、残留農薬検査や、土壌分析、水質検査などもできる総合分析センターを設立。土壌分析では、各生産部会ごとにサンプリングし診断結果を処方箋として配布。より高品質で低コストな米づくりの実現に貢献している。
(写真)
倉庫内に積まれた米の紙袋。これほど高くキレイに積み上げるには熟練の職人技を要する。
◆毎月15日に倉庫自主点検
JA秋田ふるさとは、米販売・流通拠点として5基のカントリーエレベーターと4基のライスセンター、61棟の農業倉庫を持つ。これらの施設における品質管理、事故防止の徹底が、JAの米事業と販売戦略を足元で支えているといえるが、JA秋田ふるさとの取り組みが優れているのは、全国でも類を見ない管内全倉庫の温湿度計の精度確認を行っている点だ。
倉庫内の温湿度を一定に保つことは、米の品質管理の基本だが、これに狂いが生じないよう注意する必要がある。
JAでは本店でアスマン式通風乾湿計を1台保有し、これを基準器として各営農センターが保有している佐藤計量器の携帯用デジタル式乾湿計を照合し、さらにそれを担当者が毎月各倉庫へ持っていき自記式・デジタル式乾湿計との照合を行っている。大元となる基準器も年1回のメンテナンスを行っている。
点検の結果、誤差の発生は「2?3%ほど」(渡部弘行・同課)で誤差の範囲といえる場合もあるが、「10%ということもある」。ズレが大きい場合、除湿機の水やガーゼを取り替えるといった作業が必要となるが、デジタル式の計量器であれば手軽に調整できるというのも利点のひとつだ。
JAでは、毎月15日を「倉庫自主点検の日」に定め、担当者がそれぞれの倉庫を回り温湿度計の精度確認のほか、倉庫の在庫数確認、清掃などを行っている。また、火災・盗難などの防止についても全倉庫を警備会社と契約しているほか、消防設備の点検についても、業者による見回りを常時行っている。
倉庫自主点検の日は、担当者によっては移動が広範囲にわたるため「すべてまわるだけでも半日以上要する」大変な作業だが、こうしたキメ細かい自主管理の徹底が、JA米事業を支えているといえるだろう。
(写真)
精度確認に使用されている温湿度計
火災盗難予防対策の確認を
JA全農米穀部
農業倉庫は集荷・販売の拠点、国内産食糧の保管・供給という生産者と実需者を結びつける大きな役割を担っており、公益財団法人農業倉庫基金(農倉基金)に登録されている全国の農業倉庫は、約6200棟が設置され、収容力約600万トン(平成26年7月現在)を有しています。まさにJAグループ米穀事業の物流中核拠点と言えます。
本会では、倉庫の保管数量が年間で最も多い時期に合わせ、農倉基金とともに全国4会場で農業倉庫保管管理技術研修会を開催(平成26年11月?12月)し、保管管理担当者の育成や技術向上を図るとともに、火災や盗難が多発する冬季に防災・防犯管理の強化・徹底を目的として、「農業倉庫火災盗難予防月間」(平成26年11月15日?平成27年1月31日)を設定し、全国一斉運動を展開しています。
冬期を迎えるこの時期は、火災の発生しやすい時期であり、万が一、火災事故が発生すると甚大な被害となります。農業倉庫だけではなく、カントリーエレベーターやライスセンターについても、不適切な運転や機械の故障・清掃不足等により火災事故が発生しかねません。
さらに、普段は無人となっている農業倉庫から米穀を盗難されるケースや、カントリーエレベーター・ライスセンターの灯油タンクから灯油を抜き取られるケースも見られます。
生産者から委託された大切なお米の保管管理に万全を期すため、農業倉庫関係者の皆様におかれましては、関係機関と連携し、研修会や会議、施設の巡回指導、設備の点検整備等を通じて防災・防犯意識の高揚を図り、火災・盗難の予防体制を確立するとともに、緊急時の連絡体制の確認等を行ってください。
火災盗難事故の発生件数ゼロを目指し、取組みを進めていただきますようお願いします。
農業倉庫火災盗難予防月間にあたって
小屋秋文・公益財団法人農業倉庫基金理事長
日頃から米麦の適正な保管管理についてご努力をいただいていることに、感謝申し上げます。
