米:農業倉庫火災盗難防止月間2015
農業倉庫はJAの顔 米麦サテライト施設の中核として 現地ルポ・JAなすの中央ライスターミナル2015年11月24日
・JAなすの中央ライスターミナルの取り組み
・火災盗難予防対策の確認を(JA全農米穀部)
・農業倉庫火災盗難予防月間にあたって(公益財団法人農業倉庫基金理事長・小屋秋文氏)
・平成27年度農業倉庫火災盗難予防月間の取り組みについて
・農業倉庫火災盗難事故防止対策
カントリーエレベーター、ライスセンターなどの大型乾燥調製貯蔵施設とともに、JA米穀事業の中核を担っているのが農業倉庫だ。とくに近年、米の需要低下などにより産地間競争が激しさを増すなか、より安全・安心でおいしい米を消費者に届け、選ばれる米づくりを実現するためにも、販売・流通の拠点となる農業倉庫と、そこでの品質管理の強化はますます重要になっている。
JA全農と公益財団法人農業倉庫基金は、毎年、11月15日から翌年1月31日までを「農業倉庫火災盗難予防月間」に定め、JAでの保管体制の再点検などを徹底するよう呼びかけている。
この運動にあわせ、JA独自の販売戦略として環境にも優しい「新安心基準米栽培基準」を設定した米づくりに取り組むとともに、収穫された米の品質を維持するための万全な保管管理を行っている栃木県の米どころ・JAなすのの中央ライスターミナル(大型低温倉庫)に取材した。
◆自然に恵まれた農業地帯
那珂川水系の清流による広大で地質豊かな大地と、山岳地域特有の寒暖差の大きな気候が稲作に適し、品質の高い米を産するJAなすのは北関東有数の米どころとして知られている。
JAなすのがある那須地方は栃木県北部に位置し、東は八溝山系を境に茨城県に、北は那須山脈によって福島県との県境に接し、西南は塩谷および南那須と隣接し、大田原市・那須塩原市・那須町の2市1町から成り立っている。
県内総面積の21%を有するこの地方は三方を山岳地帯に囲まれ自然に恵まれた地であり那須、塩原といった観光地でも有名だが、那珂川水系の河川と那須疎水の潅漑水の惠を受けた広大な那須野が原扇状地は、米だけではなく、ネギ、ウド、イチゴ、ニラ、ナス、トマト、ナシ、アスパラガスなどの園芸作物、さらに本州トップクラスの生乳生産量を誇る酪農や「那須和牛」といった畜産も盛んな農業地帯となっている。
◆年々向上する品質・食味
なかでも米は、JA販売事業の約44%を占めるこの地域の主力農産物だ。JAでは、安全・安心で良質な米を生産するために、使用農薬11成分以下(栃木県の慣行栽培は16成分)に抑えるなど独自に「JAなすの新安心基準米栽培基準」を設け、基準に達した米については独自に販売をするなどに取り組んでいる。
この栽培基準の「生産等要件」は
(1)温湯消毒された種子の使用、(2)使用農薬は決められた剤を使用する、(3)病害虫防除は、箱施用剤と無人ヘリ防除とする、(4)適正な調製(網目1.85mm以上を使用、かつ適正な調製をする)、(5)種子更新を100%行う、(6)生産履歴・GAPチェックシートを記帳する、というもので、10a当たり収量540kgを目標として設定している。
この栽培基準に基づいた米づくりに取り組んでいる生産者はまだそれほど多くはないそうだが、全体の品質・食味の向上へ向けた意識が高まり、1等米比率が年々上昇するとともに、25年産米、26産米と2年連続で食味ランキング「特A」の評価を得ている。
◆中核基地として施設も充実
その一方でJAでは、実需者のニーズに応えた「売れるものを作付けしてもらう」ように主食用コシヒカリ(作付けの90%を占めている)から業務・加工用米へのシフトも考えていると加藤正美営農部米麦課長。また、27年産米では、飼料用米がJA全体で3000tと26年産の2.5倍となっており、今後これがどう推移するのか、保管管理の問題を含めて注目していく必要があると考えている。
JAなすの管内で生産された米は、管内のほぼ中央に位置する大田原市富池にある大型低温倉庫の中央ライスターミナル(正式名称はJAなすの品質向上物流合理化施設)を核として、3つのカントリーエレベーターと4つのライスセンター、55の農業倉庫を結んだ「米麦サテライト施設」で、広域的な連携をはかりながら乾燥調製・保管管理されている。
