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【クローズアップ】酪肉近策定に向け畜産部会、農水省が酪農で11論点 現行生乳目標780万トン扱い焦点2024年10月9日

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農水省は次期酪農肉用牛近代化基本方針(酪肉近)策定に向け酪農・乳業で11論点を示した。生乳需給ギャップの現状と改善策、自給飼料振興などだが、肝心の改正畜安法に伴う需給調整の課題解決は踏み込み不足となった。委員からは生産抑制回避の指摘が相次いだ。現行生乳目標780万トンの扱いも焦点だ。(農政ジャーナリスト・伊本克宜)

次期酪肉近で全参加型の生乳需給調整も問われる畜産部会(10月4日、農水省で)

次期酪肉近で全参加型の生乳需給調整も問われる畜産部会(10月4日、農水省で)

2025年3月に取りまとめる次期酪肉近の具体化に向け4日の畜産部会で、大きな焦点となる酪農・乳業をテーマに集中審議を行った。

生産現場の課題で強い懸念が出たのは生産抑制の回避だ。大型酪肉複合経営を展開するトップファーム(北海道佐呂間町)の井上登会長は「これ以上生乳を要らないと言われるのが一番困る」として、最低でも向こう3年間の生産枠を国が示し、それに沿って計画的に出荷できる体制づくりを訴えた。これを受け「減産による生産意欲を失せるのが大きな問題だ」などの指摘が出た。

生乳需給緩和下の需給調整は通常、「出口」「入り口」二つの対策に分かれる。牛乳・乳製品を需要拡大でこなす「出口」対策。それでも改善しない場合は、究極の選択として乳牛個体の整理も含む減産の形で生乳生産の「入り口」を絞り込む。生産現場からの懸念は、減産が生産意欲を損ない、離農が増え結局は酪農全体が地盤沈下をしかねないとの将来不安に結びつく。

今後10年の将来展望を示す次期酪肉近具体化を議論するはずだが、今回の畜産部会では生産現場の懸念を解消する答えは示せなかった。

農水省が示した酪肉近見直しに示した酪農・乳業関連の論点は次の通り。

【酪肉近見直し11論点】
▽需給ギャップ
現在でも対策なければ脱粉在庫が積み上がる。当面、これまでの取り組み継続が必要

▽需要拡大
特に飲用牛乳と脱粉の需要低迷が課題。人口減少と少子高齢化の中で、需要拡大が不可欠

▽チーズ対策
過剰生乳の補完的役割も担う。TPP合意で段階的関税下げ。乳価の高い国産ソフトチーズ拡大が重要

▽輸出
現在の輸出は生乳換算2万トン。将来見据え着実な取り組みが重要

▽飼養頭数
乳用雌の種付け状況と数年先の乳量への影響がどうか

▽長期的な経営環境の変化
10年に一度の酪農危機に遭遇。危機への備えを検討していくことが重要

▽持続的な経営
耐久力のある持続的な経営へ飼料などの経営資源が重要。適正な飼養管理も収支安定効果

▽畜安法
脱粉過剰など全国課題に全関係者参加など国の政策ツールを通じて促すことが重要
新たな流通が拡大していく中で乳製品加工施設の合理的な活用を探っていく必要

▽牛乳価格
価格と価値の訴求へ生産者も関与することが必要

▽乳業工場
飲用牛乳中心の中小乳業の再編・合理化と稼働率の向上

▽GHG・アニマルウェルフェア

この中で、畜産部会で農水省が示したキーワードの一つ「10年に一度の酪農危機」でも意見が交わされた。リーマンショック後の食料危機や穀物価格高騰、それから10年余り後のコロナ禍と生乳需給緩和、ウクライナ問題や円安も伴う生産資材高止まりなどを指す。現在の酪農情勢はコスト高止まりと脱粉在庫対応の過程にある。ただ酪農危機の備えで、国主導での対応は議論がいま一つ深まらなかったのが実態だ。

肝心の酪農生産基盤の維持・強化を11論点のどこに当てはまるのかも疑問だ。問題は生乳生産の担い手、酪農家そのものの離農には歯止めがかからないことだろう。畜産部会で農水省は「生産基盤を乳牛頭数だけで見るのではなく、戸数も注視している」としたが、酪農家戸数減の要因分析と歯止め策、今後の見通しが欠かせない。

農水省が示した11もの論点は、かえってテーマが薄く広くなり過ぎて酪農・乳業問題の核心の議論を分散させかねない。

次期酪肉近議論のポイントは、改正基本法を踏まえ食料安全保障に資する持続可能な畜産酪農の具体的姿を示し、現場生産者をはじめ関係者が目標に向かって実現する機運・仕組みを構築することに尽きる。

北海道は全国約6割の生乳生産を担うが、JA北海道中央会の小椋茂敏副会長は、輸入と合わせ1300万トン弱の需要が国内にあるとして、新たな生産目標が現行の780万トンを下回らないよう求めた。業界で構成するJミルクは、先日まとめた改訂版・戦略ビジョンで最大800万トン(775万~800万トン)としていた10年後の生産目標を示さず、畜産部会での議論に委ねるとしている。

国内酪農振興する際に、関連法が持続可能な経営を後押しするのではなく逆に阻害しては本末転倒だ。規制緩和の視点からつくられた改正畜安法は課題が多く、かねてから生産者団体、乳業メーカー双方から見直し、改善が問われてきた。

11論点を絞り込み再整理したうえで、今後のポイントは「需給調整」「生産基盤」「生産目標」の三つだ。この中で、改正畜安法の課題とも密接に絡む実効性ある生乳需給調整構築は、生産基盤を維持・強化し酪農家の意欲を高める生産目標実現に結び付くセーフティーネットにつながる。

こうした中で、同日の畜産部会でJA全中の馬場利彦専務は、系統外も含め生産者、乳業、国が一体となり生乳需給調整の仕組み構築を求めた。次期酪肉近策定時に国主導で全参加型の需給調整構築の明記と、実現の道筋がつくのか。持続可能な酪農経営確立のカギを握る。

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