また、今年も台風やゲリラ豪雨、豪雪など多くの自然災害が発生していますが、被害を受けられた地域の皆さまに心からお見舞い申し上げます。
農業倉庫における火災盗難事故は皆様の努力のおかげで最近は少なくなっていますが、一方でカントリーエレベーターやライスセンターでの火災が相変わらず発生しています。カントリーエレベーターもライスセンターもその多くは灯油を燃焼して乾燥作業を行っていますので、必然的に火災発生のリスクはありますが、担当者が機械の自動運転任せにしていたために気付くのが遅れたというケースも見られます。担当者の心掛け次第で火災事故を減らすことも可能なのではないかと思われます。また、近年ではカントリーエレベーターの地下タンクから灯油が盗まれる事件も発生していますので、灯油の管理にも十分留意する必要があります。
さて、今年も火災および盗難事故を未然に防ぐとともに品質管理に万全を期すために、全農と連携して「農業倉庫火災盗難予防月間」を設け、防災防犯の徹底と併せ適切な保管管理を図る運動を展開してまいります。
農業倉庫における火災事故の発生は少なくなっているとはいえ、不審火・放火の心配もありますので、倉庫周辺には燃えやすいものを放置しないこと、また不在時は倉庫や事務所敷地出入口は必ず施錠することなどの対策が必要です。また、ライスセンターやカントリーエレベーターでの火災事故を防ぐためには、特にバーナーなど機械設備の日ごろからの点検・整備が不可欠です。
このような農業倉庫等の火災盗難事故を未然に防止し、保管管理に万全を期すために、この月間において、JA役職員の行動基準など防災体制を確立したうえで、農業倉庫等における火災および盗難事故防止に重点においた取組みが必要です。さらには生産者が丹精込めて作ったお米の品質・評価を落とすことのないよう、毎日の倉庫見回りを徹底し、保管米の品質管理に万全の注意を払うとともに、害虫・ネズミ被害にも注意する必要があります。
このような取り組みは、皆さんが日常的に実施されていることとは思いますが、改めて予防月間において実施すべき事項を確認し、役職員が一体となって保管管理に万全を期していただきたいと思います。
平成26年度農業倉庫火災盗難予防月間の取り組みについて
全国農業協同組合連合会・公益財団法人農業倉庫基金
(1)趣旨
農業倉庫は冬期にかけて、火災・盗難の多発期を迎え、特に火災事故は毎年発生している。全国で発生した一般火災の出火原因の約2割は放火・放火疑いであるが、農業倉庫においても倉庫周辺に仮置きした木製パレットやその他の可燃物に火をつけられるなど、不審火によるものも時々見られる。また、新米の入庫以降、農業倉庫の南京錠や通用口、シャッターの鍵などを壊しての盗難事故のほかに、最近ではCEやRCの灯油タンクから灯油を大量に抜き取るという盗難事故も発生している。
このため、防災・防犯管理の強化・徹底を目的として、「農業倉庫火災盗難予防月間」を設け、関係機関の協力を得てJAグループが一体となって全国一斉に運動を展開する。
農業倉庫業者は、日々の適切な保管管理を励行する必要があるが、とくにこの月間においては防災意識の高揚を図るとともに、農業倉庫における火災および盗難事故防止に重点を置いた倉庫見回り、施設・設備の整備・点検、倉庫回りの清掃・整理・整頓等を行い、保管管理に万全を期するものとする。
(2)期間
平成26年11月15日から平成27年1月31日までとする。
(3)実行項目
農業倉庫業者は「自主保管マニュアル」、「消防法令」、および別添「農業倉庫火災盗難事故防止対策」に定める火災盗難予防に関する事項の点検・確認を行ない、必要な対策の実施に努める。
(4)火災盗難予防運動の推進方法
[1]全農本所・農業倉庫基金
関係各機関の協力を得て、次の予防運動を推進する。
ア.全国農業協同組合連合会と公益財団法人農業倉庫基金は、JAおよび県連・県農協・県本部(以下、県本部等)の農業倉庫担当者を対象に研修会を開催し、趣旨の徹底と意識の高揚をはかる。
イ.「農業倉庫火災盗難予防月間」ポスターを全国の農業倉庫に配布するほか、農倉基金機関誌「農業倉庫・CEと防災」、新聞等を活用して趣旨の周知徹底をはかる。
