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米:CE品質事故防止強化月間

【現地ルポ  福岡・JAみい八坂CE】米は大事な預かりもの 「特A」産地守る誇りを胸に(1)2024年9月20日

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米穀の集荷・販売の拠点施設であるカントリーエレベーター(CE)では、1年で最も多忙な米の収穫期を迎えた。全国の大規模乾燥調製貯蔵施設の管理・運営改善に取り組む全国農協カントリーエレベーター協議会、JA全農、公益財団法人農業倉庫基金の3団体は、毎年8月1日から10月31日までの3カ月間を「米のカントリーエレベーター品質事故防止強化月間」に定め、事故防止の徹底を呼びかけている。今回は、福岡県内のCE環境美化コンクールで最優秀賞受賞を重ねるJAみい八坂CEの取り組みを取材した。

営農集団と"二人三脚"

低温倉庫も併設

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八坂カントリーエレベーター(福岡県小郡市八坂)

JAみいは福岡県中央部、筑後北部農業地域の西部に位置し、筑後川流域の北部に展開する平たん地で、小郡市、大刀洗町、久留米市の一部(旧北野町)の2市1町からなる。正組合員は個人4054人、法人63、准組合員は個人4091人、その他団体57(いずれも令和5年度末)である。

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標語の通り、整理と安全を徹底

温暖だが夏冬の気温差が大きい内陸型気候で、水田が広がる。リーフレタス、ブロッコリー、ミズナ、小松菜など野菜も多彩で花きも盛んだ。販売品取扱高は、野菜63億2943万円、米9億5581万円、麦6億2078万円、畜産物2億4838万円など(令和5年度)。

現在、CEは今回取材した八坂のほか吹上、北野、太刀洗と管内に4施設ある。平成2年に建設された八坂CEは、4施設のうち唯一、低温(農業)倉庫を併設。基本は地域によって荷受けするCEを分けているが、「ラー麦」の愛称を持つ県産のラーメン用小麦「ちくしW2号」はもっぱら八坂CEで荷受けしている。また、低温倉庫を併設するのは八坂だけなので、他の3CEでもみ摺りした玄米も保管する。

令和5年産米では、9月11~12日に「中期夢つくし」を、23~26日に「普通期夢つくし」、29日~10月3日に「元気つくし」、10~13日に「ヒノヒカリ」、15~17日に「実りつくし」を荷受け。荷受け日数は合計18日間だった。

暑さに強い「元気つくし」

JAみい営農部農産課の丸山浩二課長は「病気に強く収量が取れ販売しやすい品種は何か。農家組合員の所得向上のため、実需者と連携し、収穫期や水系も考え、農産課で旗を振って品種の誘導をしています。荷受けが一番多い『元気つくし』は、県の農林業総合試験場が開発した暑さに強く、冷めてもおいしい品種で、 日本穀物検定協会の食味ランキングで3年連続『特A』を取りました」と話す。暑さに強いだけあって、各地の水稲が高温障害に悩まされた令和5年産も、「元気つくし」と「実りつくし」は1等だった。

担い手の動向とCEの利用について丸山課長は、「管内でも営農集団、法人、大規模認定農家が増えています。自前で乾燥機を持っているところもあり米を扱う業者も増えていますが、八坂では営農集団を中心にCEを使い、JAの集荷率は高いと思います」という。

利用組合ならではの荷受け調整

八坂と吹上のCEは、小郡カントリーエレベーター施設利用組合(野田正樹組合長)が運営している。いわば「米農家が共同で立ち上げ運営しているCE」ともいえる。米でいうと、利用農家は八坂CEが152戸(利用面積234ha)、吹上CEが164戸(同229ha)になる。

荷受け予定日のきめ細かい調整も「施設利用組合ならでは」だ。まず8月に、組合員から品種ごとの作付面積、CE利用面積、農家保有米のとりまとめを行う。米、麦ともに収獲予定の1週間ほど前に、CE役員、主任、県の普及所、JAの営農指導員、自主検査員らが吹上と八坂に分かれてほ場を見てまわり(検見)、品質、荷受け開始日を協議し、それにもとづいて荷受け計画を策定しCE運営委員会または役員会で荷受け日を決める。

「運営委員は地区で選びます。各品種の平均単収、乾燥機に入る量(270t)の80%を目安に『この日はこのくらいの面積刈ってください』と地域に割り振り、そこから地域ごとで各農家に割り振り、運営委員から各個人ごとの日程が私たちのもとに戻ってきます。雨天になれば荷受けは順延し、『明日は中止』『今日は中止』と運営委員に連絡します」(丸山課長)と、利用組合みんなで決めたことを、みんなで守っている。

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収穫したもみを投入するホッパー

乾燥作業に細心の注意

令和5年度に荷受けしたもみの平均水分は28.9~23.4%だった。これを乾燥機で、できれば14.5%に落としてサイロに移し、間に合わなければ17%でいったん乾燥機を空け、翌日の荷受けに備える。荷受け期間は1時間ごとにサンプルを採取し、水分を測定しながら夜通し乾燥する。オペレーターは交代勤務で見守り、作業にあたる。

八坂CEは、300tの本サイロ(ビン)が10本、容量45tの乾燥機が六つある。通常期は7人(正職員〈主任〉1人、嘱託2人、臨時2人、事務員2)、繁忙期は11人(通常期に加え、利用組合役員1人、シルバー人材センターから3人)で運営するが、今は人手不足から通常期6人で回している。事務員2人を除いて、全員がフォークリフトの免許を持っている。各人が持っている資格は操作盤の脇に掲示している。

八坂CE主任の上村忠紀さんは、他のCEから八坂に移って4年になる。「農家さんが刈り取ったもみを持ってくると、受け付けは利用組合の役員が対応し、自主検査員がチェックします。もみがホッパーに流し込まれると、重量と同時に水分が測定されます。麦の荷受けは10時から19時までですが、米は11時から18時としています。荷受け開始を11時と遅くしているのは、朝早いと朝露などで水分が高くなるからです」 と上村主任はいう。荷受け開始時間の設定は米の品質向上のためでもあるということだ。

荷受け、乾燥後、量が多い品種はもみのまま保管し、量が少ない中期「夢つくし」や「実りつくし」は玄米にしてフレコン詰めし、併設する低温倉庫に移す。

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サイロ内の穀温は手書きでグラフ化してチェックする

乾燥が終わればもみ精選など調製をする。11月中には調製して検査も終わる。サイロに移した後は日々穀温を管理。穀温が上がり過ぎたら、日当たりも考慮しながらサイロを入れ替える(ローテーション)。オーダーが入ればもみ摺りしてフレコンか紙袋に詰め出荷する。月末には保有米をもみ摺りし、玄米や白米で農家に届ける。毎月つきたてを届けるのはヒノヒカリだけで、他品種は一括で玄米を渡す。これがCEでの主な作業の流れだ。

【現地ルポ  福岡・JAみい八坂CE】米は大事な預かりもの 「特A」産地守る誇りを胸に(2)へ続く

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