実は、中央ライスターミナルは平成20年9月に稼動し、その年の11月に取材していたのだが、当時は4haという広い敷地に全長150mという大きな倉庫があるだけで、あとは空き地だった。だが、今回訪れてみると、かつての空き地には富池ライスセンターと籾摺機3基を備えた「調製品質管理センター」が、平成23年に設置されており、JAの米麦の品質向上と品質の均一化を担う中核拠点であり、物流の合理化・コスト低減を実現する施設に変貌していることに驚かされた。
中央ライスターミナルは、間口25mの倉庫が6室連なり全長150m。奥行は下屋を含めて41.5m(倉庫部は26.5m)、高さはもっとも高いところで9m。収容能力は、フレコン5220t+紙袋3400t、計8600t強という低温倉庫で、10tトラックが10台入って積み下ろしできるという大きさだ。
取材時には、今年収穫された米が倉庫内に収容されていたが、隣接するライスセンター、調製品質管理センターと連携した作業が手際よく進められていた。収容された米はフレコンが多く、「バラ化率は拡大している」と松浦美智雄営農部米麦課課長補佐(サテライト施設長)。とくに飼料用米は飼料会社の要望もあり全量バラ出荷を行っているという。
◆将来考え施設等再編を検討
加藤課長によると、JA全体では施設の老朽化もあり「能力不足となっているので、倉庫などの再編を検討している」という。「能力不足」というのは単なる収容能力の問題ではなく、品種、独自基準の特栽米、慣行栽培米さらに飼料用米など、仕分けしなければならないアイテムが増え、コンタミ防止のために空いていても使えない「デッドスペース」が多く、結果として「倉庫不足」になっているということだ。
平成30年の減反廃止で稲作がどうなるのか、生産者の高齢化と担い手農家への農地集約化の動向、さらに複数品種、栽培方法の違い、家庭用と業務・加工用など用途の違い、飼料用米の動向などを勘案したうえでどうするかを平成28年度からの3カ年ビジョン策定に向けて検討しているということだ。
◆高い担当職員たちの意識
中央ライスターミナルへ7年ぶりに訪れたのだが、内部は新設当時とほぼ変わらないきれいさだった。よく手入れされ日常的に清掃がきちんとされていることがよく分かる。そのことを伝えると、「この倉庫には、卸や生協など外部からの訪問者が多いので、品質や安全面での管理はもちろんだが、JAの顔として、JA職員の見本であり手本でなければいけない」とJAトップも常にいっていると小瀧光一米麦課係長はいう。
担当職員だけではなくパート職員も含めた意識の高さが、倉庫自体の保守管理でも表れているということだ。もちろん、火災・盗難事故はこれまでに1件もない。
(写真)ライスセンターなども設置され(左)JAの米麦中核基地に、昨年より2.5倍となった飼料用米生産、倉庫には今年収穫された「とちぎ米」が。バラ化率は年々拡大している、左から小瀧係長、松浦施設長、加藤課長
火災盗難予防対策の確認を
JA全農米穀部
農業倉庫は集荷・販売の拠点、国内産食糧の保管・供給という生産者と実需者を結びつける大きな役割を担っており、公益財団法人農業倉庫基金(農倉基金)に登録されている全国の農業倉庫は、約6100棟が設置され、収容力約600万トン(平成27年7月現在)を有しています。まさにJAグループ米穀事業の物流中核拠点と言えます。
本会では、倉庫の保管数量が年間で最も多い時期に合わせ、農倉基金とともに全国4会場で農業倉庫保管管理技術研修会を開催(平成27年11月~12月)し、保管管理担当者の知識や技術の習得、農業倉庫をとりまく情勢、関係法令等の理解促進を図るとともに、保管数量がピークをむかえる出来秋から年末年始をはさんだ翌年1月にかけて、防災・防犯管理の強化・徹底を目的として、「農業倉庫火災盗難予防月間」(平成27年11月15日~平成28年1月31日)に取り組み、全国一斉運動を展開しています。
冬期を迎えるこの時期は、特に農業倉庫周辺に仮置きした木製パレットやその他の可燃物があると放火の危険が増大するおそれがあります。また、カントリーエレベーターやライスセンターにおいても、誤った操作や機械の故障・清掃不足等により火災事故が発生するおそれがあります。
さらに、農業倉庫の南京錠や通用口、シャッターの鍵などの破壊によって米穀を盗難されるケースや、カントリーエレベーター・ライスセンターの灯油タンクから灯油を抜き取られるケースも見られます。