[2]県本部等
関係機関の協力を得て、次の予防運動を推進する。
ア.JAの農業倉庫及び米穀担当者を対象にした会議等においては、火災盗難予防について趣旨を周知徹底し、防火・防犯意識の高揚をはかる。
イ.巡回指導班を組織して農業倉庫の巡回を行ない、火災盗難予防設備および消火設備の点検・整備の指導に努める。
ウ.「農業倉庫火災盗難予防月間」ポスターを掲示し、関係者の意識の高揚をはかる。
エ.県本部等の機関誌・地方新聞等を活用して火災盗難予防運動の趣旨の徹底に努める。
[3]JA
関係機関の協力を得て、次の予防運動の実施に努める。
ア.農業倉庫における米麦保管の重要性を再認識し、役職員の意識・責任感の高揚をはかる。併せて、本庫だけでなく、特に支庫の見回りを行い、防火・防犯の徹底をはかる。
イ.農業倉庫等の火災盗難予防設備および消防用設備等の一斉点検を行なう。
ウ.事務所、農業倉庫、共乾施設等に「農業倉庫火災盗難予防月間」ポスターを掲示し、役職員や関係者に注意喚起を行なう。
エ.この期間中、消防・警察関係の協力を得て、防火・防犯についての指導を受けるとともに、消防訓練等を実施する。
オ.有線放送・ケーブルTV等を利用し、あるいはチラシを配布して、組合員および付近住民に火災発生時における緊急連絡の協力を要請する。
以 上
農業倉庫火災盗難事故防止対策
農業倉庫における火災盗難事故を未然に防止し、保管管理の万全を期すため、次の事項を実施する。
(1)防災体制の確立
1.農業倉庫の防災体制を確立するとともに、災害時における役職員の行動規準を定める。
[1]事故発生時における通報を迅速に行なうため、非常時連絡先表を掲げるなどの連絡体制を整備しておく。
なお、火災事故発生時における初期消火に役立つよう、消火器取扱方法の徹底など平素の訓練に努める。
[2]農業倉庫の総括責任者、上級責任者、現場保管管理責任者および火元取締責任者を定め、各倉庫戸前にその氏名を掲示する。
また、当該責任者は相互の連絡を密にして事故防止対策の徹底をはかる。
[3]農業倉庫の鍵の保管責任者を明確にするとともに、保管場所を特定し、厳格に管理する。
[4]警備規程を策定し、これにもとづき庫外・庫内の巡回を行なう。
[5]本庫のみならず、支庫についても、宿直等にかわる常時監視体制の点検・整備を行なう(第三者に本庫・支庫の警備を委託する場合も含む)。
2.消防署・警察署の協力を得て、防火・防犯の指導を受ける。
○火災予防
[1]建物
ア.農業倉庫周辺の建築物の構造・配置を防火上の見地から見直し、改善に努める。
イ.下屋の一部を事務所に利用する時は、火気取扱責任者を定め責任を明確にする。
ウ.ガソリン、灯油、LPガス等の燃料は、必ず所定の危険物貯蔵庫に格納するものとし、農業倉庫には置かないように関係者に徹底をはかる。
エ.農業倉庫構内の要所に火気使用禁止および禁煙の標識を掲示し、指定場所以外での火気の使用を禁止する。また、構内は禁煙とし、喫煙場所を設定する場合は、休憩所に水を張った吸殻入れを備え、特定する。
オ.農業倉庫内外の見回りを励行し、庫外の枯れ草・塵芥の吹きだまりは、必ず除去するなど、清掃に努める。また、倉庫周辺には木製パレットなど可燃物を置かない。
[2]電気設備
ア.電気の配線および警報器・電灯等の電気設備について、一般財団法人電気保安協会等による絶縁抵抗試験(1年に1回)を受け、電気火災の発生を防止する。
イ.農業倉庫内には原則として裸電球を設置しない。やむを得ず設置する場合においては必ずグローブを使用する。
ウ.断熱構造の低温倉庫等における天井の照明灯は吊下式とし、断熱材から隔離する。
[3]暖房設備
農業倉庫構内の建物において使用するストーブは、日本工業規格に合格した自動消火装置(耐震自動消火装置、ガスは立ち消え安全装置)付きのものとする。また、ストーブの下敷きには不燃性の資材を使用する。
[4]消火設備
ア.「簡易消火器具の農業倉庫設備における最低基準(別表)」にもとづき、消火器を設置する。なお、消火器は「国家検定合格品」を使用する。
