米:2019年 農協協会 「JAの米実態調査」から
【JAの米実態調査から・2】効率化・低コスト技術に期待― 5年後の水田農業を全国のJAが予測2019年8月30日
「JAの米実態調査」の2回目は、主食用米と飼料用米の18年産の作付品種とそれが5年後にどうなるのか? そして水田農業を効率化・省力化させる新しい栽培技術のうち普及する技術は何か? を聞いています。
<調査の概要>
この調査は、水稲作付面積100ha以上の全国562JAを対象に、各JAの水稲関係担当の方(営農・購買)にご回答いただいた。調査方式は、郵送による自記入式アンケート調査で、調査期間は2019年2月25日~5月31日。回答数は509件(回収率90・6%)。
【回答JAの地区別件数】
▽北海道=47件(回収率97・9%)▽東日本地区(東北6県、関東7都県、甲信越3県、北陸3県)=220件(回収率90・9%)▽西日本地区(東海4県、近畿6府県、中国5県、四国4県)=165件(回収率91・1%)▽九州地区(九州7県、沖縄)=77件(回収率84・6%)
◇ ◇
【主食用作付品種】5年後もコシヒカリ
図6の左の表は、各JAに主食用米作付銘柄について、作付面積の多い銘柄(品種)をもっとも多い第1位から第5位まであげてもらい、その1位から3位までを集計し、20位までを掲載した。コシヒカリが作付3位にまでに入っているJAが307あり、全水稲作付面積に占めるコシヒカリの割合(栽培比率)が55%だということを表している。作付JA数は少ないが、はえぬき(61%)、あいちのかおり(54%)、ななつぼし(50%)の栽培比率が高いことが注目される。
図7は、5年後に作付の多い品種はなにかを聞いたもので、東日本、西日本ではコシヒカリが、北海道ではななつぼし、九州ではヒノヒカリが多くなると予測されている。
【飼料用米作付品種】夢あおば等にシフト
図6の右の表は、左の表と同様に飼料用米作付品種について聞いたもの。前々回調査ではコシヒカリというJAが多かったが、前回そして今回調査ではコシヒカリから夢あおば、あきだわらにシフトしてきている。栽培比率では、そらゆたか、新潟次郎、あいちのかおり、ミズホチカラが高くなっている。
【栽培技術】密苗・疎植栽培が普及
水田農業の大規模化は今後の大きな課題だが、労働力不足問題もあり、効率化・省力化を可能にする栽培技術の普及は必須だといえる。現在、さまざまな栽培技術が開発されているがそれが普及するかどうかを聞いたところ(複数回答)図8のように、密苗が普及するという回答が66%(前回は49%)でもっとも多く、次いで疎植栽培60%とこの二つが圧倒的に多く、次いで密播28%、湛水直播鉄コーティング27%となっている。
密苗は東日本、西日本で、疎植栽培は九州、西日本で今後普及するとみられている。
【普及理由】作業負担、育苗費の軽減
新しい栽培技術が普及する理由は、いずれの技術でも、育苗費の軽減、作業負担の軽減があげられている(図9)。密苗、疎植栽培では、北海道で作業負担の軽減が他の地域より高くなっている。
またグラフでは示していないが、疎植栽培で「慣行栽培と同等の収量がある」との回答が多く、さらに「病害の低減が可能」をあげているのが九州で9%あり注目される。
【JAの米実態調査から・3】に続く ※後日掲載予定
重要な記事
最新の記事
-
【人事異動】JA全農(2025年1月1日付)2024年11月21日
-
【地域を診る】調査なくして政策なし 統計数字の落とし穴 京都橘大学教授 岡田知弘氏2024年11月21日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】国家戦略の欠如2024年11月21日
-
加藤一二三さんの詰め将棋連載がギネス世界記録に認定 『家の光』に65年62日掲載2024年11月21日
-
地域の活性化で「酪農危機」突破を 全農酪農経営体験発表会2024年11月21日
-
全農いわて 24年産米仮渡金(JA概算金)、追加支払い2000円 「販売環境好転、生産者に還元」2024年11月21日
-
鳥インフル ポーランドからの家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月21日
-
鳥インフル カナダからの生きた家きん、家きん肉等の輸入を一時停止 農水省2024年11月21日
-
JAあつぎとJAいちかわが連携協定 都市近郊農協同士 特産物販売や人的交流でタッグ2024年11月21日
-
どぶろくから酒、ビールへ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第317回2024年11月21日
-
JA三井ストラテジックパートナーズが営業開始 パートナー戦略を加速 JA三井リース2024年11月21日
-
【役員人事】協友アグリ(1月29日付)2024年11月21日
-
畜産から生まれる電気 発電所からリアルタイム配信 パルシステム東京2024年11月21日
-
積寒地でもスニーカーの歩きやすさ 防寒ブーツ「モントレ MB-799」発売 アキレス2024年11月21日
-
滋賀県「女性農業者学びのミニ講座」刈払機の使い方とメンテナンスを伝授 農機具王2024年11月21日
-
オーガニック日本茶を増やす「Ochanowa」有機JAS認証を取得 マイファーム2024年11月21日
-
11月29日「いい肉を当てよう 近江牛ガチャ」初開催 ここ滋賀2024年11月21日
-
「紅まどんな」解禁 愛媛県産かんきつ3品種「紅コレクション」各地でコラボ開始2024年11月21日
-
ベトナム南部における販売協力 トーモク2024年11月21日
-
有機EL発光材料の量産体制構築へ Kyuluxと資本業務提携契約を締結 日本曹達2024年11月21日