生産者から委託された大切な米麦の保管管理に万全を期すため、農業倉庫関係者の皆様におかれましては、関係機関と連携し、研修会や会議、施設の巡回指導、設備の点検整備等を通じて防災・防犯意識の高揚を図り、火災・盗難の予防体制を確立するとともに、緊急時の連絡体制の確認等を行ってください。
火災盗難事故の発生件数ゼロを目指し、取り組みを進めていただきますようお願いします。
農業倉庫火災盗難予防月間にあたって
小屋秋文・公益財団法人農業倉庫基金理事長
日頃から米麦の適正な保管管理についてご努力をいただいていることに、感謝申し上げます。
また、今年も台風やゲリラ豪雨、豪雪、火山噴火など多くの自然災害が発生していますが、被害を受けられた地域の皆さまに心からお見舞い申し上げます。
農業倉庫における火災盗難事故は皆様の努力のおかげで最近は少なくなっていますが、一方でカントリーエレベーターやライスセンターでの火災が相変わらず発生しています。カントリーエレベーターもライスセンターもその多くは灯油を燃焼して乾燥作業を行っていますので、必然的に火災発生のリスクはありますが、担当者が機械の自動運転任せにしていたために気付くのが遅れたというケースも見られます。担当者の心掛け次第で火災事故を減らすことも可能なのではないかと思われます。また、近年ではカントリーエレベーターの地下タンクから灯油が盗まれる事件も発生していますので、灯油の管理にも十分留意する必要があります。
さて、今年も火災および盗難事故を未然に防ぐとともに品質管理に万全を期すために、全農と連携して「農業倉庫火災盗難予防月間」を設け、防災防犯の徹底と併せ適切な保管管理を図る運動を展開してまいります。
農業倉庫における火災事故の発生は少なくなっているとはいえ、不審火・放火の心配もありますので、倉庫周辺には燃えやすいものを放置しないこと、また不在時は倉庫や事務所敷地出入口は必ず施錠することなどの対策が必要です。また、ライスセンターやカントリーエレベーターでの火災事故を防ぐためには、特にバーナーなど機械設備の日ごろからの点検・整備・清掃が不可欠です。
このような農業倉庫等の火災盗難事故を未然に防止し、保管管理に万全を期すために、この月間において、JA役職員の行動基準など防災体制を確立したうえで、農業倉庫等における火災および盗難事故防止に重点においた取組みが必要です。さらには生産者が丹精込めて作ったお米の品質や評価を落とすことのないよう、毎日の倉庫見回りを徹底し、保管米の品質管理(温湿度管理等)に万全の注意を払うとともに、害虫・ネズミ被害にも注意する必要があります。
このような取り組みは、皆さんが日常的に実施されていることとは思いますが、改めて予防月間において実施すべき事項を確認し、役職員が一体となって保管管理に万全を期していただきたいと思います。
平成27年度 農業倉庫火災盗難予防月間の取り組みについて
全国農業協同組合連合会・公益財団法人農業倉庫基金
(1)趣旨
最近の農業倉庫における火災・盗難事故の発生は少なくなっているが、火災事故については倉庫周辺に仮置きした木製パレットやその他の可燃物があると放火の危険が増大する可能性がある。また、新米の入庫以降、農業倉庫の南京錠や通用口、シャッターの鍵など破壊による盗難事故のほかに、CEやRCの灯油タンクから灯油を大量に抜き取るという盗難も発生している。
このため、防災・防犯管理の強化・徹底を目的として、「農業倉庫火災盗難予防月間」を設け、関係機関の協力を得てJAグループが一体となって全国一斉に運動を展開する。
農業倉庫業者は、常に適切な保管管理を励行する必要があるが、とくに本月間においては防災意識の高揚を図り、農業倉庫における火災盗難事故防止に重点を置いた倉庫見回り、施設・設備の整備・点検、倉庫回りの清掃・整理・整頓等を行ない、保管管理に万全を期するものとする。
(2)期間
平成27年11月15日から平成28年1月31日までとする。
(3)実行項目
農業倉庫業者は「自主保管マニュアル」、「消防法令」、および別添「農業倉庫火災盗難事故防止対策」に定める火災盗難予防に関する事項の点検・確認を行ない、必要な対策を実施する。
(4)火災盗難予防運動の推進方法