イ.消火器の備え付け場所を明示する。
ウ.消火器の点検は、6ヶ月に一回以上行う。[消防庁告示第9号平16・5・31]
点検を行った結果を維持台帳に記録するとともに、3年に1回消防署長に報告しなければならない。[消防法17条3の3、消防法施行規則第31条の6]
エ.消火器の使用方法等に関する担当者の訓練を実施する。
オ.消火器の規格・点検内容が平成23年1月に改正され、旧型消火器の使用は平成33年12月末が期限とされたので、順次改正後の規格の消火器に交換する。
また、消火器の点検基準についても、蓄圧式消火器の内部及び機能点検開始時期を製造後3年から5年に改め(加圧式は従来通り製造後3年)、製造後10年を経過した消火器の耐圧性能点検が義務づけられたので、基準に沿って点検を実施する。[平22年総務省令第111号、平22年消防庁告示24号]
[5]危険通知
ア.ウレタン系、スチレン系など可燃性断熱材を使用した倉庫では、爆燃現象を引き起こす危険があるので、倉庫出入口に「可燃性断熱材使用」の旨を大書きで表示する。
イ.火災発生の際は、倉庫の出入口、天窓、地窓を密閉し初期消火に努めるとともに、速やかに関係機関に通報する。
○盗難予防
[1]構内への侵入を防ぐため、周囲に塀を巡らす等により無用の者の出入りを排除する。
また、倉庫回りが荒れている場合、無人倉庫という印象を与え、犯罪を招きかねないことから、清掃・整理・整頓を徹底する。
[2]入出庫作業にともなう下屋・検査場所等における米麦の仮置きは、短時間に留める。
事情により、仮置きが翌日以降にわたる時は、厳重な警戒体制をとるものとする。
[3]本庫の戸は可能な限り二重戸とする。
扉の外側は鉄製または木製亜鉛板張りとし、難燃性の断熱材を使用する。
[4]錠前は可能な限り複数とりつけるものとし、うち一つは盗難予防効果の高い「隠し錠」または「落し錠」を使用する。
[5]施錠の確認は、確実に実施する。
[6]盗難の集団化に対処し、防犯ベルを設置する。
また、防犯ベルの作動状況を随時検査し、外部配線の露出部分を被覆する等により防犯設備の機能強化をはかる。
[7]農業倉庫構内の要所に、外灯を設置する。
[8]休日、深夜における農業倉庫の監視体制を点検・整備する。
とくにJA事務所から離れた支庫については、周到な防犯設備を装備するとともに、在庫品の早期出庫または本庫への集約化をはかる。
[9]保管台帳、荷渡指図書等を常に在庫品と照合する。在庫品の数量確認に当たっては、必ず上級責任者も立ち合うものとする。
なお、米トレーサビリティ法により、米穀等の入出荷の記録を作成・保存(原則3年間)することが義務付けられていることに留意する。
[10]盗難事故発生の報告を受けた県本部等は、関係機関へ速やかに連絡するとともに、近隣のJAに通報し警戒を促す。
以 上
(参考)
簡易消火器具の農業倉庫設備における最低基準
〔消火器の場合〕
(消防法施行令第10条および消防法施行規則第6条にもとづく)
〔注 記〕
1.この表の本数(数値)については、A火災(普通火災)における消火器の消火性能を示す能力単位の数値が、当該防火対象物の延べ床面積を「別に定められた面積」で除して得た数の合計数以上の数値となるように設けなければならないと、消防法施行令および施行規則に定められている。
2.「別に定められた面積」とは、普通建造物で百平方メートル、耐火建造物で二百平方メートルである。法定の最低基準なので、この数値以上を設置しなければならない。
3.設備基準として「倉庫の各部分から消火器に至る歩行距離が20m以下となるように配慮しなければならない」と規定し、さらに注意を促している。〔消防法施行規則第6条から抜粋〕
4.消火器に替えるものとして、水バケツ・水槽等による消火の際の数値も規定されているが、ここでは説明を省略した。
5.150平方m未満の倉庫について消火器の設置義務はないが〔消防法施行令第10条〕、万が一の火災に備え上記本数の設置が望ましい。
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