[1]全農本所・農業倉庫基金
関係機関の協力を得て、次の予防運動を推進する。
ア.JAおよび県連・県農協・県本部(以下、県本部等)の農業倉庫担当者を対象とした研修会を開催し、予防運動の趣旨徹底と防災意識の高揚をはかる。
イ.「農業倉庫火災盗難予防月間」ポスターを全国の農業倉庫に配付、機関誌「農業倉庫・CEと防災」や新聞等を活用して趣旨の周知徹底をはかる。
[2]県本部等
関係機関の協力を得て、次の予防運動を推進する。
ア.JAの農業倉庫及び米穀担当者を対象にした会議等において、火災盗難予防の趣旨を周知徹底し、防火・防犯意識の高揚をはかる。
イ.巡回指導班を組織して農業倉庫の巡回を行ない、火災盗難予防設備および消火設備の点検・整備の指導を行なう。
ウ.「農業倉庫火災盗難予防月間」ポスターを掲示し、関係者の意識の高揚をはかる。
エ.県本部等の機関誌・地方新聞等を活用して火災盗難予防運動の趣旨を周知徹底する。
[3]JA
関係機関の協力を得て、次の予防運動の実施に努める。
ア.農業倉庫における米麦保管の重要性を再認識し、役職員の意識・責任感の高揚をはかる。併せて、本庫だけでなく、特に支庫の見回りを行ない、防火・防犯の徹底を行なう。
イ.火災盗難予防設備および消防用設備等の一斉点検を行なう。
ウ.事務所、農業倉庫、共乾施設等に「農業倉庫火災盗難予防月間」ポスターを掲示し、役職員や関係者に注意喚起を行なう。
エ.消防・警察関係の協力を得て、防火・防犯指導を受けるとともに、消防訓練等を実施する。
オ.有線放送・ケーブルTV等の利用、チラシの配付などにより、組合員付近住民に火災発生時における緊急連絡の協力を要請する。
以上
農業倉庫火災盗難事故防止対策
農業倉庫における火災盗難事故を未然に防止し、保管管理の万全を期すため、次の事項を実施する。
(1)防災体制の確立
1.農業倉庫の防災体制を確立するとともに、災害時における役職員の行動規準を定める。
[1]事故発生時における通報を迅速に行なうため、非常時連絡先表を掲げるなどの連絡体制を整備しておく。
なお、火災事故発生時における初期消火に役立つよう、消火器取扱方法の徹底など平素の訓練に努める。
[2]農業倉庫の総括責任者、上級責任者、現場保管管理責任者および火元取締責任者を定め、各倉庫戸前にその氏名を掲示する。
また、当該責任者は相互の連絡を密にして事故防止対策の徹底をはかる。
[3]農業倉庫の鍵の保管責任者を明確にするとともに、保管場所を特定し、厳格に管理する。
[4]警備規程を策定し、これにもとづき庫外・庫内の巡回を行なう。
[5]本庫のみならず、支庫についても、宿直等にかわる常時監視体制の点検・整備を行なう(第三者に本庫・支庫の警備を委託する場合も含む)。
2.消防署・警察署の協力を得て、防火・防犯の指導を受ける。
(2)施設の点検と整備
○火災予防
[1]建物
ア.農業倉庫周辺の建築物の構造・配置を防火上の見地から見直し、改善に努める。
イ.下屋の一部を事務所に利用する時は、火気取扱責任者を定め責任を明確にする。
ウ.ガソリン、灯油、LPガス等の燃料は、必ず所定の危険物貯蔵庫に格納するものとし、農業倉庫には置かないように関係者に徹底をはかる。
エ.農業倉庫構内の要所に火気使用禁止および禁煙の標識を掲示し、指定場所以外での火気の使用を禁止する。また、構内は禁煙とし、喫煙場所を設定する場合は、休憩所に水を張った吸殻入れを備え、特定する。
オ.農業倉庫内外の見回りを励行し、庫外の枯れ草・塵芥の吹きだまりは、必ず除去するなど、清掃に努める。また、倉庫周辺には木製パレットなど可燃物を置かない。
[2]電気設備
ア.電気の配線および警報器・電灯等の電気設備について、一般財団法人電気保安協会等による絶縁抵抗試験(1年に1回)を受け、電気火災の発生を防止する。
イ.農業倉庫内には原則として裸電球を設置しない。やむを得ず設置する場合においては必ずグローブを使用する。
ウ.断熱構造の低温倉庫等における天井の照明灯は吊下式とし、断熱材から隔離する。
[3]暖房設備
農業倉庫構内の建物において使用するストーブは、日本工業規格に合格した自動消火装置(耐震自動消火装置、ガスは立ち消え安全装置)付きのものとする。また、ストーブの下敷きには不燃性の資材を使用する。
[4]消火設備
ア.「簡易消火器具の農業倉庫設備における最低基準(別表)」にもとづき、消火器を設置する。なお、消火器は「国家検定合格品」を使用する。
イ.消火器の備え付け場所を明示する。
ウ.消火器の点検は、6ヶ月に一回以上行う。[消防庁告示第9号平16・5・31]
点検を行った結果を維持台帳に記録するとともに、3年に1回消防署長に報告しなければならない。[消防法17条3の3、消防法施行規則第31条の6]
エ.消火器の使用方法等に関する担当者の訓練を実施する。
オ.消火器の規格・点検内容が平成23年1月に改正され、旧型消火器の使用は平成33年12月末が期限とされたので、順次改正後の規格の消火器に交換する。
また、消火器の点検基準についても、蓄圧式消火器の内部及び機能点検開始時期を製造後3年から5年に改め(加圧式は従来通り製造後3年)、製造後10年を経過した消火器の耐圧性能点検が義務づけられたので、基準に沿って点検を実施する。[平22年総務省令第111号、平22年消防庁告示24号]
[5]危険通知
ア.ウレタン系、スチレン系など可燃性断熱材を使用した倉庫では、爆燃現象を引き起こす危険があるので、倉庫出入口に「可燃性断熱材使用」の旨を大書きで表示する。
イ.火災発生の際は、倉庫の出入口、天窓、地窓を密閉し初期消火に努めるとともに、速やかに関係機関に通報する。
○盗難防止
[1]構内への侵入を防ぐため、周囲に塀を巡らす等により無用の者の出入りを排除する。
また、倉庫回りが荒れている場合、無人倉庫という印象を与え、犯罪を招きかねないことから、清掃・整理・整頓を徹底する。
[2]入出庫作業にともなう下屋・検査場所等における米麦の仮置きは、短時間に留める。
事情により、仮置きが翌日以降にわたる時は、厳重な警戒体制をとるものとする。
[3]本庫の戸は可能な限り二重戸とする。
扉の外側は鉄製または木製亜鉛板張りとし、難燃性の断熱材を使用する。
[4]錠前は可能な限り複数とりつけるものとし、うち一つは盗難予防効果の高い「隠し錠」または「落し錠」を使用する。
[5]施錠の確認は、確実に実施する。
[6]盗難の集団化に対処し、防犯ベルを設置する。
また、防犯ベルの作動状況を随時検査し、外部配線の露出部分を被覆する等により防犯設備の機能強化をはかる。
[7]農業倉庫構内の要所に、外灯を設置する。
[8]休日、深夜における農業倉庫の監視体制を点検・整備する。
とくにJA事務所から離れた支庫については、周到な防犯設備を装備するとともに、在庫品の早期出庫または本庫への集約化をはかる。
[9]保管台帳、荷渡指図書等を常に在庫品と照合する。在庫品の数量確認に当たっては、必ず上級責任者も立ち合うものとする。
なお、米トレーサビリティ法により、米穀等の入出荷の記録を作成・保存(原則3年間)することが義務付けられていることに留意する。
[10]盗難事故発生の報告を受けた県本部等は、関係機関へ速やかに連絡するとともに、近隣のJAに通報し警戒を促す。
以上
(参考)
簡易消火器具の農業倉庫設備における最低基準
〔消火器の場合〕
(消防法施行令第10条および消防法施行規則第6条にもとづく)
〔注 記〕
1.この表の本数(数値)については、A火災(普通火災)における消火器の消火性能を示す能力単位の数値が、当該防火対象物の延べ床面積を「別に定められた面積」で除して得た数の合計数以上の数値となるように設けなければならないと、消防法施行令および施行規則に定められている。
2.「別に定められた面積」とは、普通建造物で百平方メートル、耐火建造物で二百平方メートルである。法定の最低基準なので、この数値以上を設置しなければならない。
3.設備基準として「倉庫の各部分から消火器に至る歩行距離が20m以下となるように配慮しなければならない」と規定し、さらに注意を促している。〔消防法施行規則第6条から抜粋〕
4.消火器に替えるものとして、水バケツ・水槽等による消火の際の数値も規定されているが、ここでは説明を省略した。
5.150平方m未満の倉庫について消火器の設置義務はないが〔消防法施行令第10条〕、万が一の火災に備え上記本数の設置が望ましい。
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